「他モデルへの買い替えは考えられない」 6人家族を支えるエクシーガの魅力

  • GAZOO愛車取材会の会場である埼玉県の『埼玉スタジアム2〇〇2』で取材したスバル・エクシーガ(YA5型)

    スバル・エクシーガ(YA5型)


4人の子宝に恵まれ(しかも全員男の子!)、一家の大黒柱として家族を支える『TAKUYA』さん。3人目のお子さんが生まれるタイミングで、ファミリーカーとして迎えたのがスバルのエクシーガ(YA5型)であった。所有してから12年が経過したが「他のモデルに買い替えることは考えられない」と話すほど、お気に入りの愛車となっている。

「7人乗りなのに速くて、長距離も楽なんですよね。グレード名は『2.0GT』なんですけど、GTという名前も偽りなしで、エクシーガ2.0GTは本物のGT(グランドツアラー)だと思います」
TAKUYAさんがそう語るほど走行性能に優れ、長距離ツーリングに向いているというエクシーガがどんなクルマなのか、ここで振り返っておこう。

エクシーガが発売されたのは2008年の6月。『7シーターパノラマツーリング』をコンセプトに開発され、どの席に座っても開放的で快適なドライブを楽しめることが追求された。
その見晴らしの良さを実現しているのが、フロントシートからサードシートにかけて、着座位置が徐々に高くなるように設定されている『シアターシートレイアウト』。サードシートも簡易的なものではなく本格的なシート構造が採用され、良好な座り心地が実現されている。
また、リヤサスペンションには室内への張り出しが少ないダブルウィッシュボーンを採用することで、広い荷室も確保。リヤサスペンションの車体への取り付けにはサブフレームを介しているため、ロードノイズや路面の凹凸から来るショックも効果的に吸収することができる。

エンジンは全車2.0リッターの水平対向4気筒で、なかでもTAKUYAさんが乗る『2.0GT』グレードはターボエンジンを搭載。トランスミッションについても標準車が4速ATであるのに対して5速ATが採用され、長距離の移動も余裕でこなせる加速性能と巡航性能を備えている。

そして、そういったエクシーガの素性が、TAKUYAさんの用途や好みにはドンピシャでハマった。
「7人乗りに乗り替えるにあたって、3列目までしっかり乗れるクルマじゃないと嫌だという思いが当初からあったんですよね。スライドドアの箱型ミニバンだと、意外にサードシートが簡易的なところもあって、ちょっとなあと思っていたんです。エクシーガを試乗してみたら、サードシートが補助席じゃないというのがすぐに実感できましたし、実際に家族から苦情が出ることもありません。本当に買って良かったなと思います(笑)」

購入時にこだわったのは、パノラミックガラスルーフとサイドエアバッグが付いている仕様を選ぶこと。大開口のガラスルーフは車内の開放感を高める効果もあり、家族からも好評なのだそうだ。
埼玉県にお住まいのTAKUYAさんだが、神奈川県にあるご実家には日常的に通ったり、家族全員でお出掛けしたりという際にはエクシーガで移動することが多いという。大阪関西万博にも家族みんなで行ったそうで、片道500kmを超える往復距離も「楽勝でした!」と、笑顔でおっしゃる。

TAKUYAさんは「気がついたらクルマ好きになっていました」というほど、子供の頃からクルマへの興味関心が高く、トミカで遊ぶのが大好きな少年時代を送ったそう。当時の愛読書はマンガではなく中古車情報誌で、ページをめくるたびに現れるクルマの写真を飽きることなくずっと眺めて過ごしていたそうだ。

「カーショップでアルバイトしていたこともありました。その時にオーディオの取り付けや配線の作業手順を覚えたので、今でもオーディオ関連はDIYで楽しんでいます。できるだけ映像系には手を出さず、音の良さを追求することにこだわっています」

そう語る通り、エクシーガもオーディオユニットやスピーカーの交換、さらにはデッドニング(ドアの内側などに遮音材を貼って振動や共鳴を抑える作業)もTAKUYAさんが自ら行い、理想の高音質を追求。効果は絶大だそうで、長距離移動の際も音楽を心から楽しむことができるそうだ。

