“いじり病”から卒業するため選んだ、大人なレクサスLC500h
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LC500h“S package”V6 3.5Lエンジン ハイブリッドシステム (GWZ100)
愛車を自分好みにカスタムする楽しさや快感は、いちど覚えてしまうとやめようと思ってもそう簡単にやめられるものではない。まさに“病みつき”という言葉がピッタリだ。
「愛車を購入するときはいつもカスタム前提でしたね」と笑う香川県在住のKMさん(50才)も、そんなカスタムの魅力に現在進行形で取り憑かれているオーナーのひとり。
そもそも現在の愛車を購入したキッカケは、彼がサーキットでのラップタイムを削るためにはじめた“いじり病”から卒業するためだというが…。
クルマ好きな従兄弟の影響で小さな頃からクルマに興味を持つようになったというKMさんが、初めて買った愛車はトヨタ・MR2(SW20)。彼がカスタムとサーキット走行に目覚めたのはこの頃からだという。
「MR2のルックスが好きで21才の頃に買いました。岡山国際サーキットに通いだしてからはベストタイムを更新するのが楽しくなって、高松市の『オートガレージM』というチューニングショップでイジってもらうようになりました。当時は独身で特に縛られるものもなかったのでどんどんのめり込んでいきましたね」
「MR2には5〜6年乗ったけれど、結婚して子供ができたのでホンダのオデッセイアブソルートに乗り換えたんです。でも結局はほとんどひとりで乗るし『これでなくてもいいや』とフェアレディZ(Z33)を買っちゃいました。そこからいじり病が再発して、金銭的に余裕はなかったし、奥さんから冷たい目で見られながらも、もうやめられない止まらない状態で(苦笑)」
こうしてサーキットでのタイムアップにのめり込んだフェアレディZは、30代の半ばから8〜9年ほど乗り続け、最終的にエンジンまでチューニングされた“超カリカリマシン”へと変貌を遂げていったという。
そんなKMさんの心境に変化が訪れたのは2019年のこと。
「もうね、キリがないんですよ。サーキット仕様にするための費用はもちろん、走るたびにメンテナンスやタイヤにお金がかかるし、エンジンも2回壊しました。ほかにも何かトラブルのたびに高額出費があって…もう卒業して、大人なクルマにしようと」
意を決して購入したのが、現在の愛車である2018年式のレクサス・LC500h Sパッケージ(GWZ100)だ。
流麗でグラマナスなスタイリングと、高性能なエンジンを併せ持ち、圧倒的な存在感を放つレクサスのフラッグシップ2ドアクーペ、レクサスLC。
2023年にトヨタ自動車の新社長に就任した佐藤恒治氏がチーフエンジニアとして開発を担当したLCは、デトロイトモーターショーでお披露目となったコンセプトモデル『LF-LC』の美しいスタイルをそのまま具現化させつつ「レクサスならではの乗り味」を追求し、トヨタの開発陣が“レクサスの未来像”を示すモデルとして世に送り出した意欲作。
なかでもLC500hはV6エンジンとハイブリッドシステムを組み合わせ“ハイブリッドの先駆者”として開発されたモデルだ。
「スタイリングが昔のレクサスLFAにちょっと似ているラグジュアリークーペで、スポーツ方向に振った感じでカッコいいのが気に入ってLCを買うことにしたんです。ちょうど中古で色や内装が希望と一致したクルマを見つけたのと、このクルマならそこまでカリカリにイジるところもないだろうと思いまして」
そう言いつつも、ノーマル状態だった中古車はKMさんが希望した“最低限のカスタム”を施したうえで納車されたという。
「僕なりに大人なクルマに仕上げようと考えた結果、とりあえず納車前に『エアロとホイールは付けなきゃいかんし』とエアロはTRD製を選んで、ホイールはこれまで履いたことのなかったジェラルミンのBBSにしたんですが、さすがにお値段を見てビックリしました (笑)。そして、ホイールのスポークの間から中が見えすぎるので、ブレーキキャリパーも塗装してもらいました」
これだけでも“いじり病”はかなり重症だと思うが、KMさんの勢いは止まらず、その後も次々といろいろなパーツが追加され、変貌を遂げていったという。
中でも特に目を引くのが、やはりインパクトのあるフロントフェイスだろう。
