西部警察に憧れスポーティセダンを乗り継いだオーナーが、現行クラウンを『ちょす』とこうなる!【取材地:北海道】

ちょすとは、北海道弁で“いじる”

現行モデルの220型トヨタクラウンを今年の3月に購入し、オトナの余裕を感じさせるカスタムを細部までくまなく施した品田重幸さん。

通勤から普段乗り、休日の趣味までこの1台でこなしているという長距離トラックドライバーだ。
今年で53才の品田さんが生まれたのは1968年。70年代に全盛を迎えるスーパーカーブームの真っ只中を過ごしてきた世代ということもあって、地元の高校に入学するころには周りがクルマ好きで溢れていたという。
「とにかくそのころは学校の先輩の影響が大きかったですね。16才になったらすぐに2輪の免許を取ってバイクに乗らないとカッコ悪い、というような環境で育ってきたので、みんなをマネして自分もバイクに乗って、18才になったらそのまま4輪へ…というような流れでした」

18才の品田さんが最初の愛車として選んだのは、ダットサンを代表するセダンの910型ブルーバードだった。「本当は先輩が乗っていたのと同じジャパン(C210系スカイライン)が欲しかったんですが、値段が高くて手が出せなかったので、当時安かったブルを選びました」

父親が日産党だったことに加えて、品田さんに大きな影響を与えたのが、テレビ朝日で放映されていたドラマ『西部警察』に登場し、毎週ド派手なカーアクションを披露する日産のスポーティセダンだったという。

高校卒業後は4年制の大学へ進学、卒業するまでの4年間をブルーバードで過ごし、現在の長距離トラックドライバーの職に就いたタイミングで、品田さんはついに憧れだったスカイラインを愛車として購入する。
だが、手に入れたのは憧れだったジャパンではなく、ちょうどそのときにデビューしていたR32型のGTSだった。
スカイラインに数年間乗ったあと、よりスポーティなクルマに乗りたいと思って選んだのはクーペボディのS13型シルビア。当時はまだスパイク付きタイヤでの公道走行が許されていた時代だったので、FR車でも北海道の冬を過ごすのに苦労を感じる部分は少なかったそうだ。

「シルビアに2年くらい乗ってから、ずっとマニュアル車に乗ってきたこともあってそろそろオートマのクルマも試してみたいと思って買ったのがホンダのプレリュードでした。VTECのエンジンを試したい気持ちもあったんですが、乗ってみたらFF車はちょっと自分には合わないなと思って、これも2年くらいで乗り換えましたね」

そして品田さんが次に選んだのはスバル・レガシィB4のBE5型。スパイクタイヤへの風当たりが強まりスタッドレスタイヤが普及したことで、雪道を走る上では4WD車であることが欠かせなくなり、その中でも走りも楽しめそうなモデルということで選んだという。

地元の友人と釣りやキャンプに出かけることもあるけれど、あえてツーリングワゴンではなくセダンのB4を選んだことについては「確かに積載力を考えればワゴンに乗る気持ちも分かるんですが、それだと周りから『いかにも』という雰囲気で見られてしまうのが好きじゃないんです。ずっと妻と2人で生活しているのでリヤシートは使わないし、キャンプも仲間とお酒を飲んでBBQをするような遊び感覚なので、セダンで十分なんですよ」とのこと。

ちなみに現在乗っているクラウンでもその用途は変わらず、いつでも荷降ろしができるようにトランクの中は必要なものが整頓されて載せられている。

このレガシィB4に9年乗った後、よりスポーティなGVB型のインプレッサWRX STiにも8年乗り、走行距離がかさんできたことから乗り換えたのが、現在のクラウンというわけだ。
「クラウンがいいなと思ったのは、現行モデルが発表されてからなんです。それまでのクラウンはスポーツカー好きな自分にとっては落ち着きすぎた車種のイメージが強かったから。だけど、現行型になって足まわりの設計が一新された上に、デザインも一気に自分好みなものに変わったので、欲しくなりました」

