タイのモータースポーツを長きにわたり支援。トヨタ・モーター・タイランド上級副社長インタビュー

タイにおけるトヨタ車販売と生産を行っているトヨタ・モーター・タイランド(TMT)。1986年からタイ国内のモータースポーツの支援をスタートし、発展と知名度向上に貢献してきました。具体的にはトヨタがサポートするレースチームやToyota One Make Raceの主催、2008年より始まった新人ドライバーの育成や安全運転教育を目的としたToyota Racing School の運営など、アマチュアorプロ問わず、ドライバーが受けた恩恵は計り知れません。

Toyota team Thailand の運営30周年となった昨年は「Fast Fun Fest」という理念に基づき、モータースポーツイベントを開催。ハイラックスRevo(2.4リッターのピックアップトラック)やカローラAltis(全てが現地で生産される4ドアセダン)、Vios(同)のワンメイクレースは大変な盛り上がりを見せました。

ハイラックスRevoのワンメイクレース(バンセーン・ストリート・サーキット)
“Fast Fun Fest”がコンセプトのモータースポーツイベント

また、2014年からはトヨタ・チーム・タイランドとしてドイツのニュルブルクリンク24時間レースに参戦。昨年はカローラAltisで2位と4位を獲得(SP3クラス)し、タイのモータースポーツのレベルの高さを証明しました。

今回取材に行ったバンセーングランプリもTMTがサポートするイベントのひとつで、とっても華やかな雰囲気。タイ国内の盛り上がりを肌で感じましたが、私たちは幸運にもTMTの上級副社長、ウティコン・スリヤシャンタナノン氏にインタビューをする機会をいただきました。これまでタイのモータースポーツにおいてTMTはどんな役割を担い、これからはどんな将来を目指しているのか? 自らの言葉で語っていただきました。

「近い将来、タイのドライバーは世界レベルにたどり着く可能性があります」

トヨタ・モーター・タイランドのウティコン・スリヤシャンタナノン上級副社長

――TMTはタイのモータースポーツについて、どんな印象をお持ちですか?

トヨタは草分けとして30年間、タイのモータースポーツを開発してきました。それは基本からはじめ、タイの新人レーサーを増やすためです。True Visions(タイのケーブルテレビ局)と手を組んでユースカートレース大会を開催。さらにトヨタジュニアカートトレーニングやトヨタレーシングスクールもつくりました。

これらのプロジェクトでレーサーとしての基本を深く学ぶことで、タイ人レーサーのスキルは高くなりました。その証拠に現在のトヨタ・チーム・タイランドのレーサーたちは国内だけでなく国際大会にいつでも出場できるメンバーがそろっています。

また、トヨタはタイのモータースポーツ界がさらに成長すると信じています。チャン・インターナショナル・サーキットやバンセーン・ストリート・サーキットなど取り囲む環境が良く、近い将来、ドライバーたちが世界レベルにたどり着く可能性があります。

カローラAltisのワンメイクレース(チャン・インターナショナル・サーキット)
ワンメイクレースの表彰式の様子。参加者は年々増えています

――日本のトヨタはクルマの開発のためにニュルブルクリンク24時間レースに出ていましたが、TMTは何のためにこの大会に出ているのですか?

カローラAltisでADAC Zurich 24 h. Nurburgringのスーパープロダクションカー3(SP3クラス)に出た目的は2つあります。1つ目はタイ国内でタイ人によって生産されたクルマの品質を証明したかったためです。それは「トヨタのクルマはどこの国で生産していても標準は同じで、レースの最後まで高レベルのパフォーマンスを発揮し、実績を出さなければならない」という会社の方針に従っています。

2つ目は我々のドライバーのレベルアップを徐々に図るためで、国内大会だけでなく、国際大会でも経験を積ませてきました。世界的なサーキットで行われるニュルブルクリンク24時間レースで2位と4位という好成績を残し、レースカーやドライバー、レースチームのクオリティを証明できました。

2016年のニュルブルクリンク24時間レースの様子
ニュルブルクリンク24時間レースに出場したドライバーたち

――2017年のニュルブルクリンク24時間レースに向けて一言

昨年2位と4位という好成績を残したので、今シーズンもっと頑張れば、優勝できると言っても過言ではないでしょう。

トヨタ・チーム・タイランドのニュル24時間レースをキーパーソンと振り返る

――タイのモータースポーツ界にメッセージをお願いします

TMTは30年間、タイのモータースポーツを支えてきました。さらに政府からも支援をいただき、タイのモータースポーツは成長する一方だと信じています。もっと国内に国際サーキット等を増やせば、タイ人のドライバーとレーシングチームは絶対に世界レベルにたどりつけます。近い将来にお目にかかることを願っています。

バンセーングランプリのオープニングセレモニーでスピーチするウティコン・スリヤシャンタナノン上級副社長
自らフラッグを振ってコースインするドライバーたちを送り出しました
タイモータースポーツのキーマン(左からウティコン・スリヤシャンタナノン上級副社長、TRD Thailand スティポーン社長、スラサック・ストンワン副社長)

オープニングセレモニーでは主催者をはじめとする関係者に謝意を述べつつ「トヨタのドライバーたちはしっかりとした講習を受けており、モータースポーツに興味を持つ若手の見本になるべき存在」とコメント。トヨタ・チーム・タイランドのドライバーはパドックでも注目の的で、日本同様、モータースポーツ人気を引っ張る存在のようです。

政府や地域が一体になって盛り上げを図るタイのモータースポーツ。その原動力はTMTが担っていると言っても過言ではありません。これからの発展にますます期待ですね。

(ゴリ奥野/渡辺文緒)

[ガズー編集部]

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