「気がつけばいつもそばにいた」走った距離だけ想い出が増えていくランドクルーザーとの日々
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トヨタ・ランドクルーザー70(GRJ76K型)
ランドクルーザーに惜しみない愛を注ぐ『まあさ』さんのカーライフは、まさに“愛車とともに歩んできた人生”そのものだ。還暦を超えた今も若々しくアクティブな姿から、その生き様が自然と伝わってくる。
そして、その元気の源となっているのは愛車、トヨタ・ランドクルーザー70 (GRJ76K型)。70シリーズ誕生30周年を記念して、1年間限定で再販された復刻モデルだ。
そんなまあささんのクルマへの情熱の原点は、幼少期に遡る。カーフリークだった叔父に連れられ、プリンス・グロリアや英国車ヒルマンでドライブに出かけた思い出が、彼をクルマの世界へと導いたのだという。
運転免許を取得して初めて手に入れた愛車は、学生時代にアルバイトで貯めた資金で購入した3代目カリーナ。CMで千葉真一氏が登場したことでも知られるモデルだ。
「キャッチコピーは“足のいいやつ”でしたね。見た目はオジサン車だけど実は速い。そんな意外性が好みでした」と笑う。1600GTのセダン仕様という、一見地味だが走りの本質を備えた選択に、まあささんらしい審美眼がうかがえる。
その後は結婚をしたこともあり、趣味性がありつつも実用性も考慮したクルマ選びへと移行。2台目の愛車はフォード・フェスティバ キャンバストップ。奥様もマニュアル車を運転できるということで、MT車を選んだ。オシャレなデザインのホットハッチは、東京で過ごした若夫婦時代を彩ってくれた思い出の一台だ。
やがて子宝に恵まれ、仕事でもクルマを使うようになると、ホンダ・インテグラの4ドアハードトップに乗り換えた。半年で3万kmを走破するほどのハードユースを経て、次に選んだのは初代ミニクーパー。そして、ここからが本格的な4WDライフの始まりとなる。
そのキッカケとなったのは、キャンプに行くために友人の父から借りたハイラックスサーフとの出会いだったという。
2.4Lディーゼル車は高速道路での走りに不満を感じるも、後に登場した3.0Lディーゼルターボモデルのパワーに衝撃を受け、購入を即決。「荷物満載でも坂道をグイグイ登る。あの力強さは衝撃的でした」と振り返る。
その体験は、以降の“ランクル愛”への土台となった。
時を経て子供が3人に増え、ハイラックスサーフでも車内が手狭に感じられるようになると、さらなる車内空間と快適性を求めて選んだのが100系ランドクルーザーだった。
18年間で24万kmを共に走り、キャンプや旅行といった家族の思い出が詰まった一台だった。また「かなりカリカリにいじっていました」と語るように、ただの移動手段ではなく、自分好みに育てる楽しさを教えてくれた存在でもあったという。
しかし、やがて家族の事情からランクルを手放すことに。
「妻の両親が足を悪くしてしまい、車高が高いクルマへの乗り降りが難しくなってきたので、いったんランクルを手放すことにしました」
次に選んだのが、車高の低いワゴンタイプで、4駆のディーゼルターボという条件に当てはまったVWのパサートオールトラック。快適性とユーティリティを両立した新しい相棒と5年の歳月を共にしながらも、心は常に“ランクルとの再会”を夢見ていたという。
そして2023年、まあささんにとって待望とも言えるランクル70の再再販モデル、GDJ76Wが発表されることに。エンジンは2.8Lディーゼル、そしてAT仕様という理想のパッケージに心が躍るも、抽選にはことごとく落選してしまったそうだ。
「娘ふたりがAT限定免許で、マニュアルでは乗れないなと思ったのでATが欲しかったんですよね」と振り返る。
再復刻モデルを手に入れることは叶わなかったが、気持ちは完全にランクルに傾いていた。諦めきれず訪れたのが、かつてサーフを購入した縁もあり長年の信頼関係を築いていた京都の名店『KOC』だった。
そこで出逢ったのが、2014年式の再販モデル(GRJ76K型)をベースにAT化されたKOCの元デモカーだった。
こうして縁が巡り巡って、再びランクルのステアリングを握ることになる。
このランクルは、まさに“まあさ仕様”とも呼べる一台であった。元々は設定がないAT仕様に変更されていることに加え、快適な乗り心地を実現するオールドマンエミュー製の別タンク式ダンパーで快適性を確保。リヤに板バネを持つ車両特有の跳ねを抑える工夫が施されている。
足元は再販された純正オプションの18インチホイールで引き締めた。タイヤはホワイトレター入りのTOYOオープンカントリーをチョイスし、オフロード感を演出している。
また精悍さが際立つヘッドライトは、インナーだけブラックアウトされた70周年記念のカスタマイズパーツをセレクトした。
「純正はメッキなのですが、黒で引き締めてあって、丸目っぽく見えるのがお気に入りです」というこのアイテムは、今ではプレミアム価格がつくほど貴重な逸品となっているそうだ。
シートは、ハイラックスサーフ時代から愛用しているレカロ製のバケットタイプを選択。腰痛持ちという事情もあって、長距離ドライブでも疲れにくいように配慮した。
しかもボディカラーと絶妙にマッチするワインレッド×ブラックのツートンカラーをチョイス。すでに廃盤となったタイプで「最終ロットでギリギリ手に入れた」というから、そのこだわりは筋金入りだ。
快適性にも配慮したカスタマイズを施しているだけに、単身赴任先の横浜から自宅の京都までの長距離移動もラクにこなせる。購入からわずか1年半で1万7000kmを走破するなど、日々ランクルと共に過ごしている。
DIYでのカスタムも楽しみのひとつだそうで、テールランプは保安基準に準じたものをワンオフで製作。また、現在はバックカメラを電子式にするべく換装の進行中だとか。さらにパターをモチーフにしたオリジナルのシフトノブも製作するなど、愛情の注ぎ方は半端ではない。細部にまで遊び心とクラフトマンシップを宿しているのだ。
仕事はもちろん、趣味のゴルフや釣りにも大活躍。仲間4人でゴルフに行く際も、4人分のゴルフバックをラクに収納できる広いラゲッジスペースが生きてくる。
お気に入りのポイントを伺ってみると「やっぱりこの四角いボディがいい。ガラスの高さや見切りの良さも最高です」と語る姿には満足感がにじむ。
ちなみに、購入当初は好みでなかったというワインレッドのボディカラーも、今ではすっかりお気に入りに。
あまり街中で遭遇しない希少色だが、偶然にも、娘さんも似たような色合いのクルマに乗られているそうだ。
このクルマとの縁は、仲間の輪にも広がっている。100系のランドクルーザーに乗っている頃に立ち上げた『クラブ ランドクルーザー』というオーナーズクラブでは顧問を務め、100名以上の仲間と絆を深めてきた。温泉旅行、キャンプ、グルメ旅…愛車を介して繋がった仲間との時間は、まさに人生の財産である。
「どこへ行っても仲間がいて、食事を共にしたり、情報を交換したり。そういう繋がりが何よりの宝ですね」
そんなまあささんのカーライフは、ランドクルーザーと共に充実の時間を刻んでいくこと。たとえ流行が変わったとしても、愛車への想いは決して色褪せない。
揺るぎない走破性と安心感、そして何よりも人との繋がりを運んでくれる相棒。それが、まあささんにとってのランドクルーザーなのである。
(文: 石川大輔 / 撮影: 清水良太郎)
※許可を得て取材を行っています
取材場所:西京極総合運動公園 (京都府京都市右京区西京極新明町32)
[GAZOO編集部]
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