トミカ50周年!…安東弘樹連載コラム

去る1月15日、恐らく皆さんもご存知の、あの日本におけるミニカーの代名詞と言って良い『トミカ誕生50周年』の記者発表会の司会をさせていただきました。

これまでもお話してきましたが、私にとっておもちゃと言えば、物心ついた時からクルマ関係のものばかりで、他の物を欲しがることはありませんでした。
そしてクルマのおもちゃの王様は、私が子どもの頃から“トミカ”であったことは言うまでもありません。

誕生は1970年。私は1967年10月生まれですから、トミカとともに成長してきたと言っても過言ではありません。

車種は覚えていないのですが、1972年からスペインに2年間住みましたので、その直前に父に1台買ってもらったことは、はっきりと覚えています。

実はスペインにはそのトミカは持って行けず、代わりにもう少し大きめの他のメーカーの“MINI”のミニカーを持参しました。しかも帰国時に家庭が色々と大変なことになりましたので(笑)、私のファーストトミカは何処かへ行ってしまいました。

その後も引き続き?家庭の事情等で、滅多に買ってもらえることはなかったので、その想いだけが募っていた中、親戚の叔父に1台のトミカを買ってもらえる機会がありました。
選んでいる時、変にテンションが上がってしまい、スポーツカーが欲しかったのに、何故かTOYOTAクラウンを選んでしまいました。未だに、何故、渋いセダン(笑)を選んでしまったのか不思議でなりませんが、値段は同じなのに、何処か、遠慮する気持ちがスポーツカーを選ばせなかったのかもしれません。
しかし、その1台はずっと大切に取っておきました。

そして自分の成長に伴って、興味はトミカから、自分で作るプラモデル等に移ってしまい、何とも不完全燃焼のままトミカ熱は消えてしまったのです。

さて、時は流れて私も結婚し、二人の息子にも恵まれ、長男が3歳位になった頃、また、トミカと出会うことになりました。

初めて長男が私に欲しいと言ったトミカは“ランボルギーニ”
私がかつて遠慮して買えなかったスポーツカーのトミカです。
初めて息子のために買うトミカをレジに持っていく時、「やっぱりスポーツカーが良いんだなー」と心の中で呟き、何だか息子が微笑ましく思えました。

ここで『トミカ50周年』の話に戻りましょう。

この記者発表の司会を共にしたのは、元TBSの後輩で自他共に認める“トミカマニア”の小林麻耶さん。

小林さんが“トミカ”と出会ったのは、やはり3歳の時で、お母さまが妹の麻央さんを出産する時に病院に行きたくなかった麻耶さんを説得するために、御祖母様が、トミカを買ってくれたのが最初だったそうです。

それ以来、働くクルマを中心に様々な“トミカ”を買うことで、今では150台程のコレクションになったとか。完全に筋金入りです!私が言うのもなんですが、今回の記者発表に相応しい二人による司会になったと思います(笑)。

そして今回の発表の目玉は何とTOYOTA、日産、HONDAの、それぞれの本物のスポーツカーの開発担当者の皆さんが、記念の“トミカのデザインを手掛ける”というものでした。

当該車はTOYOTAがGRスープラ。日産がGT-R。そしてHONDAはCIVIC TYPE-R。それぞれのメーカーを代表するスポーツカーのトミカを、メーカー開発担当者が直接カラーリングするという画期的な企画です。

当日は、それぞれのメーカーの開発責任者の皆さんが参加され、我々司会の二人とトークショーで楽しい話をしてくださいました。

特にHONDA CIVIC TYPE-Rの開発責任者である柿沼さんの初めて買ってもらったトミカが、TOYOTAのセリカだったという話から、それぞれの憧れのクルマの話等で盛り上がり、各会社の重鎮と言える大人たちが、子どものような顔になって夢中で語る姿を拝見し、“トミカ”というものの存在の大きさを改めて感じることとなりました

これからも子どもたちが“トミカ”に、“クルマ”に胸をときめかせるようであって欲しいと心から願います。

実はこの発表会、2部もありまして、その内容はトミカ50周年を記念した、ロボットアニメを4月から放送する、というものでした。タイトルは『トミカ絆合体アースグランナー』。そのアニメは主人公の双子兄弟が変身し、ビークルマシンというクルマに乗り、更に合体したロボットを駆使して謎の侵略者から地球を守るという物語で、トミカとコラボして、そのマシンやロボットも販売されます。

もちろん、楽しみな内容なのですが、個人的には、ちょっと不安な要素もあるんです。実はトミカとアニメのコラボレーションと言えば、私がTBSの社員時代に同社で放送した同じくロボットアニメ“トミカハイパーレスキュードライブヘッド機動救急警察”というものがあり、息子たちも当時は夢中で番組を観ていて、おもちゃも買いました。

しかし、その翌年に放送された、新幹線とコラボしたロボットアニメ“新幹線変形ロボシンカリオン”が始まると、元々クルマも電車も好きな息子は、すっかり“シンカリオン”のファンになってしまったのです…。

クルママニアの私としては少し残念で、理由を息子に訊いてみると、すぐ答えてくれました。
「シンカリオンには実在の新幹線が出てくるから、本物を見てテンションが上がるけど、ドライブヘッドには、本物のクルマが出てこないから、テンションが上がらない」だそうです。
実に明快です。完全に納得させられました。

考えてみると、トミカが人気なのも街で実際に走っているクルマを限りなく忠実に再現してくれているからです。自分もそうでした。
そう、今回の“アースグランナー”にも実在のクルマは出てこないのです。今のところは…。

そこで今回、実際にトミカの方にその話をぶつけてみました。すると、トミカの方も、それは、重々感じていらっしゃるそうで、苦笑いをされてしまいました(笑)。

そこで私は、「今回のトミカのデザインだけではなく、アニメにおいても、ぜひクルマメーカーとコラボを!」と図々しくお願いはしておきました。最後まで苦笑いで返されましたが、いつかの実現を個人的に勝手に楽しみにしています。

私がこんなにクルマを好きになったのは、やはり幼少期に触れたトミカ等の“おもちゃ”であったり、“マッハGoGoGo”や“マシンハヤブサ”といったアニメの影響が大きいのは間違いありません。
時代が変わっても、子供たちの感受性は変わらないと思います。

もちろん、私たちの世代が過ごした高度経済成長期から、バブル期の良くも悪くも勢いがあった時代と、それ以降の閉塞感が覆っている時代とは、背景が違うのは理解しています。

でも、メーカーの開発責任者の皆さんがトークショーで揃って仰っていた『子どもが夢を持てるようなワクワクするクルマを、できる限り造っていきたい』というような想いを、我々大人たちは子ども達に伝える必要はあると信じています。

大人たちが漂わせている閉塞感を子どもたちに伝えるというのは、あまりに情けないというものです。クルマは、いつまでも憧れであって欲しいと思うのはエゴでしょうか?

今は環境破壊の主役と言っても過言ではありませんが、これからもクルマは絶対に必要なモノでしょう。
これからは働くクルマも趣味のスポーツカーも人類の英知によって環境負荷をかけないうえで、子供たちの憧れの存在になれると私は信じています。

トミカの100周年の司会はできないと思いますが(笑)、60周年、70周年の司会をするつもりで、これからもクルマを盛り上げていけるように私も頑張ります。

安東 弘樹

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