「音の専門家」のクルマが MAZDA 3 でなければならない理由

MAZDA 3 ファストバックを日々愛用している上杉尚史さんの職業を説明するのはなかなか難しい。だが、もしも大ざっぱに形容することをお許しいただけるなら、「音とデジタルのひとり総合メーカー」という表現が、おそらくはいちばんしっくりくるはずだ。

さまざまな音楽(music)を制作し、楽器演奏や音楽制作の指導なども行うミュージシャンであると同時に、さまざまな音(sound)を作る職人でもあるのが、この上杉尚史さんという人である。クライアント企業と結んだNDA(秘密保持契約)のため、ここで多くを語ることはできないが、きっとこれを読んでいる方の多くもどこかで「上杉さんが制作した音」を耳にしているはずだ。

そんな「ミュージシャン兼職人」が、自家用および機材運搬用のクルマとしてMAZDA 3を選んだ理由は、そもそもの話としては1999年頃の「マツダ ファミリアS-ワゴン R」にまでさかのぼる。

「父がトヨタ好きで、彼はずっと昔からトヨタ一筋でしたね。北海道出身なんですが、当時は『道内に3台しかない』とされていた3代目コロナのハードトップ、その20年後で言うソアラみたいな存在のスペシャルティカーを僕が子どもの頃、いち早く買ってました。まぁ希少車だったせいか、買って1ヵ月ぐらいで盗まれちゃったみたいですが(笑)」

そんな父の影響を色濃く受けた上杉少年もクルマ好き、トヨタ車好きとなり、ギター演奏と音楽制作を愛する18歳の上杉青年となった頃には父のカローラIIを(ほぼ)譲り受けて愛用し、その後は10代目のトヨタ コロナSFへ。これには「ずいぶん長く乗った」という。

その後、結婚したということもあってマツダ カペラカーゴとスバル インプレッサ スポーツワゴンというステーションワゴンを乗り継ぐことになったが、ある日、「マツダからけっこういい感じのステーションワゴンが出たらしい」と聞き及んだ。

「なら、ちょっと見てみるか」ぐらいの軽い気持ちで近所のマツダ ディーラーまで行ったことが、今日まで続く“マツダ車生活”の起点となった。ちなみにそこで出会ったマツダ ディーラーの担当セールス氏は、今現在でも上杉さんの担当である。

「ファミリア S-ワゴンに試乗してみて『あ、これはけっこういいな』ということでインプレッサ スポーツワゴンから買い替えたのですが、長男が生まれた関係で、実は1年後ぐらいには早くもプレマシー(マツダが製造していた7人乗りミニバン)に乗り替えちゃったんです。そこからですかね、“マツダ沼”にハマったのは……」

これ以降、上杉さんはマツダのアテンザスポーツワゴン、ほぼ同じ色のアテンザスポーツワゴン(笑)、アクセラスポーツ、そしてまたアクセラスポーツ、さらには現在の2019年式 MAZDA 3 ファストバックと、マツダ車ばかりを乗り継ぐことになった。

いったいマツダ車の何が、上杉さんの心をそこまでとらえたのだろうか?

「なんといいますか、『クルマ好きな人が作っている』ということがビンビンに伝わってくる――と言えばいいのかな?まずはとにかく運転そのものが非常に楽しくて、大排気量車ではなくても山道をガンガン上ることができて、あるべき装置があるべき場所にあって、デザインは非常に斬新で美しいのですが、決して奇をてらったニュアンスではない、ある意味古典派ともいえそうなテイストで――というすべてが、僕に刺さるんです。しっくりくるんですよ」

そして比較的小ぶりなサイズの車種であっても、音響機材などの荷物をごく普通に収容する点も魅力だという。

「3ナンバーサイズになったアクセラスポーツは、歴代アクセラのなかでは断トツに積載可能量が多かったですし、今乗ってるMAZDA 3 ファストバックも、決して大きくはないデザインコンシャスなハッチバックであるにもかかわらず、ご覧のとおりの感じで荷物を飲み込みますからね。趣味のクルマとして申し分ないのは言わずもがなですが、“機材車”としても、MAZDA 3 ファストバックって実はけっこう優秀なんですよ」

近年は主にデジタル系技術の進化により、音楽・音響系の機材も「小型だけど優秀」というものが増えている。そういったトレンドが機材車としてのMAZDA 3を後押ししている部分もあるのだろう。だがそれにしても、この小さめで美しいハッチバックの中に、300人規模のホールコンサートにも耐えうるPA機器(音響拡声装置)一式が積まれているとは、普通はなかなか想像できない。

とはいえ仕事で機材を運搬する機会も多いのであれば、MAZDA 3のような「しゃれたハッチバック」ではなく、「やや大柄なミニバン」などのほうが便利であることは間違いない。そちら方面に買い替える予定はないんですか?との問いに、上杉さんは即答した。

「ないですね。いや、別にミニバンを否定するつもりはさらさらないですし、私自身、子どもが生まれたときは7人乗りのマツダ プレマシーを買いました。しかし、あくまで僕個人の場合は、クルマというのは美しくあってほしいと思ってますし、ダイレクトな操縦感覚を堪能できる楽しい乗り物であってほしいと思っています。となれば、もしも機材さえ――多少無理をしてでも(笑)――載るなら、やはりこういったタイプのクルマを選びますよね、必然的に」

そしてこの美しいハッチバックは上杉さんの仕事にも、まずまず大きな影響を与えているという。

「私は音づくりの専門家ですので、なんといいますか、『人にとって“心地よい”とはどういうことか?』『カッコよさとは何か?』『普遍性とは?』みたいなことを常に頭の中で考えています。そういった思考に対してMAZDA 3のデザインと乗り味は――もちろん全部が全部ではないですが――いろいろ教えてくれるんですよ。人間が好むものって、結局はシンプルで、飽きがこなくて、どこかちょっと古典的で、それでいて美しいものなんだよなぁ……みたいな感じで。そういった意味でもコレは手放せない相棒ですし、大事にしながら長く付き合っていきたいですね」

最後にそう言って運転席に乗り込んだ上杉さんとともに、MAZDA 3は走り去って行く。

その後ろ姿は確かに「シンプルで、飽きがこなくて、どこかちょっと古典的で、それでいて美しいもの」であるように、筆者にも見えた。その荷室には300人規模のコンサートに対応する無骨な機材類が満載されているとは思えないほどに。

(文=伊達軍曹/写真=阿部昌也)

[ガズー編集部]

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