【動画】日常ドライブから役立つ!ドライビングポジションを改めてチェック・・・山野哲也 基礎からのドライビング集中講座①
GAZOO.comをご覧いいだいているみなさんは、週末のドライブや旅行、またお仕事などで、運転する機会の多い方も多いだろう。
普段から運転はしているが、「もっとスマートに運転を楽しみたい」「運転が上手くなりたいが、何から始めたらよいか、わからない」「スポーツドライビングに興味がある」という方々もいるかもしれない。
そうした方はもちろん、まだ初心者で運転に自信のない方も参考になる運転の基本テクニックを、ジムカーナとレース界のレジェンド山野哲也選手による全4回の動画でお届けしていこう。
日常ドライブからサーキットでのスポーツドライビングまで、しっかり役立つテクニックや練習方法をお届けするので、ぜひご覧いただきたい。
アシスタントは西野洋平選手。こちらも全日本ジムカーナ選手権チャンピオン獲得回数多数のドライバーだ。普段はトヨタカローラ栃木GR Garage宇都宮つくるま工房のGRコンサルタントも務めていて、身近に相談できるトップドライバーだ。
第1回目のテーマは『上手くなるドライビングポジションとステアリング&ペダル&シフト操作術』。GR Grage 宇都宮つくるま工房のご協力で、GR86 RZ 6速MT車とGR86 SZ 6速車の2台の試乗車をお借りし、『ドライビングパレット那須』で収録を行った。
山野哲也選手
全日本ジムカーナ選手権シリーズチャンピオンは前人未到の通算23回を誇る。今シーズンも記録更新に挑戦中! レースでは2004年の全日本GT選手権300クラス、2005年、2006年のスーパーGT 300クラスにおいて3連覇を達成。現在もスーパー耐久などで活躍中。2023年はST4クラスチャンピオン、2024年はST2クラスに参戦。モビリティリゾートもてぎでの『山野哲也ハンドリングクラブ』は不変の人気を誇る
西野洋平選手
全日本ジムカーナ選手権には2006年よりエントリー。2011年、2019年、2020年にシリーズチャンピオンを獲得。以降もつねに上位の戦績を収めている。トヨタカローラ栃木GR Garage宇都宮つくるま工房でGRコンサルタントを務める。
協力:トヨタカローラ栃木 GR Garage宇都宮つくるま工房
栃木県宇都宮市陽東5-8-24 TEL 028-612-3055
https://www.corolla-tochigi.co.jp/naradeha/tsukurumakobo
栃木県唯一のGR Garage(2024年3月現在)で、車両販売、メンテナンス、カスタマイズ、モータースポーツなど、マルチにカスタマーをサポート。試乗車を多数取り揃え、珍しいふたり乗りシミュレーターも常設、サーキット走行会も定期的に開催中している。トヨタ車以外にも対応している頼もしいクルマ屋さんだ。
ドライビングポジションを見直すと運転が上手くなる!
普段、何気なくシートに座り、操作しているかもしれないが、クルマは動くものなので、ブレーキを踏めば縦にGが掛かり、ステアリングを切れば横にGが掛かる。その中で正しい操作を行うためには、Gに動じない運転姿勢=ドライビングポジションを取る必要がある。
一般道でも高速道路のインターチェンジのループでは大きな横Gが掛かるし、危険回避の急ブレーキを踏んだら大きな前へのGが掛かる。サーキットだけが特別ではないのだ。
また、シートに座ったときに、どの位置にステアリングがあって、どの位置にペダル類があるかを細かく見直すことも重要。
映像ではドライビングポジションを決めるうえで大切なポイントとやり方を細かく解説。スポーツドライビングはもちろん、普段の運転も、よりスムーズに安全にラクで疲れにくくなるはずだ。
尻と腰をシートに押し付けて座る
まず、シートに尻と腰を押し付けるようにして座る。シートとの間に何も入らないくらい密着させる。これがGに動じないポジションづくりの第一歩。『隙間ゼロ』にすることで、タイヤからのインフォメーションが得やすくなり、正確な操作ができるようになることと、長時間の運転でも疲れにくくなる。
合わせるのはブレーキペダル! 足首の角度は90度、膝裏が浮かないように
シートスライド調整はアクセルペダルでもなくクラッチペダルでもなく、ブレーキペダルに合わせる。ブレーキングの際は最も高いGが発生するからだ。ブレーキを強く踏んでも身体がグラつかないよう位置決めを行う。
ブレーキペダルを踏むときの足首の角度は90度になるようにする。普段立っているときと同じ状態だ。それよりも浅い角度の場合はシート位置を前に詰める。また、ブレーキを踏んだ際は、膝裏がシートに密着しているのもポイント。位置が前過ぎて膝裏が座面から浮いてしまうと、膝がグラついて的確な操作ができなくなるからだ。
シートベルトの締め込み方
3点式のシートベルトは締めたあとにベルトをつまんでお腹周りと胸をギュッと戻すように引っ張り、身体に密着させる。それによって、安全性とホールド性が高まる。
ステアリングを押すように手を添える
ステアリングと身体の距離は肩裏がシートから離れず、肘は少し曲がった状態で9時15分(もしくは10時10分)の位置に手を置く。そのままステアリングを持ち換えないで180度回しても、肩裏が浮かないのが理想。
肩と腕の力を抜き、ステアリングを握るのではなく、親指の付け根あたりで、押すように添えるのが基本。握るとどうしても力が入り過ぎるし、肩が離れてしまう原因にもなる。映像では肩裏が離れない様子や肘の曲がり具合、ステアリングへの手の添え方などをチェック!
