ターボがこだわりのファミリーカーMPVは、趣味心も家族も満足させてくれる我が家のスーパーカー

  • GAZOO愛車取材会の会場である『米子駅前だんだん広場』で取材したマツダ・MPV 23T(LY3P型)

    マツダ・MPV 23T(LY3P型)


1970年代から市販車に採用されはじめたターボチャージャーは、高性能モデルの証として多くのクルマ好きにとって特別な存在となっている。特にパフォーマンスを重視したいスポーツカーでは、パワーアップの要ともなり、1990年代後半から2000年代初頭には多くのターボモデルが誕生していった。
そんなターボ車をこよなく愛し、ファミリーカーもターボ付きであることを基準に2006年式マツダ・MPV 23T(LY3P型)を選択し、自分好みにカスタマイズを楽しんでいるのが『おやじ』さんだ。

『スポーツカーの発想で、ミニバンを変える』をキャッチコピーとして、2006年に生まれ変わった3代目MPV。そのコンセプトに従って、エンジンは2.3リッターターボを設定しつつ、サスペンションにもマルチリンク方式を奢るなど、マツダらしい手の込んだ設計によって、ミニバンらしからぬ走行性能を誇っているのが特徴である。
もちろん、本来ミニバンに求められる居住性や利便性も併せ持っており、ファミリーカーとしてのニーズにも合致。ライフステージの変化に伴う、スポーツカーからミニバンへの買い替え需要を満たす存在として人気を集めていたモデルだ。

そんなMPV(LY3P型)を、17年前にファミリーカーとして手に入れたというおやじさん。その選択基準はやはり家族で乗れる広いスペースと、ターボが搭載されているからだという。

「自分も妻も若い頃から70系スープラをはじめとしたターボ車ばかり乗り継いでいたんですよ。一時期はL700系のミラを購入したこともあるんですが、我慢できずにターボ化しちゃったこともありますし、妻もダイハツ・MAXをカスタマイズして乗ったりしていましたね。だから家族が増えることになって、ファミリーカーを購入することになった時、ターボ付きが決め手になりMPVの購入に踏み切ったという感じです」

おやじさんがこだわったエンジンは、マツダスピードアテンザやマツダスピードアクセラにも採用されたDISIターボ。車重によってトルク特性を変えているが、MPVに搭載されるモデルでも245psという高出力を発揮している。当時のミニバンとしてもトップクラスのパワーを備えていたことは、ターボ車好きが選ぶファミリーカーとしては見逃せないポイントになったはずだ。

もちろん、これまでターボを搭載するスポーツカーを乗り継いできたというだけに、ファミリーカーであってもカスタマイズをしたくなるもの。特に吸排気系の変更は基本ということで、ARC製の大型インタークーラーやマフラーなど、動力性能に直結する部分をアップデートしている。

「スープラもARC製のインタークーラーを装着しているので、MPVも同じARC製を組んでみました。手に入れて17年が過ぎていますが、はじめの頃は賑わっていたMPVのオーナーズミーティングにも足を運んでいましたね。でも、だんだんと乗り換える人が増えてしまい、そういった人達からもカスタムパーツを譲り受けることで、徐々に仕様変更を行っているんです。現在は吸排気系とBee☆Racing製のコンピュータを追加して、高速移動が楽にできるクルマに仕上げています」

マフラーに関しては、以前はワンオフ品を装着していたものの、音量が気になったことで現在はオートエクゼ製の車検対応製品に変更。排気音を抑えるとともに、燃費も向上したのは意外なメリットだったそうだ。また“やり過ぎない”適度なカスタマイズを楽しめるようになったことには、自身が大人になったなと感じているのだとか。

パフォーマンスだけでなく、スタイリングもしっかりとアップグレード。社外エアロやホイールは、塗装から取り付けまで自分で行っているが、紫がかった難しい発色をしっかりと再現しているのは、長らくDIYカスタムを楽しんでいるおやじさんのウデが発揮されたところ。昔から『イジって楽しむ』を実践してきただけのことはある。

