普段乗りからジムカーナまでフル活用! 親子の絆を深めるアルトワークス(HA36S)【取材地:北海道】
北海道札幌市に住む金内洋子さん(51才)と佑也さん(26才)の親子は、1台のアルトワークスを共有して街乗りやジムカーナを一緒に楽しむという、とても素敵な親子関係を築いている。今回はそんな2人のカーライフをご紹介する。
「僕は学生時代からインテグラタイプRを持っていて、日常使いとジムカーナ練習用を兼ねて使っていました。でもできれば冬にインテグラに乗りたくなくて、もう1台日常の足として使える楽な軽自動車がほしいなと思っていたんです」
「私も自分のインプレッサでちょこちょこジムカーナをしていたけど、パワーがあるので扱いきれなくて。私の目が追いつくくらいのスピードで走れるようなクルマで練習してみたいと思っていたんです」
そんなふたりの希望を叶える共有の1台があるといいなと考えた結果としてたどり着いたのが、2015年に登場したツインカムターボエンジン搭載のスズキ・アルトワークス(HA36S)だった。
「ある程度スポーツ走行ができてパワーもあって乗りやすくて、荷物もたくさん載せて維持費もできるだけ安く…となると、選択肢は限られました。それに駆動形式がインテグラと同じFFだったので、母親に走り方も教えやすいと思いまして」と佑也さん。
そして2017年の秋、2人は5速マニュアルミッションのアルトワークスを新車で購入する。
「夏は主に母の通勤や日常の足車として、逆に冬は僕が通勤に普段の足として毎日使っています。母は4WDのインプレッサがありますからね(笑)」
そう話す佑也さんは、物心ついた頃からミニカーで遊んでいたというくらい根っからのクルマ好きだ。学生のときには自動車部に所属し、そこでジムカーナと出会う。そして18才から乗っていたインテグラタイプRから、現在はアバルト124スパイダーに乗り換え、月に1、2回の練習や毎月の大会参加を欠かさない日々を送っているという。
「ジムカーナはどんなクルマでもできてスピードもそんなに出ないので、普段乗りに役立つんですよね。サイドターンも曲芸感があって楽しいですよ」とその魅力にどっぷりはまっている。
そしてそんな佑也さんのジムカーナを何度か見に行くうちに興味を持ち「自分でもできるかな? やってみようかな」とその世界に足を踏み入れたのが母親の洋子さんだ。
「何度か見に行っているうちに、ガチで取り組んでいる人だけでなくてちょこっとやっている人もいて、それでもいいんだというのを知って。ちょっとでもできるならやってみようかなと思ったんですよね」
ちなみに、佑也さんはジムカーナ用にちゃんとしたレーシンググローブを持っているのに対し、洋子さんが使っているのは近くの作業着屋さんで購入したという1500円くらいの作業グローブ。でも洋子さんはそれでも十分だという。
「本格的に大会参戦している息子は装備関係一式揃っていますが、私はレーシングスーツも持っていなくて、今日のような普段着で走ってます」と、肩肘張らずにジムカーナを楽しんでいるそうだ。
そんな洋子さんもまた、小さな頃から父親のクルマに乗る機会が多かったことから、18才で免許を取ってからもレースやイベントがあれば見に行ったりするほどのクルマ好きとして育ったという。
「結婚する前はシビックに乗っていて、結婚後は節約で普通のクルマに乗っていたけど、子供が大きくなって少し余裕ができたからスポーツカーに乗りたいと思っていたんです。そして、以前、妹が乗っていたインプレッサを借りた時に『すごい!』と感動したことがあったので、自分もインプレッサを買いました。ただ、インプは大きいから近場にいくのにはちょっと面倒で(苦笑)。ちょこちょこ乗れる街乗り用の軽自動車が欲しかったんです」
こうして2人にとって欠かせない存在となったアルトワークスは、購入から4年経った今ではサスペンションとLSDが追加され、街乗りとジムカーナを両立する万能マシンとして成長を遂げている。
「買ってから最初に交換したのはマフラーです。母親が『昭和の人はマフラー音が大事なんだよね。ちょっと大きめな音のにしようよー』と言うのでトラスト製を選びました」と佑也さん。
またホイールも洋子さんチョイスで「私の好みでワークエモーションのT7Rを履いています。カッコいいですよね!」と嬉しそうに話してくれた。