「ノーマルのフロントフェイスがシンプルすぎると感じたので、悩んで悩んでボンネットをカーボン製に交換して、カナードやダクト部分のカーボンパーツも追加してみました」
さらにフロントフェンダーやリアスポイラーも交換することで、迫力満点で個性的なスタイルに仕上がっている。
ところで、レクサスLCには5リッターV8エンジンのガソリン車LC500と、このハイブリッド車LC500hが存在するが、なぜ運転やカスタムが楽しめそうなガソリン車ではなくハイブリッド車を選んだのか? そこにはKMさんならではの2つの理由がある。
「実は購入前に両方乗り比べたんです。5リッターのガソリン車もパワーがあって僕的には王道やったけど、ハイブリッドの加速や乗りやすさが結構僕とフィーリングが合ったので、あえてハイブリッドでいいやって。加速はね、意外とガソリン車よりこっちのほうが速いと思います。最終的なパワーはガソリン車かもしれませんけど」
V6エンジンとモーターの出力を10段変速で駆動力へとリニアに変える『マルチステージハイブリッドシステム』の乗り味が、KMさんを魅了したというわけだ。
そしてもうひとつの理由は、やはりカスタムに関して。
「エンジンルームはイジれるところがサクションパイプとフィラーキャップくらいしかなくて悲しい悲しい(笑)。変えられるパーツがないんだから、しょうがないですけど…」
つまりエンジンをイジりたくてもイジれないハイブリッド車を選ぶことで、自分自身へのリミッターも兼ねているということなのだ。
「正直、格段に乗り心地がいいわけでもなく、すごく先進的な機能があるわけでもなく、めちゃくちゃ速いわけでもないんです。でも、踏んだら踏んだだけ加速するフィーリングはやっぱり楽しい! スーッと進むのでストレスがないし、高速道路でちょっと走るだけでもすごく気持ちがいいですから。坂道もスイスイ登っていきます。そうそう、実はセカンドカーとして所有しているレクサスRXも同じ3.5リッターのハイブリッド車なんですけど、特性が全然違うからおもしろいですね」
また、走りの性能面だけでなく、熟練の職人が手作業で仕上げたインテリアの質感や雰囲気、状況に応じて可動するメーターリングや点灯時に奥行き感がある光り方をするフルLEDリアコンビランプなどのワクワクするギミック、そしてポップアップドアハンドルやインテリアイルミネーションなどレクサスならではの手厚いホスピタリティ装備も気に入っているそう。
「このクルマのポテンシャルはどんなもんやろか?と思って、一度だけ九州のサーキットで走らせたことがあるんだけど、途中でハイブリッドの充電がなくなってしまって全然走れず、ちゃんとチャージしてから臨まないといけないって知りました(苦笑)。それに車両重量が2トンを超えているので、やっぱりサーキットを走るよりも高速道路を走ったりするのが気持ちいいですね」
現在は、月イチくらいの頻度でこのLC500hに乗ってドライブに出かけるというKMさん。普段乗りのRXに比べると当然ながら稼働率は低いものの、自身のファーストカーとして位置付けているのは、やはりLC500hなのだという。
「僕にとってLC500hは“所有欲を満たしてくれるファーストカー”なんです。僕はスーパーカー世代なので昔のカウンタックとかフェラーリとかランボルギーニとか大好きな世代ですけど実際に所有しようと思うといろいろ躊躇があります。いっぽうで日本車のレクサスは壊れにくく本当によくできているなと感じるし、そのなかでも現状では僕にとってLC500h以上のクルマは存在しないですね」
60才、70才そして80才まで見据えた大人な選択肢としてLC500hを選んだスポーツカー好きのKMさん。
手を加えずとも十分に高性能でワクワクするギミックも盛りだくさんのラグジュアリークーペを、さらに自分好みのスタイルにカスタムしながら楽しむカーライフはまだまだはじまったばかり。これからもLC500h向けの新製品が発売されるたびに、いち早く装着して個性を放つ愛車を満足そうに眺めるKMさんの姿が目に浮かぶ。
“いじり病”はそう簡単には治らないのだ。
取材協力:高知工科大学 香美キャンパス(高知県香美市土佐山田町宮ノ口185)
(⽂:西本尚恵 / 撮影:平野 陽 / 編集:GAZOO編集部)
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