かわいい顔にひと目惚れ! 最後の愛車 アバルト 500eは「分身」みたいな存在
今回の主人公「Ya〜」さんは、18歳で運転免許を取得してから還暦を過ぎるまで、さまざまなクルマと暮らしてきました。そして、昨年劇的に出会った愛車が「アバルト 500e・ローンチエディション・スコーピオニッシマ」です。
500eはアバルト初のEVで、日本では2023年に発売。合わせてリリースされた特別仕様車「スコーピオニッシマ」は、国内200台限定で販売されています。
そんな500eと暮らすオーナーYa〜さんの“愛車ライフ”を紹介します。
――まずはカーライフのあゆみからお聞きします。何歳の頃からクルマがお好きなんですか?
「中学1年生の頃からです。周りの友達はバイクに夢中のなか、なぜか僕はクルマ一筋でした。書店でモーターマガジン社の「世界の自動車特集 1970年」という本を見つけて夢中になりました。「フォード・マスタングBOSS」や「ダッジ・チャレンジャーR/T」を見たときのトキメキは、忘れられません。あの本はぜひ、もう一度読みたい!
これをきっかけに、さまざまな自動車誌を読み始めてクルマが好きになっていったんです。
――まさに「原体験」ですね!そんなYa〜さんが初めて手に入れた愛車を教えてください
「日産・サニーエクセレント1400GX」です。ゴールドとブラックで、JPS(ジョン・プレイヤー・スペシャル)カラーにオールペンしていました。他にも、ソレックス製キャブレターをショップの方に手伝ってもらって交換したり、マグネシウムホイールも履かせたりしました。特にホイールは、当時とても気に入ってたんですよ。
初めての愛車だったので、カスタムが楽しくてしかたがなく、当時はアルバイトの給料が入るたびに、カー用品店でパーツを物色していたのも楽しい思い出です。クルマに手を加えるたびに、どんどん自分のものになっていくという感覚がありました。
――当時のワクワク感が伝わってきます!その後も多彩な車種を乗り継いでいらっしゃいますよね?
「トヨタ・ハイエース」を“ホットロッド仕様”にしたり「日産・ステージア」も足回りはもちろん、色々と手を入れました。いっぽうで「いすゞ・ジェミニ」や「フォルクスワーゲン・ヴェント」のように、クルマの雰囲気やそのときの気分で、純正のまま乗っていたクルマもあります。
振り返ると「身の丈に合った最高を手に入れる」という気持ちで愛車に接していたからかもしれません。
――ダイハツ・タントやトヨタ・iQなどのハッチバックモデルも乗られていますが、好みのボディタイプってあるんですか?
小回りの利くハッチバックのクルマが好きですね。アバルト595も好きなクルマのひとつです。
――そこから500eにつながると?
いえいえ、500eは完全に「顔」で選びました。
最初はネットで見かけたときに「何だこのクルマは!」と思いまして。「眠たそうな目つきだけど、眉毛がキリッと決まってる」って、たまらないかわいさじゃないですか(笑)。EVかガソリン車かなんて関係なく、この顔にひと目惚れでした。
――とろんとした顔に、思わず笑顔になってしまいますね!納車日が待ち遠しかったのでは?
納車日は、2023年12月25日でした。自分へのクリスマスプレゼントですね。1週間早く納車も可能だったんですけど、12月23日に万全で臨みたい仕事が控えていて「浮かれた気分で失敗したくない!」と思い、納車をあえて遅らせたんです。それだけに、大きな仕事を終えた後の“ご褒美感”がすごかったです。
――本当に最高の納車日じゃないですか!実際に運転してみていかがでしたか?
驚いたのが、回生ブレーキの効きが想像以上に強かったことです。ガツンと効く感じだったのですが、すぐに慣れました。むしろ運転が楽だと感じています。エンジンブレーキのようにコントロールでき、自分のイメージ通りに走らせることができるので安心感もあります。
――500eのサウンドジェネレーターの音も気になります
レコードモンツァ(アバルトの純正スポーツマフラー)を感じるサウンド、これが想像以上に迫力があって気持ちいいんですよ!
走行サウンドは、アクセル開度に連動して音も変化するんですけど、これがリアル!乾いたサウンドがかなりレーシーです。サウンドはOFFにできるので、僕は街中では音を消して、人気のない道でサウンドをONにして楽しんでいます。
――やはり「音」って大事ですよね!運転中は音楽よりも走行サウンドを楽しむ派だったり?
