一目惚れしたクラウンを手に入れ、高級感、スポーティさ、推し活のすべてを満たす相棒に

  • GAZOO愛車取材会の会場である千葉県の『さんばしひろば』で取材したトヨタ・クラウン RSアドバンス(AZSH20型)

    トヨタ・クラウン RSアドバンス(AZSH20型)


今回取材させて頂いた『身勝手な鼻毛』さんとクラウンの出会いは、職場の駐車場だったという。業務中にふと目をやると、スポーティだけど上品な感じのする雰囲気、太陽の光を浴びて鮮明に映し出される、流れるようなシルエット、そしてグリルには王冠が鎮座する。そんなクラウンからしばらく目が離せなくなってしまったのだそうだ。
瞬間的に引き寄せられ一目惚れしてしまった…という表現がしっくりくるのだと、笑った。

「とは言っても、最初は何ていうクルマだろう? と思ったんですよ。というのも、エアロパーツが装着されたその姿は、スポーツカーと言われれば納得するくらい、良い意味でクラウンらしくなかったから」
ちょうど良いタイミングでベルが鳴り休憩時間となったため、すぐに駐車場のクルマについて調べはじめたと、その時のワクワクを振り返りながら教えてくれた。

トヨタ車であること、王冠のマークが付いていたということはクラウン、ライトの形からおそらく…といったように手掛かりを元に糸を手繰っていく。そうして、21系クラウンをモデリスタ仕様にしたクルマだという答えに辿り着いたそうだ。再確認するために駐車場にもう一度目をやると、もうその姿は無かったのだとか。
「その時に、絶対にモデリスタ仕様にして自分で乗ろうと心に決めたんです。それくらい細部まで頭の中に残っていたし、忘れられないクルマになっていました」

その後、奥様にクラウンに乗り換えたい理由や、それによって得られる家族にとって嬉しい事柄をレポート用紙にまとめて提出し、呆れられながら買い替えの了承を得たという。
お世話になっている中古屋さんに探してもらって購入したのは“クルマの機能を拡張するコネクティッド”と、“デザイン、走り、安全性能の進化”を追求したという触れ込みの『クラウン RSアドバンス(AZSH20型)』であった。

駐車場で見た通り、ロングノーズのFRらしいプロポーションと、ルーフからラゲッジにかけての流麗なサイドシルエット、タイヤの張り出しを強調した低重心でスポーティな骨格など、やはり痺れるものがあったと満足そうに腕を組んだ。
さらに、彼が選んだRS仕様には、フロントとリヤがLEDシーケンシャル式のターンランプに、メッシュタイプのフロントグリル、サイドエアダムスカート、専用の18インチアルミホイールなどが採用され、スポーティ感が強調されている。

ノーマルでも充分カッコよかったそうだが、身勝手な鼻毛さんはどうしても“運命の出会いin駐車場”仕様にしたかったため、『高級感とスポーティの共存』をコンセプトに、モデリスタ製のエアロ、シルクブレイズ製のア・ヴェル グロースホイール、ウイングミラー、ニットー製のタイヤ、RIDERS HOUSE製のマフラーカッターを納車後すぐに装着したそうだ。
何でもごちゃごちゃ装着するのではなく、なるべくシンプルでスッキリとした外観を保つため、リヤの車名やハイブリッドのエンブレムは外したとのこと。

「ちなみに、ホイールはクラウンの前に乗っていた、20ヴェルファイアに履かせていたものなんです。家族を乗せて色々な場所にお出かけした思い出が沢山詰まっていたので、パーツを移植することで、それが受け継げたらな〜なんて。やってみると予想外に良かったのは、サイズがノーマルクラウンよりも少し大きめの20インチだったから、ピシッとカッコ良くなったことです」

なんでも、リヤからの眺めがとくに気に入っているそうだ。人生初めての4本出しマフラーは、まさにスポーツラグジュアリーと感じており、目に入ると「かっこいいなぁ…」という声が思わず漏れてしまうと話してくれた。取材中も「おお! やっぱりかっこいい!」「お前は本当に海がよく似合うなぁ!」など、クラウンを終始褒めちぎっていた。なんというか、ベタ惚れなのだ。
ちなみに、奥様に“恥ずかしいからやめて”と言われるのは、出勤前に「おはよう! 今日もすごく素敵だね」と、クラウンに話しかけることだという。小学校2年生の息子さんは、父がこんなに大事にしているクルマを汚してはいけないと気を遣い、車内でジュースを飲む時は揺れなどでこぼさないように、必ず赤信号で停車してから飲むようにしてくれているとのこと。

