初愛車セリカで知ったカスタムの魅力。工夫しながらプラモデル感覚で楽しむカムリとのカーライフ
-
トヨタ・カムリ(AXVH70型)
歳を重ねていっても初恋の人が忘れられないように、クルマ好きにとって初めて手に入れた愛車は忘れられない存在として、いつまでも心の片隅に残っているもの。
今回鳥取で出会った『フィルごま』さんが、初めての愛車として選んだのは、切れ長のヘッドライトや抑揚に富んだフェンダーラインなど、CALTY(1973年、カリフォルニアに設立されたトヨタのデザイン開発拠点)による大胆なデザインを特徴としていた7代目セリカ(ZZT231型)だった。
「デビューは確か1999年の9月。私は高校3年生でしたが、birdの曲を使ったテレビCMを見て一目惚れ! すごいカタチのクルマが出てきたと驚きました。まだ運転免許を取る前だったので、ディーラーに『ポスター下さい!』とお願いに行って、部屋に飾っていましたね。その後、専門学校を経てディーラーへの就職が決まり、新卒のタイミングでコツコツ貯めていた頭金を握りしめて、契約に向かいました」
そうして購入したセリカはSS-IIグレード。予想以上に値引き額が大きかったことから、ディーラーオプションのエアロパーツを追加し、さらにホイールの変更やダウンサスの取り付けなど自分流にモディファイを行うなど、仕事からプライベートまで20代のカーライフの良き相棒として大活躍したそうだ。
初愛車でエアロパーツをはじめとするカスタマイズパーツと出会い、それらによって愛車を自分好みに変えていくことができるという楽しみ方を知ったフィルごまさん。その経験は、その後の愛車ライフにも多大なる影響を与えていくことになる。
やがて結婚が決まり、そろそろ子供が生まれるぞという時期に『先々のことを考えると2ドアのセリカでは厳しいだろう』と、カローラフィールダーへと乗り換えを決断した際にも、やはりカスタマイズすることを前提にしたチョイスだったようだ。
「どこかにセリカの面影を感じられるクルマは無いものかと探していたところ、排気量は同じ1800ccだし、足まわりにセリカ用のパーツが使えるといったことからカローラフィールダーを選びました。乗り味も結構気に入って、思いのほか長く所有していました」
「ただ、20万kmを超えたあたりからエアコンの調子が悪くなり、あちこちガタも出てきたので、買い替えることになりました。その頃にはディーラーの仕事を離れていましたが、ディーラーに勤めていた専門学校時代の同級生とあれこれ検討した結果、SUVタイプのC-HRに決めました」
当初は5年間だけ乗ることを前提に残価設定での購入を選んだC-HRだったが、根っからクルマいじりが大好きな気持ちを押さえることができず、20インチホイールへの変更や樹脂の素地部分への塗装など、自己流カスタムを楽しんだ後、5年間の契約満了を迎える頃にクルマ趣味仲間から“譲ってほしい”との打診があったことから、残価分の再契約は行わず売却することに。
「嫁さんからは“まだ新しいのに”と、だいぶ怒られました。なので、次はできるだけコストが掛からないクルマ選びが条件となり、そこで目に止まったのがカムリ(AXVH70型)でした。タイヤサイズがC-HRとほぼ同等だったので、少し車高を落とせばC-HRに履かせていたホイールが流用できるなと」
すでに持っているアイテムを有効活用することまで考慮するなど、クルマ選びの段階からお財布にも配慮しつつカスタムを楽しむことを前提としていたわけだ。
「もちろん金額的な面だけでなく、スタイルも割と好きだったし、セリカ、カローラ フィールダー、C-HRと車名のイニシャルが“C”で続けられることも理由のひとつですかね(笑)。このカムリについては、カッコ良さからいけば“WS”というグレードもありますが、今度は長くまったり乗り続けることがテーマなので、敢えておとなしめの“G”グレードを選択しました」
現在までカムリの所有歴は2年ほどだが、手を加えた部分は多岐にわたっている。まず足まわりはラルグス製の車高調整式サスペンションで控えめにローダウン。バンパーの下部にはリップスポイラーが追加され、前後のトヨタエンブレムはGR用に変更。そして、ノーマルではクロームメッキ仕上げとなっているドアハンドルは、カムリのWSグレード用のカラードタイプへと交換した。