職業が音楽関係ということもあってか、基本的に運転中は音楽を聴きません。運転が好きなので集中したいですからね。トーク中心のラジオ番組はたまに聴くことがあります。
――運転へのこだわりはありますか?
ハンドルを握っている動作、つまり僕は「運転」という行為そのものが好きなクルマ好きなんだと思います。
去年、肺炎で入院していたんですよ。普通なら退院したら「おいしいものが食べたい」「あそこへ行きたい」と考える人が多いでしょうが、僕の場合は「1日も早く“運転”という行為がしたい」だったんです。
きっと、一歩下がって愛車を眺めるのではなく、クルマと一体化することが好きなんだろうなと思います。元気に運転できることに、幸せを感じてます。
――500eと走るとき、どんなことを心がけていますか?
もちろん、交通ルールを守ることです。ボディカラーもあまり見かけない色なので目立ちます。ですから、妙な運転をすれば当然悪目立ちします。そのため、今まで以上に安全運転を心がけるようになりました。
それから、初めてのEV車なのでバッテリーを壊してしまったら即アウト!底を擦りそうな段差や、冠水した道路には特に注意しています。
冠水した道路の映像をニュースや動画サイトで見ていると、急いでいるのかほとんどのクルマが水の中に突っ込んでしまうんですよね。あれは危険です。実際に数ヶ月前、道路の冠水に遭遇しましたけど、もちろん引き返しましたよ。
――EVといえば航続距離についてはいかがですか?
街乗りがメインなので、航続距離が短いとは感じていません。ただ、納車直後はスマホのバッテリーが減り始めると気にしてしまう感覚、あれに近い感じがして、バッテリー残量が気になっていました(笑)今は慣れましたけど。
急速充電は、練習と遠出したときに2回ほどしたかな?通常の充電で事足りているので、この先もあまり必要ないと思いますね。
――スマホのバッテリー残量(笑)わかる気がします。そんな500eとのカーライフもそろそろ1年ですが、印象的な出来事はありましたか?
愛車に直接関係したことではないんですが、500eを購入したお店のキャンペーンで、ゴージャスな宿泊旅行が当たったこと!でも、そのときは歯の治療中で、せっかくの豪華な料理が食べられなかったんです……。うれしさと悔しさが大きくて、印象的な出来事でした(笑)
――う~ん、それは残念でしたね……。続いて、こだわりのカスタムについて教えてください
足回りに手を加えました。どうしてもホイールだけは変えたくて、ワンオフでホイールを作りました。なにしろ純正がPCD98の4穴という特殊な規格のため、合うホイールが見つからなかったんです。
装着したのは「クリムソンRS」 のローディスク、 2ピース18インチです。1本をテスト製作して、ブレーキキャリパーやショックとの干渉を確認してから、残り3本を注文しました。合計で5ヶ月かかりましたが、待った甲斐がありました。
――足元が引き締まってイイ感じですね。タイヤもミシュランのものに変えられていますね?
純正タイヤはブリヂストンの「ポテンザスポーツ」という素晴らしいタイヤが装着されていました。しかし、ミシュランの「パイロットスポーツ」に交換しました。理由は「MICHELIN」のロゴデザインが好きだからです。「そこかい!」って感じでしょう?ロゴステッカーは手貼りしています。6枚失敗しましたけど(笑)
ただ、カスタムし過ぎると全体バランスが崩れることもあるので気をつけています。その加減もカスタムの楽しみのひとつだと思っています。
――たしかに!ではあらためて、Ya〜さんにとって 500eはどんな存在なのでしょう
ずばり、自分の分身ですね。
これは、500eを含めた歴代愛車がそうで、その時々の自分の写し鏡のような存在でもあるかもしれません。
例えば愛車が汚れていると、自分の心が乱れているような気がしませんか?自分の状態に気づかせてくれているんじゃないかなと思いますね。
――愛車を迎えて1年が経ちますが、今後どう接していきたいですか?
きっとこのクルマが、人生最後の愛車だと思うんです。「最後まで無事に、元気に付き合ってくれ」という気持ちで日々接しています。
…と言いたいところですが、トポリーノ(フィアットの新型マイクロEV)も気になっているんですけどね!(笑)
終始笑いの絶えない楽しい取材となりました。朗らかでユーモアを感じさせるYa〜さんのお人柄は、普段から周囲の人々を自然と惹きつけているのでしょう。そして愛嬌たっぷりの500eは、まさにYa〜さんの「分身」のよう。
これからYa〜さんと500eの間にどんな物語が生まれていくのか、楽しみですね!
(文: 野鶴美和)
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