楽しい旅行に華を添える、美人ツアーアテンダント

ツアーアテンダントって普段はあまり聞き慣れない職業ですよね。この職業は「旅を安全に・華やかに・楽しいものにしてくれる仕事」で、イメージとしてはバスガイドに近い存在です。少し違うところは、関東エリアの観光地が中心のため、独り立ちまでの時間が短いこと。今回は、ツアーアテンダントの先輩と後輩の対話を通して、旅行をより楽しく、華やかにするお仕事の舞台裏まで教えていただきました。

プロフィール

永島 淳子(ながしま じゅんこ)
㈱美職カンパニー(※)が運営するサービスのひとつである「美バス」の立ち上げから携わっている。学生時代はチアリーダーをしており、現在もダンスを続けている。

※美職カンパニー
https://bishokustyle.jp/index.html
モデル、キャビンアテンダントなどが在籍する人材紹介会社。

河村 洋子(かわむら ようこ)
添乗員の資格を所有している。キャリアを積んだ現在でも、教本を絶えず手放さない。

高山 奈々(たかやま なな)
前職はネットの広告製作をしていたが、人と関わる仕事がしたいと思いツアーアテンダントに転職をした。

大竹 由夏(おおたけ ゆか)
現役大学生の大竹さん。自身も旅行好きということで、自分の知識や経験を活かせると思いこの仕事についた。

取材協力:美バス(株式会社 美職カンパニー)
http://www.bibus.jp/
現役モデル、元キャビンアテンダントなどが在籍。
さまざまな旅行会社のツアーに同行し、観光地案内などを行っている。

美バスに入りたての高山さんと大竹さんは、これから始まるツアーアテンダントの仕事に希望と不安が入り交じっている様子。今回は特別に先輩ツアーアテンダントから話を直接聞くことができるとやる気満々です。

―まず、皆さんに質問させていただきます。どうしてこのツアーアテンダントという仕事に就いたのでしょうか?

大竹 由夏さん(以下、大竹):学生時代の修学旅行で、添乗してくださったバスガイドさんがキラキラしているのを見て憧れたのがきっかけです。自分自身も旅行が好きなので、好きなことを活かせる仕事につきたいと思いました。

高山 奈々さん(以下、高山):前職が不動産のネット広告だったので、パソコンの中で完結する仕事だったんです。資料請求などの数字によってお客様の動きは分かるのですが、直接やりとりする機会がなくて・・・。人と直接コミュニケーションを取れる仕事がしたいなと思っていたときにこの仕事を知り、転職しました。

永島 淳子さん(以下、永島):私は元々人と接することや人を楽しませることが好きでした。プライベートで旅行をするときも楽しい思い出を作ったり、新しい発見をしたり。旅行を通してポジティブになれる気がします。私も、そんな旅行づくりのお手伝いをしたいと思ってこの仕事を選びました。

河村 洋子さん(以下、河村):私は人前で話すことが好きでしたので、自分にしかできない仕事をしたいと思っていました。就職する際に「自分にはこの仕事しかない!」と思い、熊本から東京へ上京。元々はバス会社に就職していましたが、現在はフリーのツアーアテンダントとして働いています。

―基本的に、人前で話したり人とコミュニケーションがとれる仕事をしたいというところが共通しているんですね。それでは新人の高山さん、大竹さん、先輩への質問がありましたらどうぞ。

―ツアーアテンダントとして、心がけていること

高山:先輩方にお聞きしたいのですが、この仕事をする上での苦労や心がけていることはどんなことですか?

永島:私が特に心がけていることは“笑顔”ですね。旅行というのは、お客様にとってとても楽しみなこと。
ツアーに参加していただいた方々に「今回の旅行は楽しかった」と満足していただけるような思い出をつくるのが1番の目的です。旅行を楽しんでいただくために、お客様が何を求めているか、何をお伝えしたらいいのか、コミュニケーションを取りながら探しています。

河村:私はいつもお客様の立場にたって考えるように心がけています。「これがほしい、これがない」と思ってもなかなか言い出せないお客様が多いので、できるだけ早くこちらから気づいて対応するということを心がけていますね。

ツアーアテンダントにとって一番大切なのは笑顔という永島さん。後輩の質問にも笑顔で答えていました。

大竹:先輩が考える「お客様に満足していただくために必要なこと」は何でしょうか?

河村:そうですね、まずは親しみやすさでしょうか。私はできるだけ自分から話しかけてコミュニケーションを取るようにしています。私は学生さんの旅行にご一緒することが多いのですが、旅行に関する知識だけでなくプライベートのことや今話題になっている話などもするようにしています。

永島:ほとんどは初対面のお客様なので、親しみやすさは大事ですよね。あとは笑顔と元気!お客様が私たちを見て笑顔になってくれると嬉しいです。

新入社員の大竹さんは、先輩の話を聞きながらノートにペンを走らせて、参考になる言葉をしっかりとメモ。先輩の経験を一言も漏らさず聞こう、という真剣さが伝わってきます。

―仕事内容について

高山:初めてお客様をご案内をしたときの思い出はありますか?

永島:私が初めてご案内したのは、社員旅行の都内観光ツアー。ご案内はうまくできたのですが、緊張してしまってお客様とのコミュニケーションが上手に取れませんでした。

河村:私は中学生の遠足で富士五湖に行きました。しっかり案内するというよりはクイズなどで車内を盛り上げればよかったんです。しばらくして富士山が見えてきたときに「何か話そう」と思ったのですが、初乗務の緊張からか覚えてきたことが全部飛んでしまって、何も話すことができませんでした。今でも通路のセンターに立ったときにお客様からの視線が集まると、少し緊張してしまいます。

初めての業務を控えて先輩にアドバイスを求める高山さん。先輩からの「笑顔が大切」という言葉どおり、終始ステキな笑顔でお話を聞いていました。

大竹:「これだけは準備しておいたほうがいい」というものはありますか?

