中学生のころに憧れたスバル・アルシオーネSVXを日常使い、人生が豊かに
スバル・アルシオーネSVXが登場した当時は中学生だったという「kenkoさん」。
それまでは日産党だったそうですが、未来感のあるアルシオーネSVXのデザインを見てからというもの、スバル車が気になり始めたということです。
それから歳月は流れ、当時乗っていたレガシィ アウトバック(BP系)からの乗り換えを検討する際に、昔から憧れていたSVXに乗りたい!今のうちに乗っておかないと!と思い、6年前に購入に踏み切ったとのこと。
今回はkenkoさん×アルシオーネSVXのお話をお届けします。
―――日産党だったkenkoさんが、スバル党になるくらい惹かれたデザインだったということですか?
そうです。当時のスバルって、レオーネやサンバーなど、年配の方が乗っていそうな野暮ったいデザインが多いイメージだったんですけど、流れるような美しいボディラインに航空機のキャノピーのようなキャビン、ハイデッキで横一文字のテールと、国産車離れした2ドアクーペのエレガントなデザインに衝撃を受けました!
あとは、当時影響を受け始めていた徳大寺有恒さんというモータージャーナリストの記事などを読んで、スバルって良いな~。アルシオーネSVXって一体どんなクルマなんだろう?と、僕の中で興味の塊のような存在になっていったという感じですね。
―――愛車として迎え入れたのは、いつですか?
旧車ブームぎりぎり前の、6年前に購入しました。だから、今思えば値段もそこまで高くはなかったし、程度の良い個体も比較的沢山あったので割と好きな仕様を選べたんです。
―――これだけは外せない!というオプションがあったとか?
まずサンルーフですね。過去の愛車も、選べる限りは必ずサンルーフを付けました。
というのも、私の父はクルマへのこだわりがあまりない人で、小さい頃の自家用車がいつも素のグレードだったんですよ。僕はそれがすごく嫌でねぇ〜。
取説を読んでは「うちのはサンルーフどころか、カセットもパワーウィンドウも何にもついてない」と残念だったんですよ。その反動なのか?基本的に上位グレード、フルOP思考になってしまったんです。
話は戻りますが、ほかにはベージュの内装が好きなので、ベージュ内装が設定されたS4グレードにしようと決めていました。そしたら、サンルーフ付きの条件ドンピシャな個体がちょうど出てきて、即現車確認という流れでしたね。
とはいえ、20年以上前のクルマを愛車として迎え入れるのは初めてだったので、内外装のやれ感や退色、車内の匂いなど、やっぱり中古車なんだな~っと色々感じるところはありましたね。
頭の中は中学生の頃に見たカタログの写真で止まっていたから、実際に見てみての第一印象は“年月は裏切らないな”で現実を目の当たりにし、その場では購入せずに、何とも言えない気持ちになって家路につきました。
―――それなのに、なぜ購入を決めたのですか?
近年登場してくるエンジンは、燃費のためにどんどん気筒数が減少する一方じゃないですか。となると、6気筒のクルマなんて、この先出てこないから“乗るなら今しかない”と思ったんです。
実際乗ってみると、その…バカみたいなことを言っちゃうんですけど……、音もフィーリングもやっぱり最高でね!
NAなのでめちゃくちゃに速いというわけではないんですけど、フィーリングが良くて「エンジンをかけた瞬間から、あぁ…自分は今、なんて贅沢なクルマに乗ってるんだ」と実感できる心の豊かさがありました。
この年代までのクルマって、とてもピュアだと感じるんです。「クルマ=速い、カッコいい」という、人々が本来クルマに求めていた情熱を、ただ純粋に突き詰めたという感じがするんです。
この時代以降は、安全のために、ボディは大きく重く、ピラーは太くフードは高く。環境に配慮して燃費も良く、排出ガスもクリーンにしてと、クルマのネガティブな側面を徹底的に潰す方向で進んでいると思うんですよね。
さらには、安全かつ快適に移動する空間として、運転支援と自動化が目覚ましく進化しているとなると……昔のような個性的なクルマを世に送り出すのはもう難しいんですよ。
そんな中、とにかく、フードは低い方がカッコいい!キャビンはガラス張りにしたい!っといったデザイナーのスケッチを何とかして量産してやろう!という心意気の感じられるクルマにグッときたんですよね。
作り手が妥協無く、ただひたすらに作りたいクルマを生み出せて、それが市場でも受け入れられていた全盛期のクルマに乗ってみたかったんです。
乗って6年になりますが、やっぱりハンドルを握って良かったと思いますよ。
その理由はすごく単純で、眺めて最高、乗っていて幸せという一言です。
―――今後の展望は?
主に通勤で乗っているので、これからも毎日普段使い出来るようにメンテナンスしていければと思っています。オリジナルの良さを壊さなければ、必要以上に純正部品にこだわらず、気になるところがあれば手を加えていきたいです。
―――これまで手を加えたところは、どういうところなのですか?
自分の中で変な?こだわりあって、ウォッシャーノズルが出っ張ってるのが嫌だったので、そこのスムージングをするためにDIYでノズル移設してみたり、日常使いがメインなのでナビを取り付けたり、キーレスやミラー自動格納にしたりなどですかね。
スペアタイヤ置き場は修理キット化してトランク容積拡大してます。ちなみに、ナビは純正のデザインと使い勝手を両立できるように結構こだわってインストールしました。
あとは、購入時から付いていたレカロがグレーでベージュの内装と合ってなかったうえに、ボロボロになってしまっていたので、ベージュスウェード生地にDIYで張り替えたくらいですかね。
流石に板金はプロに任せますが、フルオリジナルであることにはこだわらずに、自分でできる部分は極力手を掛けながらやっていきたいと思います!
週末は、旧車ミーティングやキャンプに行くのがお約束になっていると話してくれたkenkoさん。これからも燃費や経済的合理性ではなく心から好きだと思えるクルマに乗っていきたいということでした。
また、自分の好きなクルマに乗ることで、人生が豊かに楽しくなっているということです。
取材をしたのは日曜日。ということは、明日はアルシオーネSVXで通勤されるのでしょう。
【Twitter】
kenkoさん
(文:矢田部明子)
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