適度なローダウンで見た目と乗り心地を重視したサスペンションもDIYで交換している。

「この型のMPVはリヤがマルチリンク方式なので、強めにブレーキをかけても前のめりにならず、四輪がしっかりと接地しながら止まる感じが魅力ですね。でも自分でサスペンション交換するとなると結構手間が掛かるんです。車高も乗り味も十分満足しているので、余程のことがなければサスペンションはこのままの状態をキープかな」

ちなみに、購入を決めた時点ではおやじさんご夫妻とご両親、さらに祖父母の6人で乗車することを想定していたが、ちょうどそのタイミングで奥さんが娘さんを妊娠し、さらに家族が増えることとなる。こうなると7人が乗れるMPVは最善の選択。
特に2列目のシートは、キャプテンシート(2名)でも、ベンチシート(3名)としても使えるギミックによって、乗車人数のアレンジやチャイルドシートの設置にも困らない。まさにファミリーカーとしての役割を存分に発揮してくれるのだ。

「夫婦揃って歴代のクルマがターボ車であるだけでなく、ローダウンやホイールの交換、シートの交換にサブウーファーの装着といったカスタマイズはすべて共通して行っています。そのため、これらのカスタムメニューは家訓のようになっているんです(笑)。実際に、所有している3台の70スープラに加えて、妻が日常で乗っているマツダ・デミオもディーゼルターボですし、自分が使っているホンダ・バモスもターボ車で、これらのメニューでカスタマイズしています。とは言っても、それぞれに違った使い方があるので、ターボ車といってもそれぞれに違いが楽しめますよ」

基本的には、家族揃っての長距離ドライブで活躍するMPV。大人数で乗車しても高速道路を快適に走れることが、おやじさんにとって譲れないファミリーカーの条件だという。

「いちどアルファードも試してみたんですが、MPVよりも重心位置が高いじゃないですか。だからちょっとしたコーナーでもクルマの揺れが気になっちゃって。カスタマイズによってターボ仕様にしたとしても、運転が楽しめないと感じてしまったんですよ。そういった意味でも、今のところMPVに勝るファミリーカーはみつからないですね」

腰痛対策として取り入れた運転席と助手席は、レカロ製のセミバケットシートを装着。先述のカラクリシートと呼ばれるセカンドシートとともに、家族での長距離ドライブもより快適に過ごすことができる仕様となっている。

購入から17年が過ぎ、現在の走行距離は8万km弱と、まだまだトラブルなく元気な状態。最近では街中でもすれ違うことが少なくなってきているだけに、逆に乗り続けるモチベーションもアップしているのだとか。

「以前、滋賀県で行われた撮影会には70スープラで参加させてもらったんです。でも、ずっと家族の思い出が詰まったMPVも記録として残しておきたいなって考えていました。岡山での取材会に足を運ぼうと思っていたんですが仕事で予定が合わず、今回参加できたのはラッキーでしたね。ちょうど今日が妻の誕生日ということもあり、家族で海の幸を楽しむドライブを兼ねて米子まで遠征させてもらいましたが、良い記念になりました!」

ターボ車であること、そして内外装のカスタマイズにもこだわり抜いたおやじさんのMPV。しかし、趣味全開でカスタマイズを追求するのではなく、家族みんなで楽しめるクルマへとアップデートして各地へのドライブを楽しんでいる。これこそ、趣味を兼ねたファミリーカーの正しい姿であることは間違いない。
求めている全ての要素が詰め込まれた唯一無二のファミリーカーとして、これからもおやじさん一家に多くの楽しみをもたらしてくれる存在というわけだ。

(文: 渡辺大輔 / 撮影: 平野 陽)

※許可を得て取材を行っています
取材場所:米子駅前だんだん広場(鳥取県米子市弥生町2-20)

[GAZOO編集部]