「リヤに貼ってある『SUBARU』のエンブレムは本来付いていないものなんですけど、あえて海外仕様のものを選んで自分で貼ってみました。ちょっと斜めになってしまいましたけど、それもご愛嬌と思っています(笑)」

エクシーガに関するグッズを集めるのもライフワークとなっているTAKUYAさん。これまで買い集めたコレクションをいくつか持ってきてくれた。なかでも大切にしているのは、エクシーガのデザインスケッチ。群馬県のスバル矢島工場で開催されたイベントに参加した際、デザイナーさんに直接描いてもらったものだそうで、貴重なお宝となっている。

「自分で手を動かすという意味では、メンテナンスや修理も基本的には自分で行うようにしています。ただ、水平対向エンジンは構造上、プラグ交換やヘッドカバーのパッキン交換の難易度が高いんですよね。それでも自分でやると、やっぱり愛着が沸きますし、クルマを大事にしようという意識もさらに芽生えるので、それも楽しみながらやるようにしています」

もちろん運転することも大好きなTAKUYAさん。エクシーガは家族で移動する上で便利というだけでなく、ワインディングの走りも十分に楽しめるクルマだと太鼓判を押す。

「ミニバンですけど重心が低くて、ハンドリングはすごく安定しているんですよね。高速道路だと横風の影響を受けにくいメリットもありますし、スバル自慢のAWDですから雪道でも安心です。サーキットも走ったことがあるんですけど、SI-DRIVEを駆使すると加速感を好みや状況に合わせて変更できるので、これが本当に7人乗りのクルマ? と、我が愛車ながら本当に感心してしまいます」

とにかくエクシーガにゾッコンのTAKUYAさんに、逆に気に入らない部分や不満はないのかを伺ってみた。
「欲を言えばMTの設定があったらなぁ、と思わなくもなかったんですが、家族のことを考えると、ATはATで良かったのかなと。シフトレバーを横に倒せば、マニュアルでの変速操作もできますしね。自分にとっては『これが欲しい』という要素を高いレベルで兼ね備えているのがエクシーガの良いところで、不満と言ったらもう新車では売られていなくて、買い替える候補が見当たらないことかもしれません(笑)」

しかしながら、どうしてもMT車は常に一台持っていたいという理由から、実はダイハツのコペン、さらにはGH型のスバル・インプレッサも所有しているという。6人家族で、さらにクルマも3台所有するとなると、なかなか大変ではないかと思うが、それだけクルマが好きで好きでたまらないのだから仕方がない。

「バカですよね(笑)。自分でもそう思うんですけど、クルマが好きなことはやめられないし、家族もちょっと呆れつつ、理解はしてくれています。エクシーガに乗り替えて、なにより一番だったのは、家族全員で乗っても誰一人クルマ酔いをしなくなったこと。一度、レンタカーで箱型のミニバンを借りて出掛けたこともあったんですが、案の定、みんなクルマ酔いをしてしまいまして。それがきっかけで、『ウチのクルマはやっぱりエクシーガじゃなきゃね』と、家族公認のファミリーカーになりました」

メーカーを問わず、新型車が発売されると必ずディーラーに行って試乗するようにしているというTAKUYAさん。楽しみでもあり、勉強でもあるそうだが、エクシーガのようなタイプのミニバンが出てこないことにはもどかしさもあるようだ。

「実際のところ、エクシーガはそれほど人気があったクルマではなかったと思いますし、それ以降、低全高の7人乗りモデルが出てこないことからも、いわゆる世の中の『売れ筋』ではないのかなとは思います。でも、自分はエクシーガを愛車にして本当に良かったと思いますし、とても魅力的なクルマだと思っています。今回の取材を受けさせてもらって、その気持ちが少しでも多くの人に伝わると嬉しいですし、僕と同じようにエクシーガのようなクルマを待望している人の声がたくさん挙がってくれるといいですね(笑)」

人一倍、クルマに対する情熱が強いTAKUYAさんに愛されたエクシーガ。もしも、エクシーガが人間のように感情を持っていたとしたら、まさにクルマ冥利に尽きる思いでイッパイであるに違いない。

(文: 小林秀雄 / 撮影: 平野 陽)

※許可を得て取材を行っています
取材場所: 埼玉スタジアム2002(埼玉県さいたま市緑区美園2-1)

[GAZOO編集部]