『他の人とかぶりたくない』というこだわりから選ばれた“光岡・ヌエラ”という選択

  • 宮城県石巻市のオシカーズのミーティングで取材した光岡自動車・ヌエラ

    光岡自動車・ヌエラ



スタイル、速さ、快適性など、クルマを選ぶ際に重視するポイントは人それぞれだが、各地のカーミーティングをまわっていて、こだわりのオーナーたちからよく聞くのが『人とはカブりたくないのでこれを選びました』という言葉。ここで紹介する“ちょいさん”も、まさにそんなクルマ好きの一人。『人と同じクルマには乗りたくない』という思いで選んだのが、光岡自動車のNUERA(ヌエラ)だったという。

「購入したのは3年前の2021年です。もともと光岡のクルマには興味を持っていて、2015年ごろにロールスロイス シルバラードⅡをデザインモチーフとして製作された我流(ガリュー)に乗ろうと思って探したのですが、その時は予算に合わずに諦めたんです。その後もずっと光岡のクルマは気になっていたのですが、そのことを知っていたクルマ屋をやっている仲間から『ネットオークションに面白いのが出ている』と連絡をもらったのがこのヌエラだったのです」

「前オーナーが自家塗装したマットなクリーム色の外観は、普通の人なら敬遠しそうなものでしたが。私にしてみれば逆に面白いと思いましたし、その外装のお陰で格安で購入することができたんです。クルマ屋の仲間が調べてくれたのですが、私が3オーナー目で、新車で購入した最初のオーナーも宮城県の人だったらしいです。それが千葉県に渡って再び宮城県に戻ってきたということで、なにか運命的な縁を感じましたね」と、ちょいさんはこのクルマを購入した経緯を説明してくれた。

光岡ヌエラは欧米では“パイクカー”というジャンルに分類される、市販車をベースにクラシカルなスタイルとした改造車で、2004年に発表されたプレミアムセダン。ベースとなっているのはCL7型ホンダ・アコードで『人にもっと、心ゆたかな人生を』というキャッチフレーズに合わせた、シックで上品なンテリアと、ゆったりと流れるようなスタイリングが特徴である。

「光岡自動車のクルマに乗っているというだけでも珍しいのに、このヌエラは唯一のホンダ車をベースにした究極のマイナー車なんです。バリエーションは2000ccのK20エンジン搭載モデルでベーシック仕様の20ST(FF/4WD)と、高級装備を加えた20LX(FF/4WD)を展開。他に2400ccのK24エンジン搭載モデルの24LX(FF)もあったようですが、私が購入したのは2000ccでインテリアがレザー仕様なので20LXだと思います」

「メーター周りなど装備類は基本的にアコードと同様なのですが、ハンドルのホーンパッドやカードキーは光岡のエンブレムに変更。またボンネットはFRPではなく金属を溶接して延長されているなど、光岡としてもこのヌエラにはかなり力を入れて開発したことがよくわかりますね」

実際に手に入れてみて、現在の満足度やトラブルの有無も気になるところだが、「特徴的な6つ目のフロントマスクは購入の決め手にもなった部分ですが、3年たった現在でもやっぱり一番気に入っている部分ですね。購入時の走行距離は13万km弱で、現在は16万3000kmになりましたが、これまでのところ特にトラブルもありません」

「購入してから変更したのは、ホイールをトヨタ車用の15インチスチールにしたくらいで、そのホイールをイエローに塗装して装着していたのですが『幼稚園のバスみたい!』と家族から不評だったので、現在はホイールキャップを追加しています。その他は車高調整式のサスペンションが入っていますが、これは前オーナーが装着したものですね。そして、本当はこのマットなボディカラーにエイジング塗装をするつもりだったのですが、これも家族から『イジるな!!』と言われているので我慢している状態なんですよ…」

どうやら家族から釘を刺されてしまうほど、カスタマイズ好きなちょいさん。となれば、そのキッカケやこれまで乗り継いできたクルマの事なども気になるところだ。

「クルマに限らずエンジンの付いている乗り物ならなんでも好きというタイプで、クルマに乗っていても周りのクルマをずっと眺めているような子供だったと両親から聞きました。高校生になってからは16歳で原付の免許をとり、ガソリンスタンドでアルバイトをしながら走り回っていましたね」

「18歳でクルマの免許をとって、最初の愛車は母のお下がりの日産パルサーセダンでした。『人と同じクルマがいやだ』という気持ちでカスタムをはじめ、その後に乗ったD21ダットサントラックは荷台部分をオーディオエリアに、EK3シビックはスポコン仕様、CAアコードはローライダーにしていました。結婚後は家族の増加に合わせて軽のワンボックスやミニバンなどを乗り継いできましたが、どのクルマでもなんらかのカスタムはしていましたから、今のヌエラは例外って感じですよね」

ちなみに、ヌエラの直前に乗っていたのはラパンSSで、これをリフトアップしてエイジング塗装を施したオンリーワン仕様だった。が、娘さんの送迎をしたところ大不評となってしまい、今の『カスタム禁止令』のキッカケになってしまったとのことだ。

こうしてお話を伺っていると、クルマを巡っての家族のエピソードがたくさん出てくるちょいさん。今回のオシカーズ自動車大博覧会にも21歳の娘さんとともに参加していたほどで仲良しぶりが伺える。

「このヌエラが来たときに、家族はスタイルや色を見て『風の谷のナウシカに出てくる王蟲(オーム)みたい』と言われました。そこでボンネットに“蟲”のエンブレムを製作して装着。ヘッドマーク代わりに置いたマグネット式のクジャクは、ちょっとした遊び心でとくに意味はありません。家族構成は私と妻、3人の娘とおばあちゃんの6人なのですが、基本的にみんなクルマ好きですネ。なかでも一番私の影響を受けているのが、次女の“おちゃまる”かもしれません。今回は私のクルマに同乗してきましたが、じつは彼女も去年リョーガ(凌駕)を買った光岡車のオーナーなんです」

11月の東北地方とは思えぬ暖かさの中、のんびりとミーティングを楽しんでいた、ちょいさんとおちゃまるさんの仲良し親子。現在はミツオカ製のクルマに囲まれて、充実したカーライフを満喫している様子だが、最後に愛車ヌエラとの今後について尋ねてみることにした。

「このヌエラを買ってよかったのは、“結”というミツオカのオーナーズクラブの皆さんとの交流です。リヤウインドウのロゴステッカーや一斗缶で作った特性スツールで、各地にミツオカの輪を広げたいと思っています。やはりミツオカ車ならではの魅力は、ノーマルのままでも“人とかぶらない”絶対的な個性ですね。街中で『外車ですか?』と聞かれることも多いんですよ。もちろんこのヌエラには今後も長く乗りたいと思っていますが、もし乗り換えることがあったとしても、再びミツオカのクルマを選ぶつもりです」

(文: 川崎英俊 / 撮影: 堤 晋一)

※許可を得て取材を行っています
取材場所:鮎川浜山鳥渡し駐車場 (宮城県石巻市鮎川浜)

[GAZOO編集部]