これまで頑張った自分へのご褒美に…初めてのメルセデス・ベンツ、初めてのオープンカー

「これまで頑張った自分へのご褒美に」。これまでの人生において、誰でも1度や2度はそんな理由で、自分自身へのプレゼントを贈ったことがあるのではないだろうか。この純白のメルセデス・ベンツSLKのオーナー氏もそんな一人かもしれない。しかし、このオーナー氏は勤めていた企業を定年退職し、3人のお子さんたちもきちんと独立させた。一ビジネスマンとして、また一人の父親として、一家の大黒柱として…。オーナー氏は見事に大役を果たした。これまで自分の欲求よりも家族を第一に考えてきたのだ。頑張った自分自身へのご褒美として、メルセデス・ベンツのオープンカーを手に入れてもいいではないか。

現在60代のオーナー氏にとって、このメルセデス・ベンツSLKは人生における2台目の輸入車だという。ちなみに1台目の輸入車は、1982年式シボレー・カマロだ。今でも印象深いと語る初代シーマなど、日本車を中心に乗り換えてきたオーナー氏が、このSLKを手に入れたのは約3年前。ようやく自分の時間が持てるようになったとき、長年の憧れであった「2シーターのオープンカー」を手に入れようと決意。当初はマツダ ・ロードスター(3代目)の限定車を探していた。しかし数が限られているため、ついにお目当ての限定車を見つけることができなかった。それならば、ということで、もう少し予算を増やしてメルセデス・ベンツSLKを視野に入れることにしたのだという。

しかし、メルセデス・ベンツの新車のオープンカーを購入するのはハードルが高い。そう考えたオーナー氏は、正規ディーラーの認定中古車という選択肢があることを知る。高年式かつ低走行の個体が揃い、保証も付帯されるので安心だ。

メルセデス・ベンツのオープンカーといえば「SL」が王道だが、その弟分にあたる「SLK」の存在も実に魅力的だ。兄貴分のSLに先立ち、車内のスイッチひとつでメタルトップの屋根がみるみるオープンカーへと姿を変えていく。そんな男心をくすぐる点にも惹かれた。こうして理想のSLKを見初めるべく愛車探しがスタートする。狙いはデザインが好みだという、先代モデルにあたるR171型と決めていた。インターネットで検索していくうちに「SLK 200 コンプレッサー 2 LOOK Edition」という限定車の存在を知る。「手に入れるならこのモデルしかない!」そう思い定めた瞬間だった。

ちなみにこの限定車は日本に40台しか存在しない。さらに、オーナー氏が所有している「designoミスティックホワイトII」という名のボディカラーは20台しか用意されていない。内外装に専用装備を採用し、その希少価値も魅力的だが、程度の良い中古車といつ巡り逢えるか?それは運を天に任せるしかなかった。

他のクルマに一切浮気することなく、探しはじめて1年ほど経ったある日、ついに幸運の女神が微笑んだ。低走行かつ正規ディーラー認定中古車である「SLK 200 コンプレッサー 2 LOOK Edition」の売り物を見つけたのだ。これは巡り合わせとしかいいようがない。すぐさまディーラーに問い合わせたところ、まだ売れていないとのことで現地に向かい、幸い程度も良かったことから、試乗もせずに購入を決めた。こうして、念願だったメルセデス・ベンツSLK 200 コンプレッサー 2 LOOK Editionのオーナーとなったのだ。

 

「designoミスティックホワイトII」という名のボディカラーと、専用ペイントが施されたAMG製の5本スポークアルミホイール、AMG製カーボンインテリアトリムの車内に、ボディカラーに近い明るいグレーの(見た目はオフホワイトだ)の差し色が洒落ているブラックレザー。オーナー氏が運転席に収まる。車内のスイッチひとつで屋根が開け放たれ、オープンカーになる。オーナー氏の表情も自然と笑顔になる。念願だったSLKを見つめる表情は穏やかさに満ちあふれている

人生の酸いも甘いもかみ分けたオーナー氏にとって、このSLKも大切な息子であり、愛娘なのかもしれない。走る前にはていねいに愛車を洗車し、美しい状態を保つことも怠らない。お子さんたちは巣立っていったが、このSLKとの蜜月ははじまったばかりだ。今日もどこかで、少し照れくさそうな表情を浮かべてフルオープンのSLKを走らせているに違いない。

(編集: vehiclenaviMAGAZINE編集部 / 撮影: 古宮こうき)

[ガズー編集部]