織戸学 ドライバーズコラム 第9回 タイヤテスト

みなさま、こんにちは!
僕は、ヨコハマタイヤさんと、タイヤのテストを定期的に行っています。初めてのテストは、現在のSUPER GTのGT500クラスにあがった頃の、レーシングタイヤのテストでした。

レーシングタイヤは、スリックタイヤと呼ばれ、表面がツルツルのタイヤで接地面積を有効に稼ぎ、路面とのグリップ力を高めます。純粋に速く走ることが目的なのでシンプルですが、逆に開発は簡単ではないのです。温まり具合や一発のタイム、グリップの持続性と求める要素がたくさんあるからです。

SUPER GTでは、レースウィークは予選でタイムを出し、その後、決勝レースという流れで、決勝レースは走行距離300キロメートルが主流なので、大げさに言ってしまうと、タイヤは150キロメートル持てば良いのです。

この短いライフの為に生まれてくるレーシングタイヤには、多くのスタッフやタイヤ職人の手が入っていて、愛情と汗と努力が詰まっています。そのタイヤを使う訳ですから、僕らドライバーもテストをする時、レースをする時は真剣です。僕らドライバーだけの判断だけではなく、データーからも追っていきます。こうして、多くのタイヤテストから生まれてくるタイヤは、もはや子供のような存在ですね。

多くは、シーズンオフの日本が冬の間に暖かい国に渡りテストを行います。昔はよくオーストラリアのコースを貸し切り、1週間単位で何千本ものタイヤを使って走りました。これはテストだけではなく、ドライバーのスキルも完璧に高くなりますよね。常にタイヤと会話をしながら走るんです。

ウェットタイヤは、特殊テストコースにて行うこともありました。ここ最近は、マレーシアのセパンで各自動車メーカー、タイヤメーカーが年末年始にテストを行うことが多いようです。シーズン中も多くのタイヤテストを行いますが、テストのスケジュールもコストなどの関係から、近年、回数はぐっと減ってきています。

こうして造られたタイヤは、年々驚くほどのスピードでパフォーマンスが上がり、ラップタイムがどんどん速くなって来ているのは、マシンの性能もありますが、実はタイヤに関する要素がとても大きいのです。

そんなGT500クラスのタイヤテストで造られたタイヤで、2003年オートポリス、2005年岡山、そこでヨコハマタイヤさんと優勝できたことは、僕にとって、レーシングドライバー織戸にとって、本当に誇りに思っています。

タイヤテストは、レーシングタイヤだけでは無く、一般スポーツラジアルタイヤも多く手がけてきています。ヨコハマタイヤの代表するスポーツタイヤADVAN NEOVAやSタイヤ。これはもう15年近くテストに参加させて頂いています。もう子どものように可愛いタイヤなのです。

ラジアルタイヤは、いろんな人がさまざまなシチュエーションで走るので、サーキットのテストではラップタイムを求めすぎずに、乗り味やコントロール性能、磨耗性、ウェット特性、すべて考慮し開発して行きます。そこで目指すものは、お店でタイヤを変えて、最初に交差点を曲がった瞬間の何とも言えない安心感です。きっとヨコハマタイヤを履けば、これは本気で、ドライバーの方は嬉しく包まれるような安心感を実感してもらえる事でしょう。

皆さま、安全を買うつもりで、タイヤは良いタイヤを履きましょう。そして定期的なエアーなどのメンテナンスもしましょう、大事ですからね。

今回もオーストラリアに渡り、とあるタイヤのテストをさせて頂きました。とても良いテストができました。この新しいタイヤが、皆さまの元に届く日が今から待ち遠しいですね。

MAX織戸

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road