谷口信輝 ドライバーズコラム 第11回 プロのレーシングドライバー
僕は広島で生まれ、広島で育ち、28歳になる時に上京して来ました。30歳からレースを始めました。
過去に、スポット参戦では、何度かレースに出た事はあるのですが、シリーズを通してちゃんとやり始めたのが、2001年、僕が30歳の時です。その2001年に出たカテゴリーは2つ。ネッツカップアルテッツァワンメイクレースと、スーパー耐久レースです。
アルテッツァワンメイクレースも、スーパー耐久レースも、どちらもRED LINEというオイルメーカーのカラーで走っていました。
2カテゴリーをアルテッツァで走り、そしてその2001年の11月に、マカオグランプリにも参戦させて頂きました。
ADVANアルテッツァで!
2001年は、これでもか!ってくらいアルテッツァに乗りました。
その2001年のマカオグランプリで、4位でチェッカーを受けリスボアコーナーで、織戸さんとグルグル回ったの、いい思い出だなぁ~。
今はあんな事をしたら、すぐ罰金だからね。
観客もオフィシャルも、みんな盛り上がってたなぁ~
このマカオグランプリで走った事で、ADVANに認められ、2002年からADVANのドライバーとして使われ始めました。
2002年からGT選手権にも参戦させて頂きました。
チームはRE雨宮。
僕が若い頃からOPTIONで見ていたロータリーの神様、雨さんのマシンに、まさか僕が乗れる日が来るなんて…
昔から、雨さんの作るグレッディー7に惚れていたので、この年はとても興奮していました。
その後…
2003年 RE雨宮
2004年 レーシングプロジェクト坂東
2005年 レーシングプロジェクト坂東
2006年 ディレクシブ(途中でチーム解散)
2007年 タイサン
2008年 タイサン
2009年 RE雨宮
2010年 RE雨宮と…
大体2年周期でチームを変わり、ここまで、GTのチャンピオンのチャンスは幾度もあったけど、毎年あと少しのところで獲ることができず。
そして2011年、
グッドスマイルレーシングに移籍。
番場君と組み、GT参戦10年目にして、
やっと…
やっと…
チャンピオンを獲る事ができました。
僕はそこまで、自分の事を「レーシングドライバー」と言ってなかった。それまでは、「ドライバーです」と。誰かに言われたわけではなく、なんとなくレーシングドライバーって言うのに抵抗があった。
でも、チャンピオンを獲ってからは、胸を張って「レーシングドライバー谷口です」と言っています。
レーシングドライバーは、プロとアマの境が無い。プロライセンスも無いし。ぶっちゃけ、言ったもん勝ちな所もある。お金を稼げている、稼げていないも大事な要素ではあるが…。
一番大事なのは、同業者に「あいつはプロだ」と認められる事。速いだけじゃダメ。
レーシングドライバーなら速いのなんて当たり前。特に、予選が速いとか、ニュータイヤを履いてタイムを出したとか…、それは当たり前の事である。
そんな速さは当然持ち合わせていて、それ以外の引き出し…
・タイヤの冷えてるアウトラップが速い
・タイヤがタレてきて苦しい状況でも速い
・クルマのセッティングがイケテない時でもなんとかする
・雨や路面状況が悪い時でも速い
・クルマが作れる(セッティングできる)
・タイヤが作れる
・レースの混戦に強い
・クラッシュ、スピン、コースアウトをしない
等の引き出しをどれ位持っているか?をプロは問われます。
いくら速くても、やらかすドライバーはチームからは敬遠されやすい。なので、プロドライバーというのは、速さ以外にも沢山の要素が必要なのです。
なんだか堅苦しい話になっちゃいましたが…
30歳からレースを始めて、プロドライバーで食っていく事ができるようになりました。若いうちからじゃないとチャンスが無い訳ではないと思います。
みなさんもやりたい事を見つけたら、チャレンジしてみては?
[ガズー編集部]
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