関谷正徳 レジェンドコラム 第10回 最後もやっぱりモタスポの話で

今回で、おじさんコラムも最終回になりました。そこで、何を書こうかですが、私にはモータースポーツしかありませんので、モータースポーツの話を最後に終わらせて下さい。

まずは、カート業界の話。カートを始めてみたら自分の子どもが才能があるので、お父さんとしては、このまま頑張って続けられるようにと走る環境を整えるのですが、才能がある子どもでも、ステップアップする時に金銭的に苦しくなり、結局はお金を使い果たしてしまい、夢半ばで上に上がれない…、という話をよく聞きます。

確かに、今のカート業界はお金がかかり過ぎますね。よく聞く話は、ハイグリップのタイヤを履かなければダメとか、全日本に出場して来なければダメとか。

ハイグリップの話をすると、フィンランドのアイスバーンを走ってF1に行ったドライバーは、ハイグリップなんて履いてはいませんね。私が言いたいのは、ローコストでカートを卒業して来て欲しいということです。タイヤとかシャシーとか参加しているカテゴリーとかで速さを評価するのではく、純粋に“才能のある子”がステップアップ出来るようになるスポーツにしたいのです。

それをするためには、ルールが一番大切です。そこで、私からの提案です。とにかく、ローコストで激しい競争ができるルールを作りましょう。

例えば、年間、全日本カート選手権に出て300万円以下で出来るようにするためにはどうしたらいいと思いますか?タイヤ、エンジン、シャシーを、どうしたらローコストになるか考えれば、いくらでも方法はあると思います。

お金をかけられる一部の人だけの競争…、例えば15台の競争から出てくる子ども、50台の競争の中から出て来る子ども…、と考えれば、当然たくさんの中から出てきた方がいいと思うのは当たり前です。ローコストで参加台数を増やすか、ハイコストで少ない人数でハイグリップタイヤのレースをするのか。素人的には答えは簡単です。

ハイグリップなんて無い国の子どももF1で活躍できるのですから、本当にそれが必要なのか考える必要があるのではないでしょうか? エンジンしかり、フレームしかり。このフレームが良いだの悪いだのというのは、売る側の問題でしかありません。

これから、私たちのモータースポーツの世界を目指す子ども達が、遠回りせず入ってこれるような環境を作って頂きたいと願います。特にルールを作る側の方にお願いします。具体的にしなくてもご理解願います。

例えば、今のFIAーF4は、ハードでは誰も利益を出さずに業界の発展のため、FIAの決めた価格で販売しドライバーの資質だけでスポーツしているわけです。子どもにあのエンジンが良いとか、タイヤが良いとか、やれフレームが良いとか言い訳をすることを教えなくともいいと思いませんか?

ハードの競争は、頂点にたどり着いた時に教えましょう。

私たちのモータースポーツは、「カーレース」という見せ方と「モータースポーツ」としての見せ方が必要な時期に来ていると思います。「スポーツ」として発信することが、今は必要と感じています。

F1は、有料チャンネルでなければ見ることができなくなりました。どうしてでしょう?答えは簡単、関係者がその方向に導いた結果なんです。

人に感動してもらうスポーツにするためには、人が主人公でなければいけないのだと思います。私たちのモータースポーツは、多くの「人」に感動してもらえるようなスポーツにならなければなりませんね、みんながそれを望んでいるのではないでしょうか。

マスターベーションでは、感動は得られません、私たちのモータースポーツは、野球、サッカーにも負けないぐらいエキサイティングなスポーツです。発信の仕方をちょっとスライスしていくことで、修正できると思います。このスポーツの楽しさを多くの人と一緒に楽しめるスポーツにして行きましょう。少なくとも私はそう思って動いています。

モータースポーツを、国技にしてもおかしくないくらい、日本は自動車大国です。その方向にみんなで動けば、きっとそうなると信じて、今回最後のおじさんブログを終了させてもらいます。10回にわたって言いたいことを言わせてもらいました。ありがとうございました。

関谷正徳

[ガズー編集部]