ロードスター乗りの仲間と「笑顔で逢える」場所をつくる。29回目を迎えた軽井沢ミーティングのボランティアスタッフに密着!
国内最大級の「マツダ・ロードスター」オーナーズミーティングとして、今年で29回目の開催となった「軽井沢ミーティング(開催日:10月23日・24日/開催地:軽井沢プリンスホテルスキー場駐車場」。
同イベントは、初代ロードスターが誕生した4年後の1993年からはじまった。第1回参加者総数は138名で、当時は正式なイベント名も決まっていない、名もなきロードスターミーティングだった。
それから口コミを中心に年々規模を拡大し、1998年の第6回には参加者1000人を超え、最大で1400台&2200人以上が集まる日本最最大級のミーティングに成長。毎年5月に開催されることから“軽井沢に春を告げる風物詩”として定着していった。
昨年はコロナ禍で開催も危ぶまれたが、実行委員の皆さんが奔走し、10月に無事開催。今年も同様に5月開催を延期し、感染拡大が落ち着いた10月23日(土)・10月24日(日)に無事開催にこぎつけた。
そんな軽井沢ミーティングで話題になるのがマツダによるサプライズだ。マツダは、たくさんのファンが集まる軽井沢で新しいロードスターをお披露目するのが恒例行事になっている。
今回もサプライズとして今冬発売予定となるロードスターの特別仕様車「990S」を軽井沢ミーティングで世界初披露し、参加者を沸かせていた。
こういったメーカーのよるサプライズを聞くと、「自動車メーカーが主導で開催しているイベントなんだ」と思う読者も多いだろう。
しかし、あくまでマツダも参加者であり、運営はロードスター乗りたちが主導している。軽井沢ミーティングは、オーナーが主役であり、イベントオーガナイザーであり、エントラントというイベントなのだ。そのため運営も18名の実行委員と約70名のボランティアによって行われている。
そこで今回は、軽井沢ミーティングを支える実行委員やボランティアスタッフに密着し、どんなイベントなのか、なぜ20年以上にわたって続けられたのか、ボランティアとして参加する魅力などについて聞いてみた。
まずは、軽井沢ミーティングを支えてきた実行委員会事務局の水落さんに話を聞いた。水落さんは、実行委員全員がその会員でもあるRoadster Club of Japan(会員数1350名)の事務局代表でもある。
「本当に晴天の中で開催できてよかったです!毎年、熊野皇大神社で晴天祈願を行っていて、10年連続晴れなんですよ!」と、たくさん集まったロードスターを見ながら笑みがこぼれる。
その笑顔の裏には、コロナ禍での開催延期や感染拡大防止対策の苦労もあったことがわかる。
例年は1000台を超える参加台数が集まる軽井沢ミーティングだが、昨年、今年はソーシャルディスタンスを確保するために参加台数を制限し、事前に抽選で駐車券を発行したり、集合写真やイベントコンテンツも大幅に削減したそうだ。恒例になっている前夜祭も取りやめ、万全の体制を整えての開催となった。
そのため、愛車で参加したくても残念ながら落選してしまったオーナーも多いそうだ。
また、軽井沢ミーティングについて聞くと、「じつは特別なことはなにもしていないんですよ。あくまで私たちは、ロードスター好きが集まれる場所を提供する。ただ、それだけです。それは、ほかの実行委員やボランティアの皆さんも同じ気持ちだと思います。
マツダにはトークショーなどへの協力はお願いしていますが、参加費以外、金銭面では1円も協力してもらっていません。斎藤主査は朝のボランティアにも自分から参加してくれています。実行委員やボランティアの皆さんも一般参加者と同様に参加費を払い、当日は愛車のロードスターで参加しています」と教えてくれた。
そのため、運営スタッフと参加者、そしてマツダスタッフの間の垣根は限りなくゼロに近い。というよりも、同じロードスター乗り、ロードスターファンなので、ほのぼのとした雰囲気が特徴だ。入場チェックでも「久しぶり~」「1年ぶりだね!」みたいな声と笑顔が溢れる。そんな仲間たちとの再会が楽しくて、毎年参加しているオーナーも非常に多い。
ちなみに実行委員は18名、ボランティアスタッフは約70名で、全員がロードスター乗りというのも軽井沢ミーティングの特徴だろう。オーナー有志によるイベントというのがポリシーになっている。
「マツダが参加しなくても、軽井沢ミーティングは続けていきますよ」と、水落さんは付け加えた。そんな開催スタイルこそ、軽井沢ミーティングが愛され続ける理由だろう。
