家族でのドライブが大好きなオーナーが選んだ『ヴォクシーG’s』は、素敵な想い出を作ってくれる家族の一員

  • GAZOO愛車取材会の会場である霞ヶ浦緑地公園で取材したトヨタ・ヴォクシー ZS G's(ZRR70W型)

    トヨタ・ヴォクシー ZS G's(ZRR70W型)


「天橋立への日帰り旅行然り、ビーナスラインへのドライブ然り、親子4代に渡っての旅行が実現できているのはヴォクシーのおかげだと思っています。だから、このクルマとはずっと一緒に走っていきたいですね」と、満面の笑みでドアハンドルに触れた『masuworks』さん。
そのお話を伺えば伺うほど、このご一家は間違いなくこのクルマを使いこなしている。というか、ヴォクシーがいない日常というのは考えられないのだろうとさえ感じる。

「当時、インターネットでこのクルマの発表を知り“走る楽しさやドライバーが意のままに操る喜びを追求した、運転していて楽しいフィーリング”というコンセプトに打たれ、ハンドルを握ってみたいと感じましたね」

『masuworks』さんの愛車は、走りにこだわる“G SPORTS(通称G's)”の第1弾として、2010年に手掛けられたトヨタ・ヴォクシー ZS G's(ZRR70W型)。
TOYOTA GAZOO Racingのテストドライバーがチューニングを施すとともに、外装も内装も専用装備によって個性を演出したモデルとなっている。

「当時は、初代ヴォクシーに乗っていたんです。10年で10万kmを突破して、そろそろ乗り換えなくちゃと考えていた時に、ヴォクシーG'sが登場したというわけです。内装、外観はもちろんのこと、走りのコンセプトが書いてある記事を読めば読むほど、欲しいという気持が高まっていきましたし、言ってしまえば、一目惚れだったんですね(笑)」

外装のお気に入りポイントは、G's専用のエンブレムとエアロパーツ、流行を先取りして装着されたLEDのデイランプ。ほかにも2本出しのマフラー、18インチのタイヤ&ホイールの奥に潜むシルバーのショックアブソーバーと赤いコイルスプリングなどなど、多岐にわたる。

また内装では、インパネまわりのデザインや専用シート表皮、小さめのハンドルに施された赤ステッチ、そしてパネル等に施されピアノブラックの加飾もお気に入りだという。
当時はまだピアノブラックの加飾は珍しかったこともあり、高級感が増していることに心惹かれ『自分はG'sのヴォクシーを愛車として迎え入れたのだ』という満足感があったそうだ。

「何より良かったのは、その走りですね。ミニバンってあまり走るイメージが無いと思うんですけど、高速道路やカーブを走る際にハンドルを切り始めると、ピシッと安定してブレないんです。上手くは言えないけど、路面に引っ付いたような感じがするんです。空力パーツが効いているのかなど細かいことはわかりませんが、とにかく安定していて高速道路での長距離移動も楽なんですよ」

その走りをもっと実感するべく、一度だけサーキットを走ったことがあるそうだ。ヴィッツ、MR2、マークII、86がズラリと並ぶ中、ヴォクシーで参加したのは1人だけで『あのヴォクシー、横転しないだろうか?』とでも言いたげな視線を感じたと笑っていた。
しかし、乗っているのはG'sのヴォクシーだぞ! と、ストレートだけアクセルをワイドオープンにして十分な加速力を体感。縁石にも乗り上げてみたそうだが、ボディの剛性がしっかりしていて不安に思うことはまったくなかったと、自信にみなぎった顔をしていた。

この走行性能を体験しまってから、長く乗っていたいという欲が出てきたのだという。“飽きる”という3文字は考えられず、この乗り味をずっと維持していくと決めたそうだ。
となると、極力走行距離を伸ばしたくないと感じたそうだ。
2012年7月の購入時、今回の取材にも参加してくれた娘さんは高校1年生、息子さんは中学1年生だったため、昔ほど頻繁にお出かけはしなくなるだろうと思っていたそうだが…。
「いやぁ…それがですねぇ…。私はもともと走ることが大好きでしてね? 特に、山と空を遠くまで見渡せるビーナスラインが好きなんですけど、そこに家族でドライブに行くことがやめられなかったんです(笑)。朝6時に出発して早めに到着して、とうもろこしやソフトクリームを食べたりなんかしてね。40回…いや、それ以上は確実に行ってますね」

