中古車販売店で「僕を買って!」とアピールされた気がして愛車に。1996年式 トヨタ・マークII ツアラーV (JZX100)



かつてマークII 3兄弟のスポーツモデルといえば「GTツインターボ」でした。その後、JZX90系および100系では「Tourer(ツアラー)」の名を冠し、NAエンジンとターボエンジンの2本だてのラインナップで人気を博しました。

今回、取材させていただいたjetta_natsumeroさんの愛車は、当時のカタログに掲載されていたイメージそのもののような仕様が魅力のトヨタ・マークII ツアラーVです。なぜ、このクルマを手に入れることになったのか?そのきっかけや愛車遍歴、そして愛車へのこだわりなどをじっくりと伺いました。

―― まずは、jetta_natsumeroさんの愛車のご紹介をお願いします!

愛車は「1996年式 トヨタ マークII ツアラーV (JZX100)」です。手に入れてから18年、現在の走行距離は9万9千km、私が手に入れてからは約4.2万km走りました。

―― サンルーフバイザー付きの純正フルエアロのツアラーVじゃないですか!4ドアがお好きなんですか?

10歳くらい年上のいとこがいるんですが、私が子どもの頃に日産・スカイライン(R31型)に乗っていて、カッコいいって思いましたね。このクルマの存在が、クルマ好きになったきっかけだったかもしれません。その後「あぶない刑事」の再放送をテレビで観てクルマ好きがさらに加速しました(笑)。もちろん最新作「帰ってきた あぶない刑事」も観ましたよ!

劇用車として活躍する日産・レパードもカッコいいと思うんですが、惹かれるクルマというと4ドアなんですよね。

―― あぶない刑事の最新作もチェック済みでしたか!ちなみに、愛車遍歴はというと…?

最初に手に入れたのはホンダ・インテグラ の4ドア(DA8型)ですね。マイケル・J・フォックスがCMに出演していた「かっこインテグラ」のモデルです。そのあとは現在のマークII ツアラーV。それとホンダ・フィットを所有しています。愛車遍歴はこの3台です。

―― かっこインテグラ!懐かしい(笑)。こちらのツアラーVは指名買いで手に入れたんですか?

レガシィB4やアルテッツァ280Tも候補に挙がりましたが、マークII ツアラーVとR34スカイラインセダン25GTターボの2車種に絞りました。その理由は「直6でFR、ターボ」だったからです。この2車種に絞り、どちらを買うか、最後の最後まで悩みました。

当時、職場の先輩が日産ステージアRSターボの後期型に乗っていて、何度か運転させてもらったんです。先輩のステージアに搭載されているRB25DETエンジンは、スカイライン4ドア(R34型)に搭載されているのものと同じなんです。このRB25DETエンジンは、回転数を上げてからトルクフルな加速が味わえる印象です。その点、ツアラーVに搭載されている1JZ-GTE(VVT-i)は、低速でトルクフルになる特徴があるんですね。どちらも私の好みですが、エンジンの特性とYAMAHA製ということが決め手となり、ツアラーVにしました。そして何より「ツアラーV」というグレード名ですね。JZX100型のツアラーはチェイサーのイメージが強いんですが、先代であるJZX90型のときはマークIIの方でした。その影響で、JZX100型のツアラーVを買うならマークIIと決めていました。

JZX100型のマークIIを買うなら、ボディカラーはホワイトパールマイカ(パールツートン)か、プレステージャスパールトーニング(2トーンカラー)と決めていたんです。そうしたらホワイトパールマイカのツアラーVの売りモノが見つかり、実車を観に行ってみたらタッチの差で売れてしまい…。そこで出会ったのが現在の愛車なんです。

―― ワインレッドマイカのツアラーVがその店に置いてあったわけですね

そうなんです。希望していたボディカラーではないけれど、このクルマが「僕を買って」って表情をしているように見えたんですね。あとから知ることになるんですが、ワインレッドマイカのツアラーVって、カタログにも載っていたイメージカラーなんです(筆者補足:当時のカタログを見てみると、ツアラーVのイメージカットや、モデル紹介、エンジンルームを見せるカットにワインレッドマイカのクルマが使用されています)。

私でツーオーナー目らしく、ファーストオーナーさんはご高齢の方で、とても大事に乗っていたと伺っています。

―― 何だかこのツアラーVに選ばれた感じがします。納車された日のことって覚えていますか?

