FD3Sに乗るためにAT限定を解除! 特別限定車に乗る女性オーナーが心掛けている最大限の愛情表現とは?

2021年10月17日(日)に群馬県で開催された『ディーズガレージオータムフェスティバル2021』。会場は『頭文字D』ファンから聖地として認識されている榛名山の麓ということもあって、会場には作中の主役であるAE86やFD3Sの姿が目立っていた。

そんな十人十色のカスタマイズが施された参加車両たちの中で、ある意味ほかとは違うオーラを放っていたのが、発売当時のノーマル状態を大事にキープすることにこだわりを持って乗られているという、こちらのマツダRX-7(FD3S)だ。

オーナーの絵夢さん(Twitterアカウントネーム)がこのFD3Sと出会ったのは、今から4年前。
「FDに乗るまではずっとAT限定免許だったんです。もともと父と母がどちらもスポーツカー好きで、これまでにも何十台とクルマを乗り換えているほどだったんですが、私はクルマではなくずっと別の趣味にハマっていました」

本業をこなしつつ、シンガーソングライターや、コスプレイヤーとしての活動、キックボクシングや海外旅行などなど、様々な趣味を楽しんでいたという絵夢さん。
そんなある日、ふとFD3Sに乗りたいと思うタイミングがやってきたそうだ。

「とくにこれといったキッカケはないんですが、以前から頭文字Dで見たスタイルが好きで、自分が買って乗るならFDがいいな、と思っていたんです。父親が昔ロータリーエンジンのクルマに乗っていたのも少し影響しているかもしれませんね。それで、FDを探すならマニュアル車に乗れないとダメだと思って、まずはAT限定免許を解除しました」

晴れてマニュアル免許を取得した絵夢さんは、これまでの活動で使っていたTwitterアカウントでFD3Sを探していることを報告。すると、フォロワーの友人のひとりがFD3Sに乗っていることが判明。そのFD3S乗りに相談して、付き合いのあるショップへ連れて行ってくれるようにお願いしたのだという。

そうして絵夢さんが訪れたのが、埼玉県川口市に店舗を構えるRX-7専門店の『アイエスオート』だった。
「FDが欲しい気持ちは強かったんですが、当時はまったくクルマについては素人で、FDに関する知識もほとんどゼロでした」と絵夢さん。

店舗に並んでいたうちの1台が気になって詳しく話を聞いてみると、FD3Sの最終型をベースに専用のサスペンションやホイールなどが装着されたタイプRZという特別限定車で、新車で納車された状態の装備がほぼそのまま揃っているという絶好のコンディションだった。

「とくにFDはチューニングやカスタムして楽しむ人が多いそうで、ノーマルの限定車は本当に貴重だとも伺いました。そう言われたら、なおさらこのFDが可愛く思えて、誰かに乗られてこの状態じゃなくなってしまう前に、私が手に入れてずっとこのままの姿で乗ってあげたい!!という気持ちになったんです」

買った当時のコンディションをキープすることに加えて、実際に走らせることも愛情表現だと考えているという絵夢さん。
手に入れて最初の2年弱はメンテナンスで入庫している時間のほうが長かったと言いながらも、購入当時は9万kmだった走行距離は、所有してからの4年間で早くも14万kmを超えている。

FDに乗り始めてからは、毎週のようにツーリングやミーティングといったイベントに愛車で出かけるようになったそうで、なんと1年前に入籍したという旦那さんとの初めての出会いもツーリングだったという。
仲間内でのツーリングでは、しばしば友人同士で新たな参加者を招待することがあるようで、そこに旦那さんがやってきたことから交流を深めていったとのこと。こういった新たな交友関係もこのFD3Sがなければ生まれなかっただろうから、運命の出会いと言えるだろう。

そんな旦那さんの愛車はC7コルベット。イベント当日は2人ともそれぞれの愛車に乗って参加されていて、2シーターのクルマに乗るもの同士、お互いを深く理解し合って楽しんでいる仲だということが伝わってきた。
ちなみに、2人とも自宅に置いておく荷物が最小限という共通点もあり、引っ越しですらFDとコルベットの2台で済ませてしまったというお話にも驚かされた。

毎週末のプライベートでの使用のほか、通勤にもFD3Sを使うことがあるという絵夢さん。深めのドライビングポジションが要求される特別限定車の専用バケットシートに、3ペダルの組み合わせは、身長148cmの絵夢さんにとって苦労する場面も多いというが、純正シートを使い続けることも愛車へのこだわりのひとつだという。

こうしてアフターパーツの使用をなるべく避けている一方で、インテリアの小物には絵夢さんの好みを少しだけ反映。「友達がツイッターに大きいサメのぬいぐるみを乗せている姿をアップしていて、かわいいなと思ってマネしたんです(笑)。そうしたら周りにサメが好きなんだと思われて、小さいぬいぐるみもプレゼントしてもらっちゃいました」

乗り始めてから4年間でタービンやインテークホースなどの修理も必要になったというが、エンジン本体は圧縮抜けなどもなく快調そのもの。エンジンのコンディションを維持するため、エンジンオイルを頻繁に交換するように心がけているという。

最終型FD3Sとはいえ、すでに生産から20年近くになろうとしている個体だが、ノーマル状態のエクステリアを維持しつつその年月を感じさせないほどのコンディションの秘密は「小さなキズでもすぐに修理してキレイな状態に戻すこと」と絵夢さんは話してくれた。
もちろん、限定車だけに採用された専用色のボディカラー『スノーホワイトパールマイカ』の輝きもキープしている。

こうして絵夢さんに愛車のお話を伺っている最中、最も印象に残ったのが彼女のFD3Sに対する愛情の深さだ。
例を上げればロータリーエンジン車ゆえにレシプロとは少し事情の異なるメンテナンスの心得や、タービンや圧縮といった用語が自然と会話に登場するなど、その内容はつい4年前までは本当にAT限定免許だったのかと疑ってしまうほど。

中古車市場の高騰が続くFD3Sの限定車となれば、乗らずに大切に車庫保管するオーナーも存在するのは当然のこと。しかしそんな愛車を所有するだけでなく「これからも永く大事に乗り続けることが目標」と、知識と行動の両方を愛車のために費やしていく絵夢さんの姿は、理想のFD3Sオーナー像として憧れすら抱かせてくれるものだった。

取材協力:ディーズガレージ

(⽂: 長谷川実路 / 撮影: 市 健治)

[ガズー編集部]

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