他には、家族旅行で訪れた六甲山も面白かったとのこと。もちろん、家族でお出かけというのが第一の目的だが、その合間合間に、自分が“走ってみたかった道を”ドライブするのも旅の醍醐味だと話してくれた。
あくまで旅行が目的と話されていたが、おそらく助手席に座っている奥様には『この道は通らなくても良いのでは?』と、薄々勘付かれているだろう。それでも運転をやめられないのは、masuworksさんにとってドライブが最高のストレス発散で、出かけるとそれだけで気分が変わる、安定剤のような存在だからだとのことだ。

「家族だからこそ、しょっちゅう喧嘩もするし、そりゃあ色々あります。でも、そんな時にヴォクシーで出かけると、みんな少しだけ穏やかになるんです。結果として、このクルマはそういった役割も担っているのかもしれませんね(笑)」

「実はね、初めてヴォクシーを選んだ時はスライドドアだし、大人数乗れるからという理由だけで購入したんです。なんなら、しょうがなく選んだ、という感じだったかもしれません。だけど、子供達が独立した今なおヴォクシーに乗っているのは、このクルマだからこそ味わえる想い出が大事だからです」

そう話すmasuworksさんは、今回の取材に初孫を連れて来てくださった。生まれたばかりとのことで、まだ首は据わっておらず、風が頬に当たると拳をギュッと握り、何となく世界の広さに戸惑っているように見えた。これが初の長距離ドライブだったらしく、娘さんとその旦那さんがチャイルドシートを前のめりになって覗き込み、心配そうにしていた。

「ルームミラーに目をやると、チャイルドシートが目に入るんですよ。ついこの前まで娘が座っていたのにと、不思議な気持ちになります。それと同時に、嬉しくもあるんですけどね」
一瞬昔にタイムスリップした気になってしまうのは、お孫さんのお顔が娘さんに良く似ているからだという。少し髪の毛が薄かったところまでそっくりだと、スモークがかった窓ガラスをじっと覗き込む。

「住んでいる場所がラリーの舞台に近いということもあって、子供達は小さい頃からモータースポーツが大好きなんです。この間のラリージャパンも観戦に行ったんですけど、娘は妊娠中だったのに、私が自作したGRヤリスのヘルメットを持って結構はしゃいでいました(笑)。だから、生まれてきたこの子もお腹でラリーカーの音を聞いていたはずだから安心するんじゃないかと思って試しに聞かせてみたけど……まぁ、ダメでしたね」

ちなみに、ヘルメットだけではなく、丸めのフォルムのミニカー達も全て自作である。子供の頃からコロンとしたチョロQが大好きで、同じようなテイストでイラストを描き始めたのが、クルマ好きになったキッカケだという。30年前から作っているそうだが、SNSにアップすると『作って下さい』なんて言われたこともあったと照れくさそうにした。

「クラシックカーイベントに出られるくらい大切に乗って“こんなクルマがあったんだよ”と、懐かしんでもらえれば良いなと思います。そのためにはメンテナンスと、まぁ…極力走行距離を抑えつつ…」と、コメント中に言い終えたのは、ドライブの機会を減らすのは無理だと気付いたからではないだろうか。
僅か数分前に『鈴鹿サーキットには子供が遊べる場所があるから、孫が遊ぶところが見たい』『まだ歩けないから、まずはレゴランドに行った方が良いのか?』などと、楽しそうに話していたのだから、おそらく間違いないだろう。

現在の走行距離は、13年目にしてもうすぐ9万km。孫の誕生と共に出動の機会が増え、今までにないくらいの早さで、走行距離はどんどん伸びていきそうだ。
ただ、増えるのは走行距離だけではない。新たな想い出も比例して確実に増えていくのだ。

(文: 矢田部明子 / 撮影: 清水良太郎)

※許可を得て取材を行っています
取材場所: 霞ヶ浦緑地(三重県四日市市大字羽津甲)

[GAZOO編集部]