河村:そうですね、個人的には今話題の「ゆるキャラ」を研究しておくといいと思います。地方の観光名所や「ゆるキャラ」をスケッチブックに書いて用意しておけばトンネルの中や雨などで外が見えない状況になっても話ができますし、スケッチブックの裏にはカンペを書いておくこともできます。あとは、その地域の歴史の本があればだいたい乗り切れると思っています。

永島:私は「美バス」について聞かれることが多いので、会社についてしっかり覚えておくことをオススメします。何人いるのか、どんな人がいるのかなど、興味を持たれるお客様にはよくご質問をいただくので。
あとは自分のアピールポイントやキャラクターを伝えると、お客様との距離がぐっと縮まると思います。

後輩からの真剣な質問を正面から受け止めつつ、緊張感をほぐすような笑いを入れて答える河村さん。ほのぼのとした雰囲気を作るのが非常に上手です。

高山:これまでのツアーアテンダント業務の中では、どんなことが大変でしたか?

永島:このお仕事はずっと立ちっぱなしなので、体力は絶対に必要です。自宅に帰ったらマッサージをして体のケアをしたり、ダンスで体を鍛えつつストレス発散したりしています。

河村:私は朝早く準備することが大変ですね。始発で出社することが多いので、準備時間を考えると起床は朝の3時頃になってしまうんです。ツアーアテンダントは遅刻厳禁。電車が遅延した場合などの万が一に備えて、必ず30分は余裕を持って目的地まで行くようにしています。心配性だからかもしれませんが、万全の体制で安心して眠りたいので目覚まし時計は7個使っています。(笑)

実際のバスの中で模擬練習を行いました。さすが、キャリアのある永島さん。挨拶だけでもお客様との距離をぐっと縮めるような魔法があります。

大竹:これまでの経験の中で嬉しかったエピソードはありますか。

永島:2日間ご一緒した学生さんの旅行で、サプライズをしていただいたことがあります。旅行の最後に「ドライバーさんとガイドさんへ」というメッセージを読んでいただいて、大人げなく泣いてしまうくらい、本当に嬉しくて感動しました。

河村:私は社員旅行の際にお客様からお褒めの言葉をいただいたのですが、後日、旅行会社にもお電話をしてくださり、「来年も河村さんで」と指名をしてくださったそうです。お礼の言葉をいただく機会は多いですが、お電話でもお褒めの言葉をいただいて来年の予約までしていただけたのはすごく嬉しかったですね。

座談会では楽しくためになる話をしてくれた河村さん。バスに乗ってご案内する姿と、フレンドリーな雰囲気の中にある真剣な表情が印象的です。

―プライベートの過ごし方

高山:先輩方はお休みの日はどんなことをしているんですか。

永島:私はジムに行ったり、ゴルフに行ったり。家では録りためたテレビ番組を観ていますね。
あとは仕事で案内する場所にドライブしに行くことも多いかな。よく行く場所でも、乗っているクルマが変わると見える景色もちがって楽しいんですよ。

(左)永島さん (右)高山さん
体力勝負のツアーアテンダントは、スポーツ好きや旅行好きなど、アクティブな人が自然と集まるようです。

河村:私は録画したテレビ番組を観て情報収集をしたり、体を鍛えるためにボクシングジムにいってボクササイズをしたりしています。あとはクルマが大好きなので、休みの日にショールームにお邪魔したり、ミニカーを集めたり。クルマの中でも特にレクサスが好きなので、ドライブデートに行くときにレクサスのISやGSの助手席に乗せてもらえたら、ドライブコースはどこでもいいかも。(笑)
職業柄、お客様目線で話をするので左右の認識が逆になるんですよね。カーナビに「右に曲がってください」と言われたら左に曲がってしまいそうなので、免許を取ってから一度も運転したことがないんです。だから助手席に座らせてもらうだけの方がありがたいですね。(笑)

(左)大竹さん (右)河村さん
プライベートでの経験が個性的な魅力になり、仕事の場でも発揮されています。

―では最後に皆さんにお聞きします。今後の目標を教えてください。

高山:海外からのお客様も増えていますから、苦手な語学を克服して英語でコミュニケーションを取れるようになりたいです。

大竹:私は大学で中国語を学んでいるのですが、まだ自己紹介程度しかできないので2020年の東京オリンピックまでにコミュニケーションが取れるぐらい上達したいです。

永島:私も英語が話せるようになって、いつか海外のお客様をご案内して、日本の魅力を自分の言葉でお伝えしたいです。言葉がわかることで、よりお客様を手厚くケアすることができますから。やはり言葉は大切です。

河村:私は東京オリンピックのために、英語の勉強をがんばってます。海外からのお客様が多いツアーのときは通訳の方が付いてくださるのですが、自分の言葉でないとお客様との距離も縮まらない気がするんです。まずは英語を習得して、私の言葉をダイレクトにお伝えしたい。
あとは世界各国の言葉で、最低限の挨拶と自己紹介はできるようになりたいです!

凛とした制服姿は、とてもカッコイイですね。

東京オリンピックが開催される2020年には、新人のお二人もエースとして活躍されているかもしれませんね。これからも皆さんの“おもてなしの力”で、さまざまなお客様に日本の魅力を伝えていってください!

撮影協力:ワールド自興株式会社(http://www.worldbus.co.jp/index.html

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road