20代女性オーナーが86で叶えた幼少期からの夢「真っ赤なスポーツカーに乗りたい!」【取材地:北海道】
「愛車の存在が尊すぎて、めっちゃ愛おしくて、本当に好きなものってこういう感じなんだなって(笑)。だから愛車に恥をかかせない自分になりたいです」
まるで大好きな恋人への想いを告白するかのように愛車について話してくれたのは、子供の頃からの「いつかは真っ赤なスポーツカーに乗りたい!」という夢を実現し、今年5月に念願の真っ赤なトヨタ 86(ZN6)を購入した松原玲奈さん(26才)。
現在は通勤にプライベートに86とのカーライフを全力で楽しんでいるのだが、話をうかがえば伺うほどまさしく“溺愛”という言葉がピッタリだ。
「私は小さい頃から、隣に停まったクルマの種類やタイヤのメーカーが気になって見続けちゃったりするくらいクルマが大好きで、当時から親には『真っ赤なスポーツカーに乗りたい』と言っていたんです。親もクルマ好きでずっとトヨタ車ばかりだったので、私の選択肢も自然にトヨタ車になり、お手頃で手に入りやすいスポーツカーとして候補にあがったのが86だったんです。今年で社会人2年目なんですけど、ようやくちょっと貯金がたまったのと、それまで乗っていたヴィッツも今なら高く売れるかなと。それに、貯金は絶対乗りたいクルマに! と決めていたので、妥協せずにピンときたら買おうと思って探し始めました」
こうして始まった玲奈さんの86探し。ところが、思った以上に難航することに…。
「いろんなディーラーさんを回ったのですが、なかなか赤の個体が出てこないのと、女性だからかわからないけど本気で買うと思ってもらえなかったのが悲しかったです。無理してでもすぐに欲しかったわけじゃなく、自分が『コレ!』ってひと目惚れしたら買おうと思っていたんですけど、あまりにも待ちすぎて本気にされなかったのかも? でも、最後の最後にGRガレージ札幌厚別通さんに行き、そこでやっと真っ赤な86に出会うことができました。結局去年の冬から探し始めて、雪解けの4〜5月には…と思っていたのに、実際に乗れるようになったのは6月からでしたね」
玲奈さんが運命的に出逢い購入した86は、グレードがGTリミテッドで走行距離2万5444kmのAT車だった。
86はMTで運転を楽しみたいという人も多いのだが、玲奈さんの場合はどうなのだろうか?
「九州の大学に通っていた時にAT限定免許を取得しました。最初は『クルマは好きだけど、スポーツカーなんて私には買えない』って思っていたんです。高いし、しかも北海道だと実用的じゃないじゃないですか。もともと必要な物以外を買うタイプではなかったので、スポーツカーに乗らないなら免許もオートマ限定でいいやって考えでした。ただ、86を買おうと思っていざ探し始めてみるとなかなか赤いAT車が出てこなくて。『それなら限定解除します!』っていう状態に差し掛かっていたところに、運良くAT車が出てきてくれました(笑)」
そして実際にAT車の86に乗って玲奈さんが思ったこと。
「私、運転自体はすごく好きなんです。前に乗っていたヴィッツでも卒業式用の袴で運転したり、大分県から下道で京都まで行って、そこからフェリーで小樽まで行ったりしたこともあるくらいですから。でも、私にとってはMTかATかは重要ではなくて、家の前で86を眺めてカッコいいな〜と思えることが大事なんだとわかりました。MTで走るのも楽しいしカッコいいかもしれないけれど、ATでもじゅうぶん楽しいんですよね」
そんな自分なりの86ライフを送ることにした玲奈さんだが、6月に納車されたときはニヤニヤが止まらなくて大変だったとか。
「納車されて家に帰る道を運転している間、ずっと興奮状態でした。憧れていたものがこんなに手元にきたので嬉しくて満足で、どうしていいかわからなかったです」
そしてその気持ちは納車から3ヶ月経った今でもまったく薄れることなく、楽しいクルマ通勤の時間にはちょっと早く家を出てわざと遠回りしていったり、隙あらば会社の人に「私の愛車がカッコいい!」と自慢したりするほどの溺愛っぷりなのだとか。