覚えています。すごく嬉しくてステアリングを握るだけで興奮しましたね。ツアラーVの初ドライブは父が運転して姫路城まで行きました。父はずっと「クラウンに乗る!」といっていたけど、結局乗らなかったんですね。クラウンではないけれどマークIIで良ければ…ということで、父に運転してもらいました。

―― 親孝行ですね。ツアラーVを手に入れてからご自身のカーライフに変化はありましたか?

SNSを使うようになったことで仲間がたくさんできました。ハチマルヒーロー誌が主催する「ハチマルミーティング」にツアラーVで行ってみたんです。そうしたら現地で声を掛けてくださる方がいまして。その方のクルマって、私のツアラーVとそっくりの仕様なんですね。

実は春と秋に三重県の伊勢志摩でオフ会を主催しているんですが、そのイベントに参加してくださる方とも「ハチマルミーティング」を通じて知り合い、仲良くなったんです。

このオフ会は気心の知れた人同士で集まるんですが、少ないときで10台くらい、昨年の秋に開催したときは21台集まりました。マークIIの他にも、チェイサーやレパード、スープラのオーナーさんも来てくれますよ。

―― 今年秋のオフ会を心待ちにしている方もいるでしょうね。ちなみに、ご自身でモディファイされた箇所を教えてください。

手に入れたときは純正のフロントスポイラーが装着されていました。ただ、ところどころにはがれたような痕があったので、純正フルエアロ一式(フロントスポイラー・サイドマッドガード・リアバンパースポイラー)を交換しました。当時はまだ純正の新品部品が手に入ったんですね。あと、純正マフラーをバッフル付きに交換しました。中期型と後期型のマフラーにはバッフルが装着されているんです。

―― 敢えてオリジナルでまとめている印象を受けますが、jetta_natsumeroさんのこだわりですか?

そうです。純正のフルエアロが最高だと思っています。社外品はブースト計くらいですね。フルノーマルでしかもメーカーオプションだったサンルーフが装備されていて、ディーラーオプションのサンルーフバイザー付きであることも自慢できるポイントだと思います。

メンテナンスはディーラーにお願いしています。とても頼りになるディーラーさんで助かっています。あと…ヘッドライトが黄ばみやすいので、ときどきプロに磨いてもらったりしてコンディションを維持しています。

―― jetta_natsumeroさんにとって「愛車」はどのような存在ですか?

マークII、それとフィットのおかげでたくさんの仲間と知り合うことができました。もはやクルマは単なる走るための道具ではなくなってきた気がします。維持費は掛かりますが、これからも相棒として仲良くしてほしいです。縁あって私の愛車になってくれたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

現実には「オーナーがクルマを選ぶ」のだとしても、実は「クルマがオーナーを選んでいる」としか思えないことが取材を通じてしばしばあります。今回のjetta_natsumeroさんの取材がまさにそうでした。

オーナーの乗り方、扱い方次第で、わずか数年であっという間に痛んでしまうクルマがあるいっぽうで、jetta_natsumeroさんのツアラーVは、まさにコンクールコンディションともいえる美しさを保っています。

いまや貴重な「FR・直列6気筒ターボエンジン」の組み合わせを持つjetta_natsumeroさんのツアラーV。このパッケージングの魅力を後世に伝える「伝道師」として、充実したカーライフが送られることを願っております。

<取材・編集 株式会社キズナノート>