忘れられなかったあの衝撃。新車から乗り続ける相棒R34スカイラインGT-Rと刻む充実のカーライフ
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日産・スカイラインGT-R V-SPEC(BNR34型)
名車と呼ばれる存在は、ひとつの時代を作り上げると同時に、多くの人の心に残り続けるものである。その点で、スカイラインGT-Rは世界のクルマ好きの心を魅了し、販売終了後の現在も多くのファンを生み続ける、紛れもない名車と言えるだろう。
そんな日本のクルマ史上に残る名車、日産・スカイラインGT-R V-SPEC(BNR34型)を、新車で購入して乗り続けているのが『キム』さんだ。
いわゆる第二世代と呼ばれるR34GT-Rは、名機RB26DETTエンジンを搭載する最後のモデルとしても人気を集めている。特にモータースポーツシーンでは、全日本GT選手権(JGTC)やスーパー耐久での活躍を背景に、パフォーマンスを求めるユーザーから絶大な支持を得ていた。また、北米を中心とした海外市場でも人気車種として注目を集めている。
そんなR34GT-Rをキムさんが手に入れたのは、今から26年ほど前のこと。新車で購入して以来、大切に乗り続けているのだ。
「運転免許を取って最初の愛車は日産・シルビア(S13型)だったんですが、そこで走る楽しさを知ってしまったんですよね。ちょうどその頃にスカイラインGT-R(BNR32型)がデビューして、そのスタイリングとスペックを見て衝撃を受けました。いつかは乗ってみたいと思っていたんですが、幸いなことに21歳で手に入れることができ、仲間と一緒にサーキットなどにも出掛けるようになりました。そして、家庭の事情でこのR32は手放すことになるんですが、やっぱりGT-Rが忘れられずにいたんです。だから、このBNR34がデビューしたときには、もう買わずにはいられなくなっていました」
R32GT-Rでは多くの楽しい思い出を作ることができ、乗りつぶすつもりでいたほど気に入っていただけに、記憶は美化されていた部分もあったかもしれないとは言うものの、そんなR32GT-Rの完成形と呼ばれるR34GT-Rがどのように進化しているのか? その興味心だけでも購入する原動力としては十分だった。契約から納車までを指折り数えて待っている間の気持ちは、まるで子供の頃に戻ったかのようだったという。
キムさんが最も重要視したのは搭載されるRB26DETTエンジン。
「久しぶりに体感するRB26は、記憶に残っていた通りの力強さと気持ち良さがありましたね。エンジン型式は以前乗っていたR32GT-Rと同じですが、最大トルクが増したことで動きの良さが向上するなど進化も感じることもできました。やっぱりRB26があってこそのGT-Rですから、再び手に入れることができた感動は今も鮮明に記憶していますよ」
純正のままでも十分に楽しめるパフォーマンスを備えているが、以前の愛車でサーキットも走っていたキムさんにとって、カスタマイズを楽しむというのも必要な要素。
プロショップに足を運び、サクションパイプなどを変更、さらにブーストアップを行うことでノーマル以上のパフォーマンスが楽しめるように仕様変更を施した。
また、タワーバーやマフラーなどはニスモ製を選択することで、派手すぎない範囲でのカスタマイズを楽しんでいる。
「GT-Rの生まれを考えれば、本当ならR32GT-Rに乗っていた時のようにサーキットに持ち込むのも楽しいとは思います。でも、R32GT-Rとは違ってこのR34GT-Rはサーキットに持って行ったことは1度もないんです。大切にしすぎているのかもしれませんが、あの頃のように極限の走りで刺激を求めるよりも、気ままにドライブするのが気持ち良いなって。乗り方が大人になった感じですかね」
足元を飾るのはR34GT-Rの定番アイテムでもある、ニスモ・LM GT4。定番ながらもベイサイドブルーのボディにホワイトのホイールは、正統派GT-Rの装いとも言える。このホイールからチラリと見えるブレーキは、アルマイトブルーで彩られたエンドレス製のブレーキキット。カラーコーディネートと共に、制動力を向上させることで、安全マージンを拡大しているというのも、キムさんが大切に乗り続けたいと考える心の現れである。
フロントフェンダーはニスモ・Zチューンスタイルに変更、サスペンションもニスモ製をチョイス。走りの基礎となる部分はニスモ製で纏めることで、GT-Rらしさを損なうことなく、ノーマルからのバージョンアップを図っているのだ。
ちなみに、26年が経過した今も、くもりのない美しいボディカラーを維持するのは、洗車やコーティングなど定期的なメンテナンスをおこない、雨の日には乗らないことを徹底しているから。
スタイリング的な要素で純正からアレンジを加えているのは、テールランプとリヤウイングのフット部分を社外製に変更するのみ。印象的な丸テールは高輝度のLEDテールを組み合わせることで印象をアップグレードする。リヤウイングのフットは、ノーマルでは後方視界が悪かったため高さを変更するために交換しているそうだ。
「このGT-Rを購入して何年か乗っていた頃に、昔の知人から『まだこんなクルマ乗っちゃって〜』みたいなことを言われていましたね。周りは落ち着いたクルマに乗り換えていた時期でもあったので、GT-Rに乗り続けているのが不思議だったみたいです。でも自分としてはこれ以上のクルマはなかったですし、他に乗り換えるなんて考えていなかった。もはやR34GT-Rが自分の一部になっていたんですよね」
特徴的な異形ステアリングは2年ほど前に交換したアイテム。純正エアバッグを移設しながらガングリップ形状で握りやすさを保ちつつ、カーボン素材でデザイン性をアップしている。こういったカスタマイズを少しずつ楽しんでいくのは、常に新鮮な気持ちで長く乗り続けるための工夫でもある。
4点式のハーネスやニスモのシートベルトパッドもアクセントとして加えているが、サーキットをガンガン攻めるわけではないため、純正シートでも十分にホールド性をキープしてくれる。スポーツカーだからと言って、必要以上のカスタマイズを行わないのもキムさん的なGT-Rとの付き合い方というわけだ。
R34GT-Rの泣き所と言えるのがマルチモニターの劣化。経年とともに液晶フィルムが変色するため、どんなに大切に扱っていても車齢を隠せない部分でもある。とは言っても、一生乗り続けると決意したキムさんだけに、この新品パーツもしっかりとストック済み。現状のモニターでも辛うじて視認できるため、このモニターが完全に見えなくなってしまったら、新品パーツと入れ替える予定だとか。
「途中でブランクはありましたが、僕のカーライフはほとんどがGT-Rと過ごしてきたことになります。R32GT-Rのデビュー時に受けた衝撃、そしてR34GT-Rのデビューで再び受けた衝撃は忘れることはできませんね。そして、あの時にただ憧れていただけでなく、実際に手に入れたことは、その後の人生で大きな実りになっていますよ。GT-Rと出会って、GT-Rを楽しむことが仕事のモチベーションにも繋がっていますから、カーライフというよりも人生の多大な部分を占めているんじゃないかな」
モータースポーツでの輝かしい戦績を持ち、時代を築くエポックメイキングなモデルとして世界各国で今も大人気を博している第二世代GT-R。
しかしそういった一般的な評価以上に、キムさんにとっては人生に大きな影響を与えてくれた存在であり、かけがえのない相棒なのだ。
(文: 渡辺大輔 / 撮影: 堤 晋一)
※許可を得て取材を行っています
取材場所: 埼玉スタジアム2002(埼玉県さいたま市緑区美園2-1)
[GAZOO編集部]
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