【ノスタルジック2デイズ特集】イベントプロデューサーが愛するロータリー20周年記念のRX-7オープンモデル

大草原を走る野獣のパワーにあふれる野生美と、世界発の蒸気船と原子力船の名前から命名されたマツダのサバンナ。
初代モデル(RX-3型)は1971年にレースで無敵を誇っていた日産・スカイラインGT-R(通称:箱スカ)の50連勝を食い止めると、その後は国内レースで通算100勝を達成。
後継モデルとして1978年に登場した初代サバンナRX-7(SA22C型)も、日産・フェアレディZやポルシェ・911を相手に、米国のモータースポーツで大活躍した。

ここで紹介するのは、サバンナRX-7の2代目であるFC系のなかでも珍しい、電動式ソフトトップを装備するサバンナRX-7カブリオレ(FC3C型)。ロータリーエンジン発売20年を記念して、1987年8月に登場したモデルだ。

2006年にインターネットオークションで手に入れたというこの1990年式サバンナRX-7カブリオレのオーナーは、ノスタルジック2デイズのプロデューサーを務める広重克典さん。
国内最大級の旧車・絶版車イベントの責任者自身も、旧車の魅力に魅せられたファンのひとりというわけだ。

これまでの車歴はトータルで23台にもなる広重さんにとって、サバンナRX-7カブリオレのお気に入りのポイントは、なんといっても美しいサイドビュー。「屋根を開けても、屋根を閉めてもカッコイイですよね」と、フルオープン、ルーフレス、クローズドの3タイプのルーフ形状が可能な3ウェイトップにぞっこんだ。
ブラックの外装は必要に応じて少しずつ再塗装をおこなっていった結果、現在はほぼオールペン状態という。

サバンナRX-7カブリオレに搭載されているのは、マツダの代名詞ともいえるロータリーエンジン。654cc×2ローターの13B型にターボチャージャーを装着してカタログスペックは185psと謳われていた。広重さんのFC3Cは静岡県にあるロータリー専門ショップ・RSパンテーラよってファインチューンが施され、320psまで出力が高められている。

その内容を伺ってみると、エンジン本体はオーバーホールを兼ねてサイドポートを拡大。ターボチャージャーは容量の大きいハイフロータイプで、エンジン制御はオーストラリア製のレーシングECU『アダプトロニック』でおこなっている。「ロータリーエンジンの好調を維持していくうえで重要なのは、なんでも気軽に相談できて信頼できる主治医の存在。『ロータリーは壊れやすい』と誤解している人も多いようですが、しっかりメンテナンスさえしていれば、こんなに楽しいエンジンはありませんよ!」と広重さんは言う。

ダッシュボードやセンターコンソールは直線基調のオーソドックスなデザインだが、ライトコントロールスイッチやウインカーレバーはメーターコンソールと一体という独自のスタイル。シンプルな3本スポークタイプのステアリングは、当時の走り屋御用達のナルディクラシックだ。

スピーカー内蔵式のヘッドレストをもつレザーシートはカブリオレ専用装備。エンジンコンディションの把握に欠かせない追加メーター類は、正確さを求めてデフィの最新タイプを装着している点にも注目したい。

「私の場合は、旧車が欲しいというよりも、好きになったクルマがたまたま旧車だったっていう感じですかね。サバンナRX-7カブリオレのほかにトヨタ・クレスタ(GX61)や日産・スカイライン(DR30)などにも乗ってきましたが、80~90年代の国産車はコンピュータ制御のエンジンで扱いやすく、エアコンなど快適装備もしっかりあるのに、アナログ的なダイレクトな操作感が味わえるのが魅力。通常のメンテナンスさえしっかりしておけば比較的トラブルも少ないので、旧車ライフの入門としてもお勧めだと思います」と、広重さんは締めくくってくれた。

[ガズー編集部]