続いて実行委員として2年目になる松島ご夫婦にイベント運営の魅力を聞いてみた。すると奥様の若葉さんが「つながりですね!」と開口一番に教えてくれた。
「軽井沢ミーティングは、私たちみたいに夫婦で参加はもちろん、女性ドライバーも多いんですよ。そういう女性とのつながりは、私にとってとても魅力的です。この場で知り合った方とツーリングに出かけることもありますよ」と若葉さん。
また、学生時代にモータースポーツイベントのスタッフをした経験があり、今も保育士をされているということで、案内用のパネル製作などはお手のもの。「楽しくイベント運営に関わらせていただいています」と笑顔で語ってくれた。
そんな話をしていると旦那様の松島輝秋さんは、「イベントに来ると、私のほうが慣れてないので影が薄くなってしまって」と苦笑い。松島輝秋さんも軽井沢ミーティングでは、ボードの用意から参加ショップやユーザーの誘導、感染拡大防止チェックリストの確認などで大忙し。早朝から会場中を駆けまわっていた。
そんな会場を見て回っていると、若葉さんから「仲間が集まったので写真を撮ってください!」と嬉しいお誘いもあった。仲良しグループでお揃いの帽子をかぶってアピール!ちなみに帽子は、この日のために手作りした力作だ。
そのほかにも軽井沢ミーティングに合わせて愛車をデコレーションしたり、イベント用グッズを用意したり、それぞれが自由に楽しんでいる姿が好印象だった。
「ロードスターを通じて仲間ができることが一番の楽しみ」と、実行委員やボランティアスタッフ、一般参加者関係なく、共通の魅力ということが実感できた。
そんな松島ご夫婦がロードスターに出会ったのは、20年以上前にさかのぼる。最初はNAロードスターを買ったが、すぐに結婚や出産、子育てもあり、手放してしまったそうだ。その後、ロードスターが忘れられずに2014年にNBロードスターを購入し、その年から軽井沢ミーティングに参加している。ちなみに松島さんは「オーバーフォーティーズ」というロードスターオーナーズクラブのメンバーでもある。
「ロードスターも昔なら手頃な値段で買えましたが、今では値段も上がっているので、大人の楽しみという要素が増えましたよね。それに子育てのある時期は、ほしくても手が出しにくいクルマかなと思います。実際に私も最初にNAロードスターを買って、子供ができてすぐに手放しちゃって、2014年に20年ぶりにNBを買いました」と、やはりロードスターの爽快感が忘れられなかったそうだ。
そして、もともとオーバーフォーティーズの代表が軽井沢ミーティングの実行委員をしていて、それを引く次ぐ形で去年から手伝うようになったそうだ。
次にお話を聞いたのは、ミーティング本番の前日、土曜日に行われているコマ地図ラリーの運営全般を担当している小池ご夫婦。
コマ地図ラリーとは、略地図を頼りにドライブを楽しみながら、コース途中に設置されたクイズに答え、ゴールを目指すアトラクションだ。軽井沢ミーティングでは、第4回からコマ地図ラリーが行われ、今年で26回目になる。そのコース設定から当日の運営まで、小池ご夫婦が実行委員として取り仕切っている。
「コマ地図ラリーは、およそ100kmの距離を1日かけてドライブし、途中3カ所に設置したクイズポイントを回ってもらうゲームです。緑あふれる景色の中、オープンカーで気持ちよく走れるルート設定を心がけています。そこで混んでいる幹線道路、トラックやバスが走る2車線道路は避け、基本は脇道ばかり選んでいます。地元の人でも“こんな道あったんだ!?”と驚くような(笑)」と、コマ地図ラリーの苦労や楽しみ方を教えてくれた。
ちなみに今は、グーグルマップやストリートビューなどもあるが、昔は何度も軽井沢に来て、実際に走りながらルートを考えていたそうだ。
「じつはコマ地図ラリーの第1回優勝者が私なんですよ!そのときは一般参加者でしたが、第4回からは運営を引き継ぐ形で22年間もコマ地図ラリーに携わっています。コマ地図ラリーを楽しみに毎年参加してくれる人も多いので、再会できるのが楽しくて、いろんな声が聞けるのが嬉しいです」
「軽井沢ミーティングは“笑顔、逢える。”がコンセプト。そんな出会いの場を提供してくれる軽井沢ミーティングには感謝ですね!ちなみに実行委員は、コマ地図ラリーを担当する前からやっているので、今年で26年目になりますね」と小池さん。
「私の担当はコマ地図ラリーの運営なので、メインの日曜日は遊んでいるだけです(笑)」と言っていた小池さんだが、当日会場に行くと、早朝から駐車場の誘導係をしていた。誘導のときも「久しぶり!」といった感じで、仲間との再会を楽しんでいる姿が印象的だった。
