ハイエースでの総走行距離は100万キロオーバー!トヨタ・ハイエース ワゴン グランドキャビン(200系/4型)
トヨタ・ハイエース(以下、ハイエース)といえば、日本国内ではもちろん、海外でも人気の高いクルマとして知られている。
たくさんのミニバンが日本の街中を走るようになって久しいが、ハイエースのようなワンボックスカーの存在感が色褪せることはなかった。むしろ、各分野のプロフェッショナルにとって欠かせないクルマとして、存在感が増しているように思う。今回は、ハイエースの中でもっとも大柄なボディを持つ「ハイエース ワゴン グランドキャビン」を愛車として活躍しているプロフェッショナルを紹介したい。
「このハイエースは2014年に購入しました。今年で丸4年、現在、6万キロを走破したあたりです。この個体は、自己所有としては4台目のハイエースになります。私は、映像カメラマンを生業とする企業を経営しているのですが、このハイエースは機材車として、あるときにはロケ車として、そしてプライベートでは家族や友人たちを乗せてBBQやウインタースポーツの足としても大活躍してくれています」。
ハイエースは1967年に誕生し、現行モデルの200系は5代目にあたる。この200系は2004年に発売され、現在まで生産が続けてられているロングセラーモデルだ。大別すると、ワゴンとバンが存在し、さらにルーフの高さやボディの幅や長さなど、用途に応じてさまざまなバリエーションが用意されている。一度フルモデルチェンジすると生産期間が長いモデルだけに、安全装備の拡充や外観の仕様変更など、改良やマイナーチェンジなどを繰り返すことで、その時代に対応した進化を遂げている。
オーナーが所有する「ハイエース ワゴン グランドキャビン」のボディサイズは、全長×全幅×全高:5380x1880x2285mm。「2TR-FE型」と呼ばれる排気量2693cc、直列4気筒DOHCエンジンが搭載され、最大出力は160馬力を誇る。現行モデルにおいてもっとも大柄なボディを持つオーナーの個体は、間近で見るとかなりの迫力だ。これほど大きなサイズのクルマを運転することに躊躇はしないのだろうか?
「躊躇なんかしていられません(笑)。仕事はもちろんのこと、プライベートで狭い道でもガンガン走ります。特に仕事では取材やロケなどで全国各地を回りますから、往復で1000キロを超えるような移動も珍しくありません」。
愛車を仕事で使うとなれば、ハードに使う場面も少なからずあるだろう。敢えてハイエースを選んだ理由は何だろうか?
「これまでに、仕事で何台もハイエースに乗ってきた印象を一言で表現するとしたら『タフであること』に尽きますね。大人が10人乗って、さらに機材や荷物などを積み込み、高速道路をひた走っても音を上げません。それに、走行距離が伸びてもボディのヤレが少ないんです。この点は、他メーカーのワンボックスと比べても優れていますね。それに、ハイエースはリセールバリューが高いことも重要なポイントです。仕事で使うので走行距離が伸びますし、細かい傷がついてしまうことだってあります。それでも、市場ではハイエースというだけで高く評価されますから、酷使することもあるオーナーにとってはありがたいことだと思います。以前乗っていたハイエース(200系/2型)は、4年11ヶ月・18万キロ乗った個体でも、他車では考えられないような査定額になり、驚きました」。
主に、テレビ番組や映像媒体の撮影やロケに使っているというこのハイエースには、どのようなモディファイが行われているのだろうか?