「内装は上級車種用のパーツを多用しているんです。アシストグリップとシフトノブは樹脂、サンバイザーはファブリックだったので、レクサスの本革製へと。何となくできる男っぽいヘッドレスト後部にあるハンガー掛けもレクサス用なんですよ。どうです? 忙しいサラリーマンっぽいでしょ?」

クラウンにここまで熱くなってしまうのは、久々に好きなクルマに乗れたからというのが理由として挙げられるそうだ。
これまで、スカイライン(R32型)を2台乗り継ぎ、クレスタ(JZX100型)でドリフト走行会やカスタマイズを楽しんできたが、お子様が生まれたのを機にヴェルファイアを購入したそうだ。大型のミニバンは、今までとは違うカーライフの楽しさを教えてくれたが、自分の好みとしては少し違っていたのかもしれないと振り返る。

「僕がクルマ好きになったのは、小学校の時に夢中になったラジコンがキッカケでした。親戚のおばさんにおねだりして買ってもらって『RCカーグランプリ』に参加したりしてね〜。実車とほぼ似たような構造で、ちょっといじれば何かが変わるから、サスペンションの仕様を変えて走行性能の違いを試してみたり、エアロパーツでは空力によるグリップ力の向上だけでなく、見た目でのカスタムも楽しんでいました。そういったことが根底にあるから、僕のカーライフはカスタマイズありき、走りを楽しめるクルマというのが大切なんですよ」

腕を組みながら教えてくれたのは、“カスタムは靴に例えると分かりやすい”ということ。最初は履きづらかったのに、やがて肌に馴染んで、どんどん自分の靴になっていく工程が楽しい、あの感覚に似ているのだという。

「やっと自分の理想とするクラウンになったと感じていた、ある日のこと。同僚に『すごくカッコいいけど、何かお前らしさがない気がするんだよな〜』と言われたんです。そうかな? と思いながら眺めていると、何だかそんな気がしてきて(笑)。どうですか!? サンルーフに一手間加えてみました。すごく僕らしいでしょう!」
どうだ! と言わんばかりにサンシェードを開けると、サンルーフには、サラサラの黒髪と猫目がチャームポイントの端正な顔立ちをしたアイドルがいた。運転席に座って見上げると、バッチリ目が合う仕様になっているそうだ。

『よく奥様から許可がおりましたね』という、無粋な質問をするカメラマンに、推し活には寛容なできた妻だと自慢気に答えてくれた。ただし、そんな奥様から唯一条件があったという。それは、運動会や授業参観日などの行事で息子さんの小学校に足を運ぶことがあるため“TPOをわきまえた写真を選ぶこと”だったそうだ。間違っても、露出の多い衣装はNGだと念を押されたと、汗を拭った。

「息子には内緒にしていたんですけど、つい最近、サンシェードを開けられちゃったんです。まだ身長が低くて、サンルーフに僕の推しがいることを知らなかったから『うわー! なんだこれー!』と、かなり驚いていましたね。でも、こんなところに推しがいたんだね♪ よかったね♪ と言ってくれました(笑)」。小学校2年生にして、つくづくできた息子さんである。
推しのアイドルがサンルーフにいて良かったと感じる時は、丁寧な運転を心掛けるようになったことと、疲れた時に上を見上げると、何だか幸せな気持ちになれることだという。

「走行距離が1年を経たずして1万Kmをゆうに超えてしまったのは、クラウンの走りが面白かったからというのもありますね」
足まわりが適度に引き締まり路面状況が伝わってくる“スポーツS+”モードと、家族がゆったりくつろげる“コンフォート”モードのギャップも、このクルマに乗っていて飽きない理由だと満足そうに頷いた。
クラウンに乗り換えてからというもの、ドライブや愛車の写真を撮る機会がかなり増えたそうで、走行距離はこれからもどんどん伸びていきそうだ。

『クルマは家族であり、友達であり、仲間』だと言う。今までの愛車すべてにエピソードがあって、愛着もあるという。自分の生活の中で一番身近なところにいる存在だから、走れば走るほど絆は深まっていくのだとも話してくれた。

「今日は今から、ディズニーランド付近にでも走りに行こうかなと思っています」
クラウンを購入してからまもなく1年が経過するが、肌に馴染むどころか、既にクラウンはなくてはならない相棒となっているのだ。

(文: 矢田部明子 / 撮影: 平野 陽)

※許可を得て取材を行っています
取材場所: 千葉みなと さんばしひろば(千葉県千葉市中央区中央港)

[GAZOO編集部]