「会社にはフェアレディZで通勤のする人がいるんですが、そのZと比べても『やっぱりうちの子が一番カッコいい!』と改めて思う日々ですね」
また、大事にしているからこそ心がけていることもある。
「通勤だと乗る距離が少ないので、できるだけエンジンに負担がかからないように出発時の暖気は絶対欠かさないです。それに車体に無理をさせたくないので極力踏み込まず、丁寧に優しさのある運転を意識しています。まあ、正直86的にはまったく無理じゃないかもしれませんが(笑)」
1〜2週間に1回の手洗い洗車に加えて、トランクの中には「1年に一回でもいいと言われているんですけど、したくなったらいつでもできるように」とお守りのようにガラス系コーティングセットも常に積んでいるという。
ドアカップにはTRD製のドアプロテクターを左右ともに装着し、爪などで小傷がつかないようあらかじめ気をつかっているところや、生活感を出さないように車内で食べ物を禁止しているところも徹底している点。
そして今後のことを見据えて86に関するすべての記録を整理するためのファイルもしっかり準備している。
北海道神宮でクルマのお祓いもしてもらったそうだが「宮司さんの意外そうな顔が忘れられません(笑)」と、本人とクルマのギャップに対する周囲の反応までも彼女自身は楽しんでいるようだ。
そんな玲奈さんに愛車のお気に入りのポイントを尋ねると「どこからみてもカッコいいのでどうしましょう?(笑)と言いながらもサイドの86エンブレムをチョイス。
「前期のサイドエンブレムは86乗りの中でも好みが分かれるところなんですが、私はこれを見て『ああ、86だな』という実感がすごくあって。あとはヘッドライトを明るいものにしているんですけど、それを付けたときの青白い光と赤い車体のマッチング具合がすごく好きですね♪ あ、GTリミテッドのローウイングもかっこよくてお気に入りです!」
そして、ずっとこのままではなく、ドレスアップも考えている。
「今年はまだ買ったばかりなので、まずは純正に慣れて走れるようにしたいと思っています。けれど、やれることはぜんぶやってみたいので、見た目のドレスアップのためにお金を貯めてます。予定ではまずタイヤを親も愛用しているミシュラン製に交換して、そのあとは憧れのBBSホイールにしたい! これは絶対です。あとはマフラーですね。会社でとなりのZに音で負けているのが悔しいんです(笑)」と、具体的にプランもしっかり立てているようで、これからが楽しみ。
またヴィッツから86に乗り換えて変わったこともあったそうで、
「今までもクルマ中心の生活で、ヴィッツには金銭的にも時間的にも注いでいたけど、86になったらもっと金銭的に注ぐようになりました。それになにより、技術や走り方含めて、86に似合うような女性になりたいなと強く思うようになったんです。86に恥をかかせない自分でいたいです」
余談だが彼女は地元のサッカーチーム、コンサドーレ札幌の大ファン。今回の撮影地となった『白い恋人パーク』はコンサドーレ札幌の練習場も施設内に併設していることもあり、Tシャツやタオルなどファンアイテムを身につけて大好きな86とのツーショットに素敵な笑顔で臨んでいたのが印象的だった。
「なんで買ったの? みたいなことを言われることもあるけれど、私にとってはなくてはならない存在だし、自分のモチベーションにもなるし、大切すぎるのが私のカッコよくて大好きな86です。これからもたくさん乗っていきます!」
玲奈さんのお話を伺っていると、スポーツカーだから、ATだから、なんて定義や決めつけにとらわれることはなく、愛車の乗り方や楽しみ方はひとそれぞれ自由でいいのだと改めて思わされる。
玲奈さんの全力の愛情が注がれた真っ赤な86。きっとこれからも彼女と沢山の楽しい思い出を刻んでいくことだろう。
(⽂: ⻄本尚恵 / 撮影: 木下琢哉(マイナーカラーコード))
[ガズー編集部]
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