なかでも、リヤクォーターのデザインがクーペボディのようなデザインに仕上がっている点が、品田さんが気に入った部分だ。
このクラウンを仕上げるにあたって品田さんが考えたコンセプトは、ヨーロピアンテイストなエクステリアを目指すこと。
そのためにまず着手したのが、ボディを飾るメッキ部分をブラッククリアのフィルムなどを使って徹底的に落ち着いた雰囲気に仕上げることだったという。
大きなパーツはフィルムで、エンブレムなどの小物はオプションなどで手に入るようであればすべてダークカラーのものへ変更している。

エアロパーツはアグレッシブさのあるトムスのリップやサイドスポイラーでまとめ上げ、リヤはTRDのディフューザーに合わせてチタンフィニッシュの美しいガナドールの4本出しタイプをチョイスした。

ブラックカラーを基調としたシックなイメージはインテリアにも取り入れ、統一感ある仕上がりに。ナビディスプレイもクラウンに採用される大型のモデルから、トヨタ純正品のなかでも主張の少ない12.3インチの小型モデルをあえて流用して交換。フロアマットにモノトーンのカロマットを採用している点もオトナの雰囲気を引き立てている。

品田さんのクラウンはハイブリッド 2.5 RS アドバンスFour 4WDモデル。できることなら3.5Lのモデルを選びたかったが、冬季の使い勝手を考え唯一4WDが設定されている2.5ハイブリッドを選ぶこととなったという。

そのエンジンルームを覗くとバフ仕上げのアルミインテークはもちろん、エンジンカバーも純正品に手を加え、ボディカラーと統一感のあるガンメタリックに染め上げられているこだわりの作りだ。

2.5Lでもなるべく乗っていて楽しい仕様を目指すために、アクセルレスポンスをアップさせるためのスロットルコントローラーを追加。ブリッツ製のダンパーは減衰力調整を室内で操作できるオプションも追加し、スポーツモードを更に楽しめるように工夫している。
ヨーロピアンテイストなエクステリアに合わせて、レカロのシートを装着したかったという品田さんだが、4WDモデル向けのシートレールが存在せず断念したという。

足元に組み合わせるのは2ピースホイールのBBS・LMの20インチ。めっき部分を減らしたボディとのコントラスト、ホイールを大きく見せつつ車検対応に無理のない範囲でと選択した9Jというサイズは、メンテナンスを行っているGRガレージへ入庫できるように悩み抜いた結果だ。

メンテナンスだけではなく、これらの品田さんのこだわりが詰まったクラウンのカスタムは、すべてGRガレージ札幌厚別通で行われてきた。
「クラウンの購入前からこういったことをやりたいという考えがあって相談に行ったところ、若い営業担当の方が親身になって協力してくれたのが購入の決め手のひとつにもなりましたね。カスタムの中でも例えばエンジンカバーの塗装は熱の影響もあって最初は難しいと言われたんですが、それもなんとかやり方を探してやってくれたのも嬉しかったですね」

『○○をちょす』という言葉が北海道の方言にはある。これは『○○をイジる、改造する』といった意味で使われる言葉だそうだが、品田さんがここまで『クルマをちょす』ことに情熱燃やす原点は、社会人のころにカッコいいと思った先輩のクルマにあると話す。

「23、4才のころに先輩がフルチューンにして乗っていたR30スカイラインRSターボが、今でも心の底に憧れとして残っています。ヨーロピアンな雰囲気を目指す前にガンメタのボディが好きになったのも、そのR30がガンメタだったからだと思います」と品田さん。

そして、セダンに並々ならぬこだわりを持っている品田さんにとっては、現行クラウンが最後のセダンモデルになるかもしれないと噂されていることも重要だった。
「自分たちの世代にとってはクラウンといえば『いつかはクラウン』のキャッチコピーの通り憧れのクルマでしたからね。自分からしたら『やっとクラウン』といった感じで、この型が最後のチャンスになってしまうかもしれないと思ったら買わずにはいられませんでした」

果たしてこれが最終型のクラウンセダンになるのか、現在のところはわからない。しかし、品田さんがこれからも愛車にはセダンを選び続け、それを自分のやりたいようにカッコよく『ちょす』未来が続いていくことは間違いないだろう。

(⽂: 長谷川実路 / 撮影: 平野 陽)

[ガズー編集部]

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