脚と手を自在に動かせる『支点』をつくる
ブレーキペダル、ステアリングとの位置関係を整えることにより、脚の付け根(骨盤)と腕の付け根(肩)がしっかり固定されて、脚や足首から先、腕や手首から先を自在に動かせる支点がつくれる。下半身も上半身も安定して、『Gに負けないカラダづくり』が完成するのだ。骨盤、肩に対する支点の意識。憶えておきたいポイントだ。
ドライビングポジションが決まったら、次はハンドルの操作について。安全にスムーズに走るための操作は日常ドライブもスポーツドライビングも共通項が多い。
まず、ステアリングは9時15分から10時10分あたりに、正面から押すように手を添える。できるだけ右手と左手が離れる位置を持ち、180度までは持ち替えないで切れるようにする。
180度以上切る場合の回し方はクロスかプッシュプル
クロスハンドル
プッシュプルハンドル
もっと大きくステアリングを切らなければいけない場合はふたつの回し方がある。『クロスハンドル』と『プッシュプルハンドル』で、やり方は映像で説明している。いずれでも構わないが、できるだけステアリングから手を離さないことを意識して操作する。ドライバーはステアリングを通じてタイヤをコントロールしているからだ。
手がカクカクと動いたり止まったりする回し方もよくない。当然、タイヤもそういう動きをしてしまうからだ。
アクセルとブレーキの踏み替えを素早く行えるように練習
スポーツドライビングはもちろん、日常ドライブでも危険回避の際には、制動距離が延びないよう、とっさに止まることができるため、アクセルペダルからブレーキペダルへの素早い踏み替えを身につけておきたい。踏み替えを何気なく行っていると、想像以上に空走時間が長くなり、それがフルブレーキが遅くなる原因にもなっている。
アクセルペダルとブレーキペダルの位置は高さや左右の距離が車種によって異なるので、位置関係に慣れておく必要がある。
そして、素早く踏み替える練習は、普段、停止状態で簡単に行える。山野選手はレースやジムカーナのスタート前に、いまだに準備体操のようにやっているとのこと。山野選手の驚異的な踏み替えスピードと、練習のやり方は映像をチェック!
クラッチを上手くつなぐにはエンゲージポイントを知る
MT車のクラッチ操作が難しいのは、どこでクラッチがつながるのか、わからないから。映像ではそのポイントの探り方をまず伝授。
停止状態でエンジンを掛け、1速に入れて、クラッチペダルを踏み込んだ位置から徐々に戻していく。すると、エンジン回転がやや下がり、車体がブルブルするところがあり、そこがエンゲージポイント(ミートポイント)。そこまでは『遊び』の領域で、その『遊び』区間を憶え込み、素早くエンゲージポイントまで持っていけるようになれば、クラッチワーク全体がすこぶる上達する。
クラッチとアクセルの連携も難しいが、それだったらいっそアクセルを踏まない方法も。アクセルを踏まずにクラッチだけを戻していき、クルマがエンストしないで動き出すようにする。エンゲージポイントを把握していればできること。こちらも映像で実践している。
HパターンのMTはシフトレバーに軽く手を添えるようにして操作。
手前から奥に動かす、2速から3速、4速から5速へのシフトアップ、4速から3速へのシフトダウンは順手(写真左)で行い、奥から手前に動かす、1速から2速、3速から4速、5速から6速へのシフトアップ、5速から4速、3速から2速へのシフトダウンは逆手(写真右)で行うとスムーズだ。
力づくで入れるのではなく、軽く手を添えながら動かしていると、自然に吸い込まれる箇所があるので、そこにスッと入れるのがコツ。
GR86のATはとても賢い!早めの操作を心掛ける
最近のATはとても高性能。GR86の6速ATも例に漏れず、ドライバーの意思を汲み取った走りを実現してくれる。映像では山野選手がコースを周回しながら、Dレンジのままでもスポーツドライビングにしっかり対応していることを実証。そのあと、マニュアルモードで走り、バドル操作のコツを伝えている。
シフトダウンは少し早めに操作して、速度が落ちたら自動的に入るのを待つ。早めの操作は挙動の安定にもつながるという。山野選手は日常でもマニュアルモードで走り、普段からパドル操作に慣れるようにしている。
次回の「山野哲也 基礎からのドライビング集中講座②」は「ブレーキング編」をお届けする。
(文:蔵田智洋 写真:堤晋一)
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