御報告とお詫び、そしてお伝えしたい事 …TBS安東弘樹アナウンサー連載コラム

御存知の方も多いと思いますが、私、今月上旬に東京六本木の交差点で追突事故を起こしました。沢山の方に御迷惑を掛け、また御心配も掛けました。

改めて、お詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。

先方もいらっしゃるので詳細は申し上げられませんが、よそ見をしていた訳でもなく、他の事に気を取られていた訳でもなかっただけに停まれなかった自分の未熟さに腹が立ちました。

責任は完全に私の方に有ります。追突してしまったタクシードライバーの方に少なくとも大きな怪我が無かったのは本当に良かったですが、今後、何か症状が出てこないとも言い切れませんので、今後も御無事を祈るばかりです。

この場をお借りして、そのドライバーの方にお詫びを申し上げたいと思います。誠に申し訳ございませんでした。

それから、自分が拾ったタクシーと後ろから来た車がぶつかる事故に目の前で遭遇してしまった、お二人(母娘の御二人で、娘さんの方は、小さいお子さんでした)、さぞ驚いたと思います。

実際に事故直後のお二人は呆然とされていましたが、巻き込まれた様子は無く、その後に来たタクシーに乗っていかれたので、御無事であったとは思いますが、精神的なショックは有ったかと推察出来ますので、本当に申し訳なかったと思います。

その御二人にも改めて謝罪させて頂きます。これまで私は「車という物は凶器にも棺桶にもなる」と申し上げて来ました。いつも、この一言を心の中で呟いてからエンジンを始動させます。

この日も同じ様に、その儀式を行ってから、クルマを走らせました。

にもかかわらず、私は、危うく大好きな車を“凶器”にするところでした。いえ、実際に追突してしまった訳ですから、してしまったとも言えるでしょう。

免許を取得してから、約30年ですが、これまで、一般道で信号待ちしている時に追突されたり、渋滞している首都高速で、ほぼ、停止状態の時、後ろから追突されて、その勢いで前の車に当ててしまった事はありますが、完全に自分の責任による事故は初めてで、それだけに先方に対しての謝意も含めて、痛恨の想いが有ります。

そして、今回の事故で私は様々な反省をし、皆様にも今後の安全運転の為に、参考にして頂ければと思い、少し状況をお話したいと思います。

まず、私の車には所謂、“自動ブレーキ”と言われるものが装備されていました。

今回は追突の瞬間に警告音が鳴ったのは覚えていますが、実際に追突してしまいました。

作動しなかった理由としては、私が自分でブレーキを踏んだからか、後ろから真っすぐ追突した訳では無く、タクシーは乗客を乗せようと路肩に少し寄ったので、タクシーの右側後方に私の左側前部が当たってしまったのでセンサーが検知出来なかったか、様々な状況が重なったからだと思います。

やはり、どの様な機能が付いていても、現実の世界では、その状況によって作動の有無や範囲も変わってくるのだと痛感しました。

“絶対にぶつからない”クルマの出現は、まだまだ先と言えるかもしれません。

誤解しないで頂きたいのですが、今回は私の落ち度によって発生した事故ですので、車のせいでも、他の何のせいでもなく完全に私の責任です。

唯、今、御自分のクルマに「自動ブレーキ」が付いているから安心、と思っている方がいらっしゃったら、あまり過信しないで頂きたいと切に願います。

それから、私は常に出来るだけ遠くを見て、様々な事態を早く察知する様に運転する習慣がついています。

しかし、今回は、アイポイントが高いSUVに乗っていて更に下り坂で遠くまで見通せる状況も重なり、その事が、目の前のタクシーが止まる事に気付くのが遅れた事にも繋がったとも言えます。
言い訳じみていますが、申し上げたいのは、車を運転していれば、どんな想定をしていても、更にそれを上回る事態が起こり得るという事です。

皆さんも、運転する時は本当に気を付けて頂きたいと思います。

「注意1秒、怪我1生」という標語が有りますが、それどころではなく、注意1秒で、他人様の命や自分の命も落とす可能性も有る、という事を今回、改めて、実感しました。

カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員として恥ずべき事故でしたので、処分も覚悟していましたが、COTYの選考委員は続けさせて頂ける、との事ですので、本当に感謝申し上げると共に、一層、身が引き締まる想いです。

今後は、この経験も無駄にせず、交通安全に寄与する活動もしていきたいと思っています。

改めて皆様にお詫びをすると共に、宜しければ今後も、お付き合いを頂ける様、お願い申し上げます。

安東 弘樹

[ガズ―編集部]