一方の内装で大きく目を引くのはフルバケットシート。逆にいうとそれ以外はステアリング含めほぼノーマルだ。
「BRIDEのEXASⅢというフルバケットシートで、軽や小型車用に肩サポートがコンパクトになっているのが特徴なんです。ジムカーナでは肩サポートが小さい方がサイドブレーキを引きやすくていいんですよね」とのとこ。
147cmの洋子さんと佑也さんは30cm近くも身長差があるので、シートポジションが合わせられるのかが気になるところだが「高さ的には母親目線に合わせているので、僕はちょっと目線が上がるし、ヘルメットをかぶるとたまに天井に当たることもありますけど(笑)、街乗りでは問題ないので。シートレールはオフセットステーを追加して標準よりも前にシートを出せるようにしていて、母親は一番前へ、僕は適度に後ろへ下げて調整しています。ステアリングは純正でも意外としっかり調整幅があるので、母は一番上まで上げて、僕は一番下まで下げて乗っています」とのこと。
つまりジムカーナの練習機として使う洋子さんのベストポジションをしっかり確保した上で、街乗りが多い佑也さんがそれに合わせている感じといったところだろうか。こういったお話から親子の仲の良さが伝わってくる。
そんなふたりに、アルトワークスのお気に入りポイントを伺ってみると「一番は軽自動車とは思えないパワーです。初めて乗った時にインテグラとほとんど変わらない感覚で本当にびっくりしましたね。それに1速と2速が特に速い。あと個人的にはでっかい目が可愛らしくて好きです」と佑也さん。
洋子さんも「私も、ちょっと背は高いけど、小さくて可愛らしいところが好きです。それに軽いし走りやすいしチョチョっと乗るには最高。若い人も買いやすいと思うんですよね」と、どちらも見た目の可愛らしさとパワフルさに魅力を感じているようす。
また、街乗りと競技兼用車両となると、そのメンテナンスや維持管理も気になるところだが「苦労している点は、とにかくたくさん乗るのでオイルやタイヤの消耗が尋常でないところですね。タイヤはジムカーナ場に行く時に街乗り様から練習用のタイヤに履き替えています」と佑也さん。
「このクルマなら私もタイヤ交換できるんですけど、息子がインテグラのタイヤを交換する時を見計らって『こっちもついでにお願い』と便乗して頼んじゃうことが多いかも(笑)。それと洗車は休日に2人で3台をまとめて仕上げることが多いですね。ちなみにお父さんは私達ほどクルマ好きではないので普通の乗用車に乗ってます」と、ここでも親子の仲の良さが垣間見える。
「あと、冬は錆びないように純正ショックに付け替えて、春になったら車高調に戻してアライメントも取り直しています。それがちょっと面倒ですね」と佑也さん。融雪剤によるダメージを防ぐため、面倒といいながらもちゃんと毎年付け替え作業を行っているあたりに、ワークスへの深い愛情が感じられた。
そんな2人のお宝を見せてもらったのだが、これまた、どちらもジムカーナに関するものだった。
「僕は昨年初めてチャレンジしていたクラスでシリーズチャンピオンになったときのトロフィーです。ジムカーナをはじめて5〜6年経ちますが、やっとという感じだったので」
「私も息子よりは下のクラスですけど、今年5月の大会でこのワークスで優勝することができたんです。これからも自分の体と時間と折り合いをつけながら、みんなよりちょっと遅くてもいいけどうまく走れればいいかなと思ってます」
「ちなみに走りに関しては僕が母親にダメ出しをしたり教えたりしているんですけど、たまに2人で街乗りするときは母親が助手席から指示を出して僕がそれに従って運転したりして、それもまた楽しいです」
金内さん親子はアルトワークスを買う前からとても仲がよく、このクルマを買った後もその関係に変化はないという。
しかし、アルトワークスという愛機を共有し、ふたりで協力しながら同じモータースポーツを楽しむことで、親子関係の仲はきっと前よりもっと深くなったのではないかと思う。取材時に楽しそうに話す2人のようすを見て、改めてそう感じさせられたのだった。
(⽂: ⻄本尚恵 / 撮影: 木下琢哉(マイナーカラーコード))
[ガズー編集部]
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