ちなみに奥様のつる子さんは、看護師の資格を持っているということで、看護師としてもイベント運営に参加している。つる子さんもロードスターが大好きで、以前に赤のNAロードスターに乗っていたそうだ。看護師さんまでロードスター乗りなんて、本当に運営から参加者までロードスター乗りなんだと驚かされた。
そんな小池ご夫婦の愛車は、ジャガー純正のブリティッシュレーシンググリーンのボディカラーにシルバーのアクセントが印象的なNCロードスター。もとのボディカラーはシルバーだったが、英国的なスタイリングを狙ってオールペンしたそうだ。
随所にシルバーメッキのパーツをあしらい、ホイールもシルバーに塗りなおしたお気に入りの逸品だ。内装はシックなブラウンで統一。ハードトップも内装色に合わせてブラウンで塗りわけている。
「知らないうちにパーツが届いたり、気づいたらオールペンしていたり、夫のわがままを詰め込んだクルマです(笑)」とは奥様のつる子さん。
「こういったイベント参加も含め、クルマいじりも私の独断です(笑)事後報告ばかりで、かみさんには感謝ですね」とは小池清隆さん。といいつつも夫婦でロードスターライフを楽しんでいる姿は、とても印象的でうらやましかった。
ちなみに小池清隆さんは、「Windist」というオーナーズクラブの代表も務めている。
「クラブの代表としては2代目ですが、定期的に無理なく集まれればいいなと思っています。私も体が動けるうちは続けたいですね!」と、70歳ながらその元気さに驚いた。
「ロードスターって汎用性のないクルマなので、買うのに勇気がいりますよね。ただ、いろいろなハードルを乗り越えて買ったという共通点だけで仲良くなれるのが、ロードスターの個性というか、持ち味なのかなと思います」
「そんな人が集まる場所が軽井沢ミーティング。みんな“つながり”を求めているし、主催者も参加者のひとりなので、利害関係なく楽しめる。だから実行委員を続けているんでしょうね!」と、最後に実行委員として参加する魅力を語ってくれた。
軽井沢ミーティングは、そのほかにも多くのボランティアによって成り立っている。その全員がロードスター乗りで、参加費を払って自主的に手伝っているのだ。そんなボランティアスタッフの皆さんに軽井沢ミーティングの魅力を聞いてみた。
まずは、入場ゲートで誘導していた村上智美さん。ちなみに愛車はNB6Cだ。村上さんは、2015年からボランティアとして参加しているそうで、「仲間とワイワイできるのが楽しい。いろんな人と出会えて、顔見知りになって、ワイワイできるのが軽井沢ミーティングの魅力ですね!」と教えてくれた。
次にお話を聞いたのは、駐車場内でクルマの誘導を担当していた瀬端宏之さん。瀬端さんがボランティアに参加した理由は、「軽井沢ミーティングに参加したくて、ボランティアの募集を見つけたから」ということ。
2015年8月にロードスターを購入し、その翌年に軽井沢ミーティングにはじめて参加。最初からボランティアとして携わっている。
「最初からボランティアとして参加して、誘導をしたら楽しくて!それからずっと続けています!」と、ボランティアならではの楽しみ方を教えてくれた。
最後にお話しを聞いたのは、パンダのヲッサンさん。イベント参加は13年目で、2年目からはボランティアで参加しているそうだ。
「20周年のときにスタッフの方に声をかけてもらって、ボランティアとして参加するようになりました。ボランティアスタッフをしていると、みんなから“ありがとう”と声をかけてもらえるので嬉しいですね!それに軽井沢ミーティングは、ボランティアもロードスターに乗っていて、参加者と近い存在なので楽しいです!」
「あと、自分は35歳なんですが、実行委員の中では若手なので、もっと若い人にも参加してほしいですね!とくにNDロードスターは、若い方や女性オーナーさんも多いので、一緒に盛り上げてもらえると嬉しいです!」と、パンダの姿でイベントを盛り上げていた!
多くのロードスター乗りによって支えられている軽井沢ミーティング。日本最大級のオーナーズミーティングに成長した今も第1回から変わらず、ロードスター乗りの有志によってイベントが運営されている。
それは、ロードスターというクルマの魅力もあるが、「集まって楽しみたい!」「仲間がほしい!」というロードスター乗りの個性なのかもしれない。来年は記念すべき30回を迎える軽井沢ミーティング。どんなイベントになるのか、今から楽しみでしょうがない!
(文:三木宏章/撮影:三木宏章)
[ガズー編集部]
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