下り坂でのAT車のエンジンブレーキ、自然に使いこなすには(クルマの運転操作、みんなはどうしている?)

下り坂を走る時、エンジンブレーキを使っている方いらっしゃいますか?
「長い下り坂で、何度もブレーキを踏むのはカッコ悪い気がする」など、活用している人も多いのでは。

下り坂では、アクセルを踏んでいなくても、車重による慣性で思った以上に速度が出てしまいます。そんなときに役に立つのがエンジンブレーキ。

しかし、「シフトダウンのタイミングがいまいちつかめない」と苦手意識から使いこなせていない方や「後続車のことを考えずエンジンブレーキを強めに効かせてしまい、ビクつかせてしまった」など失敗した経験をお持ちの方もいらっしゃるのでは?

みなさんは、どうしていますか?

AT車におけるエンジンブレーキは、減速すべきタイミングを見はからって操作をする、というイメージですよね。
実際、ひと昔前のAT車にはオーバードライブギヤからシフトダウンを行う「OD-OFF」スイッチがありました。

私は普段AT車に乗っているのですが、エンジンブレーキを多用しているほうだと思います。
アクセルを踏んでいない「空走」状態でも速度が上がってしまうような下り坂を想像してみてください。エンジンブレーキを効かせるタイミングとして最適なのは、まさにこのような場面。「危険を感じる少し前」というイメージですね。
ただし、エンジンブレーキはブレーキランプが点灯しないので、あまりに急激なシフトダウン操作は後続車にとって迷惑であり、かつ危険をともないます。
とくに高速道路など速度域が高いときのシフトダウン時には、バックミラーで後続車との距離感には気を配っています。

エンジンを守るセーフティ機構

細かくシフトダウンできるパドルシフト付き車両なら、落としたい速度になるまでシフトすることも可能です。

ただ、どんなときでもミッションの段数だけシフトダウンできるわけでなく、速度によっては一定以下のギヤには下がらない安全設計がされています。高い回転数でシフトダウンしてしまったことによるオーバーレブを防ぎ、エンジンを守る制御になっているんですね。この機構を上手に使い、望んだ速度に達するまでに「D」(ドライブ)と低いギヤとの間を何度か行き来させることもあります。

頻繁なシフト操作になじめないなら、エンジンブレーキの効きを強めた「スポーツモード」等を選んでおけば、イージードライブが可能です。

いずれにせよ、前走車の急な減速などいかなる場合でもフットブレーキを踏むことができるよう、心の準備をしておくことが大事ですね。

ライター:畑澤 清志

【監修・解説者】

ドライビングエキスパート(トヨタの元テストドライバー)
滝本 良夫(たきもと・よしお)
約40年にわたりトヨタの運転技術指導員として活躍しながら、車両実験部でハイエース、ダイナ、コースターなどの商用車系開発の実験および商品監査に携わる。2014年に定年退社。

[ガズー編集部]