クルマに乗って働く素敵女子 介護タクシードライバー編

目的地までのわずかな道のりでお客様の笑顔を引き出したい

車いすやストレッチャーのまま乗れる「介護タクシー」のドライバーをしている中村彩可さん。ニーズが高まりつつある介護タクシーですが、まだまだ女性ドライバーは少ない。「この仕事をもっと知ってほしい!」と意気込む彼女にインタビューしました!

中村彩可(なかむらさいか)

名前&プロフィール
中村彩可(なかむらさいか)
介護タクシードライバー。第二種運転免許、ホームヘルパー2級、サービス介助士2級、全身性障害者ガイドヘルパーを取得し、父親とともに完全予約制の介護タクシー事業を運営。

インタビュー(仕事について)

主に運転するのが「ラクティス」。天井が少し高くなっているので、車いすのまま乗車が可能。
主に運転するのが「ラクティス」。天井が少し高くなっているので、車いすのまま乗車が可能。
車いすをしっかりと固定させるのが、お客様を乗せて安全に走行するためのポイント。
車いすをしっかりと固定させるのが、お客様を乗せて安全に走行するためのポイント。
お客様にはこまめに声をかけて、快適に利用してもらえるよう心がけているそう。
お客様にはこまめに声をかけて、快適に利用してもらえるよう心がけているそう。
車いすで乗り降りするときは後部の車高を下げる。ボタンがあるのでワンタッチで作業が完了。
車いすで乗り降りするときは後部の車高を下げる。ボタンがあるのでワンタッチで作業が完了。
車両後部にはスロープを装備。なだらかなスロープで、安全に乗り降りできるようになっている。
車両後部にはスロープを装備。なだらかなスロープで、安全に乗り降りできるようになっている。
もう一台の車両は大型ミニバン「ヴェルファイア」。こちらは、ストレッチャーのまま乗り降りでき、スロープが全自動なので、女性でも操作は楽にできるそう。
もう一台の車両は大型ミニバン「ヴェルファイア」。こちらは、ストレッチャーのまま乗り降りでき、スロープが全自動なので、女性でも操作は楽にできるそう。
広々とした車両で運転席も快適。車いす2台と付き添いの方2名がゆったり乗車できる。
広々とした車両で運転席も快適。車いす2台と付き添いの方2名がゆったり乗車できる。

―介護タクシーのドライバーとして、どのようなお仕事をされていますか?

病院、福祉施設への送迎や、転院のために病院から病院へお送りすることが多いですね。個人のお客様や病院から予約が入り、多い時は一日に6件ほど対応します。買い物やレジャーにご利用いただくこともあり、お客様と一日がかりで紅葉を見に行ったこともあるんですよ。

―介護タクシーは普通のクルマとどう違うのですか?

車いすの固定装置はもちろん、スロープや車いすを引き上げる電動ウインチが備わっていたり、後部の車高を低くできるようになっています。運転操作自体は特に変わりませんが、各装置の使い方や、車いすの扱い方を覚えなければいけません。会社には、車いす1台と同乗者2名が乗れる小型ワゴンと、ストレッチャー※や車いす2台の時に使用する大型ミニバンの2台があります。

※ストレッチャー:座った姿勢をとることができない人などを、横になったまま移送するための車輪付き簡易ベッド。

―この仕事を始めたきっかけは?

二年ほど前に父が介護タクシー事業を立ち上げ、私も手伝うようになったんです。せっかく手伝うならと、ホームヘルパーなど介護の資格を取得しました。といっても最初の一年くらいは、人手が必要な時だけ同乗して、簡単な手伝いをする程度。でも、父の仕事を見るうちに自然と興味がわいて…。第二種運転免許を取り、ドライバーとしても働くようになりました。

―もともと運転は得意でしたか?

実は、この仕事を始めるまではずっとペーパードライバーだったんです(笑)。第二種運転免許を取ってからも、父に付き添ってもらい練習を重ねました。お客様に安心して乗っていただくためには、安全運転が第一! お客様が乗車していない時も、自分でシミュレーションして運転するようにしています。

―周囲の人の反応は?

めずらしい仕事だね!と驚かれることがほとんど。以前はアパレル業界にいたこともあり、意外だったようです。一緒に働く父にとっても予想外だったようで、『まさか本気でドライバーになるとは!』と驚いていました(笑)。夫婦で介護ドライバーをしていることはよくありますが、親子ではめずらしいみたいですね。

―この仕事のやりがいは?

お客様の喜ぶ顔や『ありがとう』という言葉が、一番のやりがいです! お礼の手紙をいただいたこともあるんです。その方は旦那様のご両親を介護していて、毎日の介護に疲れていた時だったようで、車中での何気ない会話に癒されたと手紙に書かれていて、本当にうれしかった。目的地までのわずかな時間でも、お客様と信頼関係が築けるんだな、と感じました。

―お客様とはどのようなお話しをするのですか?

天気の話しなどが多いです。最初の頃は、『今日はいい天気ですね』の一言で会話が途切れてしまうことも…。今は新聞やテレビのニュースを見て話題を探したり、父とお客様の会話から話題の広げ方を学んだりしています。お客様におだやかな気持ちで乗車していただけるよう、会話や挨拶は大切にしていきたいです。

―今後の目標はありますか?

まだまだ認知度の低い、介護タクシーという仕事を多くの人に知ってほしいですね。私のような若い女性ドライバーを多く起用した会社をつくるのが私の目標なんです。それから、かわいい介護用品を開発するのも夢! 大きな夢はたくさんありますが、まずは毎日のお客様との触れ合いを大切にしてリピーターを増やし、夢に少しずつ近づいていけたらと思っています。

プライベートについてお聞きしました♪

プライベートについてお聞きしました♪

―お休みの日はどのように過ごしていますか?

決まった休みはないのですが、気分転換にショッピングにでかけたり、友だちと会ったりして過ごしています。月に1回程度は東京に行き、ファッション誌の読者モデルもしています。

―プライベートでも運転しますか?

仕事でずっと運転しているので、プライベートではあまり運転しません。ただ仕事が突然入ることもあるので、父と私のどちらかが運転できるよう、休日でもお酒を飲まない日が多いですね。

―好きな男性の運転仕草はありますか?

うーん…この仕事を始めてから、運転マナーのよい男性が素敵だな、と思うようになりました! 車線変更を繰り返すような運転より、左車線を安全運転で走る方がかっこいい(笑)。

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road