前方が見えないトラックの後ろを走るとき、どうしている?(クルマの運転操作、みんなはどうしている?)
日々、物流の恩恵を受けているトラックにはとても感謝ですが、走行中に真後ろについてしまうと視界をスポイルされてしまい、その危険にどうしても身構えていまいます。
「トラックに続いて交差点に進入したら、いきなり信号が黄色から赤に変わってヒヤっとした」
「トラックの排気ブレーキに気づかず、急ブレーキを踏んでしまった」
という方もいらっしゃるのでは。
みなさんは、どうしていますか?
大型トラック(やバス)の後ろについて走るのは、危険がいっぱいです。直後についてしまった乗用車なら視界のほとんどが遮られてしまいます。安全な運転に必要な情報が入ってこないのですから、危険きわまりない状況です。もっとも危ないのは前方の信号が確認できないことです。前方のトラックが普通に走っているからといってすべてが青信号ということはなく、なかには黄信号または点滅信号というギリギリのタイミングで交差点に進入しているかもしれないのです。何も考えずにそんなトラックについて行くと、トラックは全長が長いですから、後続車が信号に進入するころにはさらに危険なタイミングになっています。
信号無視の交通違反で取り締まられてしまうだけでなく、交差する車線が青になっていたとしたら重大な事故を起こしてしまいます。もっといえば、トラックの前方に起きている急な渋滞や、落下物などの存在も知ることができません。
私はトラックの後ろを走る場合、ひとまず車間距離を開け早くその状況から脱する術を探します。車線が複数ある場合はトラックとは別の車線に移動するようにしますが、1車線の場合や周囲の状況によりうまくいかないこともあります。そんなときは、信号に関しては低い位置にある歩行者用信号や交差する信号をたよりにしながら見えない信号を推測し、車間距離を開けて信号を確認した後に交差点に進入するようにしています。
大型トラックの近くを走る際に注意しておかなければならないのは、制動の際の動きです。大型トラックには油圧ブレーキを補助する仕組みがいくつかあって、代表されるのは「排気ブレーキ」と「エアブレーキ」です。
排気ブレーキは、アクセルをオフした際により強力な制動力を与える機構です。注意しなければならないのは、年式によっては排気ブレーキが作動してもブレーキランプが点灯しない車両があることです。大きなトラックがなんのサインもなく急制動するのですから、ヒヤリを通り越して恐怖です。新しい車両は排気ブレーキ作動時にもブレーキランプが点灯するようになっていますが、トラックは耐用年数が長いですから、規制前の車両もまだ路上を走っています。
エアブレーキは圧縮空気でブレーキ操作をアシストする機構ですが、そのペダルワークはかなりのテクニックを要するもので、慣れないトラックドライバーなら間違いなくギクシャクする挙動になります。
また、積み荷の状態によっても制動時間が変化し、ブレーキをかけたときの挙動も大きく変わるのが大型トラックです。私は「トラックは予測できない動きをする」という前提で、まずはなるべく近寄らないことを肝に銘じながら運転するようにしています。
ライター:畑澤 清志
【監修・解説者】
ドライビングエキスパート(トヨタの元テストドライバー)
滝本 良夫(たきもと・よしお)
約40年にわたりトヨタの運転技術指導員として活躍しながら、車両実験部でハイエース、ダイナ、コースターなどの商用車系開発の実験および商品監査に携わる。2014年に定年退社。
[ガズー編集部]
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