ホンダ N-BOX+が演出してくれる、妻と子どもとの密な時間
キャンプを始めとするアウトドアレジャーやサーフィンなどのマリンスポーツを多くの人が楽しむようになって久しい。コロナ禍になってからは多くの人が三密を避けるために外で遊ぶようになったのも周知の事実だ。
外遊びでは多くの道具を持って出かけるため、ラゲッジスペースが広い大型のクルマがベストチョイスと思うだろう。今、SUVが流行しているのも外遊びがブームになっていることが理由の一つにある。
しかし、湘南エリアでSUPフィッシングを楽しんでいる小川将司さんの愛車はホンダ N-BOX+。デビューするやいなや爆発的ヒットを記録した初代N-BOXのリアスペースに遊びで使えるアイデアをプラスしたモデルだが、とはいえ空間に制限がある軽自動車だ。道具を積むのに不都合はないのだろうか。
小川さんに多くの人が感じる疑問をぶつけてみた。すると、小川さんはおもしろい話を教えてくれた。
「確かにクルマだけを見ると大丈夫かなと感じる気持ちはわかります。僕自身、購入時には同じことを考えましたから。でも今は、遊び道具がすごく進化しているので、少なくとも僕が楽しんでいる趣味ではまったく問題ないですよ」
SUPのボードは大きくわけて2つのタイプがある。ひとつは樹脂やカーボン製のハードボード。もうひとつがゴム製のボードに空気を注入して使うインフレータブルボードだ。
小川さんがSUPを始めた頃は暑い夏の日にボード内の空気が膨張してバーストするという事故もあったそうだ。しかし現在は接着技術が向上して、安心して使えるものが増えている。
ウェットスーツや濡れた衣類を入れるものもかつては硬い衣装ケースを使っていたが、今はシリコン製のバケツがあるので使わないときはコンパクトに収納できる。
「その上で、N-BOX+はリアスペースの床がN-BOXよりも低くなっているので、ゴルフバッグを立てて積めるくらい余裕があります。インフレータブルのボードなら後席を倒して積んでもまだ荷室に余裕があるし、助手席の背もたれを前に倒せばショートのサーフボードを中積みすることもできるし、僕は荷物が積めなくて困ったことはほとんどないですね」
内陸である埼玉県出身の小川さんは、子どもの頃から海への憧れが大きかったという。高校時代にテレビでハワイ・オアフ島のノースショアでのサーフ映像を観て衝撃を受け、サーフィンをするようになったという。
「テレビでは簡単にチューブライディングしていたので、『よし、俺もチューブに入るぞ!』とサーフィンを始めたのですが、できるわけがない。当たり前ですよね。しかも当時の僕は泳ぐことすらできませんでした。今考えると、かなり無謀でした」
大学生になって運転免許を取得すると、お祝いでおじいさんがクルマを買ってくれたという。選んだのは当時人気だったハイラックスサーフ。ただ、ディーゼルの5ドアはかなり高かったので、ガソリンの3ドアをチョイスした。
「学生時代はお金がないけれど時間だけはたっぷりある。埼玉から千葉や茨城まで、下道で片道3時間位かけて海に通っていました」
サーフは廃車になるまで乗り続け、次に選んだのは初代 ステップワゴン。これも当時のサーファーから人気の高かったモデルだ。
「ステップワゴンはシートを倒すと完全にフラットな空間がつくれたので、早く海に着いたときに車内で仮眠するのが楽でした。室内高も高かったので頭の上にサーフボードを積むことができた。これがサーファーから人気があった理由だと思います」
社会人になってからも、休日はなるべく海に行きたい。小川さんの仕事は転勤が多いのだが、仕事場にも海にも通いやすい場所を選んで暮らすようになる。現在は職場まで乗り換えなしで通えて、海にもクルマで30分弱で行けるエリアに住んでいる。
現在の愛車であるN-BOX+に乗り替えたのは約9年前。結婚して子どもも生まれていたので、クルマを運転する機会は奥様の方が圧倒的に多い。だから、奥様が普段の買い物や子どもの送り迎えで運転しやすいクルマにしようということになったのだという。
「最終的に軽自動車が楽だということになったのですが、正直なところ、最初は『軽自動車か……』と思いました。というのも、当時はトヨタ FJクルーザーが人気で、僕も乗りたいなと思っていたから」
そのことを奥様に話したところ「もう大きなクルマはいらない!」と、小川さんの希望は秒で却下された。小川さんは奥様と2人で渋々ホンダディーラーに足を運び、展示されていたN-BOX+を見て「あれ? これなら意外と便利に使えるかも」と感じた。
実際に乗ってみると、サーフボードやSUP、釣りの道具を楽々積めるのはもちろん、ラゲッジのボードを取り外すことができるので、車内に入った砂を払いやすいのも便利だった。何より燃費がいいので、どれだけ海に遊びに行っても怒られることがない。
「燃費に関しては実際にかかる燃料代だけじゃなく、イメージもあると思います。もし大柄なFJクルーザーに乗っていたら、今のペースで海に行っていると『いい加減にしなさい!』と小言を言われていたのじゃないかな(笑)」
小川さんにとってSUPで海に出ている時間は、仕事のスイッチをオフにするために欠かせないもの。クルマで気軽に海まで行ける場所で暮らすようになってからは、ストレスフリーだという。
釣りをやっているのだから当然狙った魚が釣れたほうが嬉しいはずだが、たとえ釣れなくても「これはこれで仕方ない」。そんな気分でいられる。
『Everything’s gonna be alright.』(大丈夫。すべてうまくいくよ)。N-BOX+は小川さんのこんなマインドに寄り添っているような気がした。
もちろん、小川さんは休みのたびに一人で遊んでいるわけではなく、家族でアウトドアを楽しむことも多いそうだ。旅先は伊豆が多く、もちろんSUPの道具も持っていく。
「家族4人で乗って、着替えや遊び道具も積んでいくから車内はぎゅうぎゅう詰め。でも逆にそれが楽しかったりします。いつも日の出の時間くらいに出発するのですが、妻が作ってくれたサンドイッチやおにぎりをクルマの中で食べながらワイワイと話すのは最高に気分がいいですよ」
N-BOX+に乗り始めてから9年。走行距離はもうすぐ10万kmに達する。ハイラックスサーフやステップワゴンなど、車内が広いクルマに乗ってきた小川さんだからこそN-BOX+に感じることもある。
「これまで乗ってきたクルマは何かものを取りたいと思ったら一度クルマから降りて後ろにまわる必要がありました。でも今は車内で手を伸ばせばたいていのものは取れる。自分の部屋にいるような、ちょうどいいサイズ感だと感じます。
あとは助手席や後部座席との距離感がいいですね。大きなクルマって後ろの席に座っている人の声が聞きとりづらいこともありますが、N-BOX+は自然に会話ができます」
子どもが大きくなると親と出かけるのを嫌がるようになり、家族で旅を楽しむ時間は減ってしまうものだ。でも小川さんファミリーは今でも「次はどこに行こうか」と話すことが多いという。残念ながら2022年は上のお子さんが受験なので旅行に行けなかったが、受験が終わったらまた4人で旅を楽しむつもりだ。
N-BOX+はこれからも小川さんファミリーの絆を深めるのに一役買ってくれるに違いない。
(取材・文/高橋 満<BRIDGE MAN> 撮影/柳田由人 編集/vehiclenaviMAGAZINE編集部)
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