さらに、細かいところではハイブリッド系のエンブレム類はすべて無くし、シフトノブやペダル類をレクサスES用とした他、4スピーカー+サブウーファーのオーディオシステムを搭載。これらすべてはフィルごまさんのDIYによるものというから、相当器用な手先をお持ちである。
「カーオーディオは、自分なりにイイ音で聴きたいので、ドアパネル内部やフロアなど各部にはデッドニング(※制振加工)を施しています。エンジン関係についてはマフラーをWSグレード用にした以外はノーマルです」
「あとはトランクのフード裏面にLEDを埋め込んだりと、多少の切った貼ったは気にせず、プラモデル感覚で遊んでいます。今後はレザーパッケージ用のオーカー色(黄土色)の内装パーツを取り入れていきたいですね。クルマいじりの大半はマンションの駐車場内でやっているので、たまにご近所さんから“大変そうですね~”と声をかけられることもあるんですよ(笑)」
そんなクルマ好きの父親の背中を見てきたのが息子の千耀クン。幼少の頃から助手席に同乗し、一緒にオフ会やイベントに出掛けて写真を撮ってまわるなど、実践的な英才教育によって『ノーマルにちょっと手を加えるだけで、見た目の雰囲気が断然変わるところがスゴイ。僕も将来86(ZN6型)の後期を買って、父と一緒にクルマいじりがしたいです!』と、立派なクルマ好きに育っているご様子。
「今年の3月には受験に合格したお祝いとして、東京まで車中泊での慰労旅行に出掛けました。最初は関西までのつもりが『好きなアニメの聖地が下北沢にあるから東京に連れて行って欲しい』というので、そのまま走り続けました。浜松ぐらいで限界がくるかなと思ったけど、意外と最後までイケちゃいましたね」
「何だかんだで、所有している2年間で走った距離は3万km以上。燃費も良いし、疲れも少ない。ペースさえ守れば長距離にも十分使えるクルマですね」
自分流に手を加えたカムリは気に入っている。けれども、街角でZZT23#系のセリカを見かけると、つい、その姿を目で追いかけてしまうと語るフィルごまさん。またいつの日か中古車を探して、再びそのステアリングを握る気持ちはないのだろうか?
「う〜ん、ちょっと難しいでしょうね。まず、我が家の大蔵大臣(奥様)がなんというか。それにパーツの製造廃止も進んでいるだろうし、経年劣化した車体のレストアから始めるとなると維持費的にもなかなか大変。それに息子にはもう少し学業に専念してもらわないといけないので、しばらくクルマ趣味は封印かな?」
「それから最近、新型セリカの噂もチラホラ出ているようですが、ちょっと僕の好きなタイプではないかも。セリカファンの中にはWRCマシンのイメージなどから、かつてのGT-FOUR的な高性能モデルを期待されている方が多いようですが、私はガチなスポーツ路線より、ZZT23#系のような、見た目がオシャレで走りはそこそこ気持ちが良い、というユルめなキャラクターが好きなんです。とは言え、セリカの名が復活したらやっぱり嬉しいですね!」
クルマを愛し、カスタマイズを楽しみ、そして何よりも家族との時間を大切にするフィルごまさん。この先のカーライフも、きっと“C”のつく愛車と共に、笑顔で駆け抜けていくことだろう。
(文: 高橋陽介 / 撮影: 稲田浩章)
※許可を得て取材を行っています
取材場所:米子駅前だんだん広場(鳥取県米子市弥生町2-20)
[GAZOO編集部]
カムリの愛車記事
GAZOO愛車広場 出張取材会in鳥取
-

-
全日本ラリー参戦車のアルトワークスと共に走り続ける先に見据える夢とは
2025.08.28 愛車広場
-

-
ターボがこだわりのファミリーカーMPVは、趣味心も家族も満足させてくれる我が家のスーパーカー
2025.08.26 愛車広場
-

-
深夜のWRC中継で見た勇姿に一目惚れ! 憧れ続けたランエボⅣが“終のクルマ”としてガレージにやって来た
2025.08.24 愛車広場
-

-
「僕はこのクルマじゃないと、ダメなんです!」パジェロエボリューションを2台乗り継ぐオーナーの熱意と努力
2025.08.23 愛車広場
-

-
多彩な活動を展開する現役アイドルが選んだプリウスは、信頼性に富み省燃費性能も高い敏腕マネージャー
2025.08.13 愛車広場
-

-
『RX-8』と共に走り、SNSをフル活用しながら自分らしさを追求する
2025.08.12 愛車広場