「私は純正部品志向なので、オプションは可能な限り選びました(笑)。メーカーオプションのボディカラー(ラクジュアリーパールトーニング)・LEDライト・自動ドア・純正アルミホイール(現在はスタッドレスタイヤを装着)・バックカメラ・寒冷地仕様などです。あとは、仕事で必要な装備を追加しています。簡易車載無線機は、移動中やロケ地などで、他のクルマとのやりとりに重宝しています。リアゲートのところにあるラダーとルーフラックはAIBA WORKS製の『ノセルダ』です。大人が2人乗っても大丈夫なほど頑丈な造りで、ここにカメラマンと業務用の機材を乗せて、高い位置から撮影することもあります。三脚(これもプロ用の本格的なものだ)を立て、その上にテレビカメラを載せるので、しっかりとした足場でないと画面が揺れてしまうんです。あとは、移動中に同乗者の方が快適に過ごしてもらえるよう、リアにもアルパイン製のモニターを取り付け、TRAVOIS製のリアヒーターおよびリアクーラーを取り付けました。ハイエースのリアエアコンは細かい温度調整ができないので、この点は不満ですね」。
200系のハイエースは、発売から14年が経過しており、いずれニューモデルが発売されるだろう。これまでさまざまなハイエースに乗って来たオーナーが、次世代のモデルに求めるものは何だろうか?
「個人的なリクエストになってしまいますが、私にとって理想型のワンボックス車は『5ナンバーサイズで、大人6人の撮影クルー(プロデューサー、ディレクター アシスタントディレクター、カメラマン、オーディオ、カメラアシスタント)が車内で快適に過ごすことができ、たくさんの機材が積み込めること』なんです。一般的な使い方であれば『5ナンバーサイズで、3列シートでも大人6人がゆったり乗れて、ゴルフバッグが6セット積める』仕様でしょうか?そんなグレードが設定されたらありがたいですね。あと、次期ハイエースには、リアシートにもオートエアコンが欲しいですね。さらに、これまでと同様に、撮影用のルーフキャリアが装着できればベストです」。
最後に、現在の愛車を含めた、ハイエースへの思いを伺ってみた。
「会社員時代には、社用車で100系のハイエースを6台、200系は2台乗り継ぎました。同日に異なる4つのグレードのハイエースを長距離運転したこともありましたよ。グレードごとにクルマの癖があることにも気づきました。当時の年間走行距離は、ピーク時で7万キロ(仕事で国内5万キロ、海外1万キロ、プライベートは1万キロ)を超えていたように思います。振り返ると、ハイエースを運転したトータルの走行距離は軽く100万キロを超えていると思います。壊れず、タフなクルマであること、快適であること。そして長距離の移動でも、他メーカーのワンボックス車と比べて疲れが少ないこと。この点はハイエースならではだと思いますね。同乗者を含め、そんな乗り方ができるのもハイエースならではだと思いますね。若いときにはトヨタ マークIIや日産・レパード、シルビア、スカイライン、スバル・レガシィツーリングワゴン、ボルボ850エステート、シボレー・トレイルブレイザーなども所有しましたし、決してハイエースマニアというわけではないんです(笑)」。
オーナーのハイエースは、仕事の頼れる相棒として重要な役割を担っていることは間違いない。これが旧車のような趣味性の高いクルマであれば、雨の日は乗らないといった使い方もできるが、仕事となれば悪天候の高速道路をひたすら移動しなければならないこともあるだろう。「壊れない・タフ・快適」という、現代のクルマとして欠かせない要素をクリアすることは当然かもしれないが、オーナーを含めたヘビーユーザーのニーズにもきちんと応えられることは、日本車が世界で支持されている理由のひとつなのかもしれない。
多くのユーザーは、最新のスポーツカーやSUV・ミニバン・ハイブリッドカー・電気自動車などに関心があるのかもしれない。しかし、各業界のプロフェッショナルたちに頼りにされ、ロングセラーであり続けることには何らかの理由があるはずだ。何かの機会にハイエースに触れてみると、質実剛健かつ高い実用性と機能性を兼ね備えていることに驚くに違いない。ハイエースというクルマが、名実ともに日本が世界に誇れる1台であることを改めて実感した取材となった。
(編集: vehiclenaviMAGAZINE編集部 / 撮影: 古宮こうき)
[ガズー編集部]
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