30年想い続けてきた夢に近づけた理由は、クルマ好きの仲間に恵まれたから
子供の頃の夢は、プロレーサーになることだったという「藤田さん」。キッカケは、小学生の頃にテレビで放送されていた、ル・マン24時間レース。自分もこんな風にレースをしてみたいと憧れたものの、いざその夢を追いかけようとするとどうすれば良いか全く分からなかったそうで……。
今回は、藤田さん×スポーツカー のお話をお届けします。
――プロレーサーになりたい!かぁ〜。小学生の頃、隣の席の男の子が七夕の短冊に書いていました。
おっ!僕と同じですね。レーサーになりたいという夢を持ったのは、テレビで放送されていたル・マン24時間レースのマシンがとにかくカッコよくて、自分で運転してみたい!走りたい!と思ったからなんです。
――インスタを拝見しましたが、サーキットで走っていらっしゃる画像が沢山アップされていました。現在は、レース関係の仕事をしていらっしゃるのですか?
いいえ、一般企業でサラリーマンをしています。もっというと、サーキットを初めて走ったのは一昨年の夏で、それまではスポーツカーにすら乗ったことがありませんでした。小学校の頃に諦めた夢を、40代になったいま叶えようとしているんです。
――差し支えなければ教えて頂きたいのですが、なぜ諦めてしまったのですか?
レーサーのなり方、が分からなかったんですよ。プロレーサーをやっている人が周りにいないし、今ほどネットも発達していないから、それを知る術がなかったんです。
それでも、小学生なりに調べて「カートをやらなくてはいけない」というところまで辿り着きました。だけど、カート場まで誰が送り迎えしてくれるのかとか、お金はどうするの?って考えたときに、これは現実的に考えてダメだなと諦めたんです。
そこから、レースは「やりたいこと」じゃなくて「見るもの」に変わりました。お金が稼げるようになってからは、ル・マン24時間レースを観戦しにフランスに行ったり、アメリカにインディを観戦しに行ったりと、海外にも行くようになりましたね。
そんなレース日和を送っていたときに、世界中がコロナで大騒ぎになりました。
――海外に行くことすら禁止されていましたものね。
そうなんです。あの頃は世界中が大パニックだったし、コロナは未知の病気だったからレース観戦どころではないというか……。
子供の頃からテレビで見ていた芸能人の方がお亡くなりになり、僕の中で死という遠い存在が一気に身近なものに変わりました。そうすると、後悔が無いように生きなくては!やりたいことにチャレンジしなくては!という思いが芽生えたんです。
――それで、レースを始めたんですね。
はい。まずは手始めに、ポルシェ911を購入しました。ポルシェを購入したのは、小学生の頃に初めて観たル・マン24時間レースで、ポルシェが連戦連勝していて憧れのメーカーだったからです。初めてのスポーツカーに、胸が高鳴ったのを覚えています。
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ポルシェ911
――え!?初めて?何となくレース好きの方って、スポーツカーに何回かは乗ったことのあるイメージがありました。
よく言われます(笑)。スポーツカーは「乗るもの」じゃなくて「見るもの」だという認識だったんですよね。でも、乗ってみたら楽しくて楽しくて!今度はサーキットを走ってみたい!となったんです。
それで、一昨年の夏にスポーツ走行の基本操作を教えてくれる練習会に参加して、今は86レースで走っています。
――早い!展開が早すぎる!
それもよく言われます(笑)。たまたま練習会で知り合った方が誘ってくれたカートの走行会で、主催者のレーサーの方に僕の話をしたら興味を持って下さって、これまで知らなかったアマチュアレースの世界を色々と教えてくれたんです。
そして、お話をしていくうちにフツフツと「夢だったレースの世界にチャレンジしたい!」という思いが沸いてきました。そうなれば即行動で、その方にサポートしていただきながら、S耐参戦を目標にした3年計画を立てたんです。
去年の1年目は基礎練習に重きを置きつつ、実戦を経験するために、アウディ A1のワンメイクレースに参戦。
そこで、たまたま運よくシリーズチャンピオンを獲ることが出来たので、今年2年目は本格的なレーシングチームに所属してご指導いただきながら、FRでマニュアルのクルマで台数多いレースに出て経験を積もうとFCR-86BRZレースに参戦しています。
――順調すぎて、ビックリです。ともあれ、自分のやりたかったことが実現できて素敵です!
ありがとうございます。でもね、今は自分のためだけに走っているわけじゃないんです。僕みたいに一般企業のサラリーマンでも挑戦出来るんだよ!とか、応援してくれる人がいるよというのを伝えていきたいと思っているんです。
そう思うようになったのは、僕を見て「あの人は40代からレースに参戦しているらしい……なら、自分もやってみようかな」と思ってくれる人がいたからなんです。
初めは自分のために走り始めたんですけど、そういうことがあると、自分でも誰かに影響を与えられるのか!よし、頑張ろう!とさらに思えるようになりました。
アマチュアレースが盛り上がれば、モータースポーツ全体に興味を持つ人が増えると思っているんです。その歯車に、小さくても関われたら良いなと感じています。
やりたいと思っているなら、今すぐ挑戦した方がいいと話してくれた藤田さん。アマチュアレースの世界には、趣味でやる人、プロになるために走っている人など、様々なバックグラウンドを持った人が沢山いて、それでも“クルマ好き”という共通の部分で繋がっているのだということです。
「みなさん、生き生きしていますよ!」
というハツラツとした声を聞けば、藤田さんがカーライフを楽しんでいることは間違いないと感じた筆者なのでした。
【Instagram】
藤田真哉(@shinya65940)さん
(文:矢田部明子)
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