ずっと憧れだった日産・スカイライン(R32)は、今では家族の一員
今回お話を伺ったのは、3年前、初めてのマイカーに1993年式のR32スカイラインGTS-t TypeMを選び、現在も存分にカーライフを楽しんでいるという、ゆうさん29歳。
それまでは家族と共用のクルマに何台か乗ってきたと言い、ずっと憧れていたR32スカイラインを愛車にすることは半ば諦めていたのだとか。
「本当にR32スカイラインを選んで良かった」
今ではそう語る彼ですが、諦めていた気持ちが一転したのは一体何故だったのでしょう。
今回は、R32スカイライン(以下、R32)×ゆうさんのお話です。
――R32を購入したいと思うようになったきっかけは何だったんでしょうか?
親の影響もあり、幼少期からクルマが大好きで、もう物心ついた頃には、R32が特に大好きでしたね。小さい頃から「大人になったらいつか乗りたい」ってずっと思っていたんですけど、スカイラインGT-Rの価格高騰が既に始まっていて、半ば諦めていたんです。
中学からの友人で旧車に乗っている人がいるんですが、ある時、彼のクルマに乗せてもらえる機会があったんです。そこからですかね、諦めていた気持ちが再び燃え始めたのは。
――つまり、楽しまれているご友人の姿を見て感化されたというわけですね?
そうなんです。「好きな旧車に乗る生活って、めちゃくちゃ楽しそうだな」って強く思ったんですよ。その友人は日産・グロリア(Y31系)に乗っているんですが、クルマと同じ年代の音楽を流しながら走るその姿が、自分がなりたかった姿で、本当に羨ましかったんです。
それからは自分も、GT-Rは無理でもTypeMなら現実的かなって思うようになり、探し始めたわけです。
まあ、昔からめちゃくちゃ好きだったので“諦め切れなかった”の方が正しいのかもですが(笑)。
――幼少期から好きだったと仰いましたが、R32のどこに特にグッとくるんでしょうか?
やっぱり、この見た目です。全体的なデザインが自分が好む絶妙なバランスなんですよね。
しかも、昔からレーシングカーのカルソニック スカイラインが好きで、憧れだったのも大きいです。レースではずっと勝ち続けていて、本当にカッコ良かったんですよ。昔よくやっていたグランツーリスモにも収録されていて、ゲーム内でよく使用していました。
昔のクルマではあるんですが、今見ても全然旧さを感じさせないデザインが大好きで、特にリアの丸いテールとリアフェンダーの造形がずっと自分の中でお気に入りなんです。
――じゃあ納車される日は、めちゃくちゃ楽しみだったんじゃないですか!?
それはもう、本当にその通りです(笑)!。納車日はお店のある福島県のいわき市まで行く予定だったんですが、前日の夜は興奮で全然寝られなかったですね。本当に楽しみ過ぎて、ワクワクが抑えられなかったです(笑)。
当日、お店に自分のクルマが停まっているのが遠くから見えた時は、すごく感動したのを今でも鮮明に覚えています。
――R32に初めて乗った時のことは覚えていますか?
もちろん覚えています。「これが自分のクルマなんだ!!」っていう感情が大半で、とにかく歓喜する気持ちが大きかったですね。幼少期から憧れていたGT-RとTypeMって、内装の、特にステアリングのデザインが似ているんですけど、夢だったGT-Rに近い内装を見て本当に感動したのを覚えています。
あとは、ずっとMT車に乗ってみたかったというのもあり、MT車に乗ることができる感動もありましたね。
――初めて乗った時のフィーリングはどうでしたか?
R32を買うまでは、家族共用で3台ほど乗り継いでいて、3台中2台が軽自動車だったのもあり、久しぶりの普通車の運転でした。
マニュアルということで心配していたんですがそんなに問題なかったですし、5ナンバー車で取り回しが良くて小回りも効くので、軽自動車と大差ない感覚で乗れたのがすごく自分的に乗りやすかったです。
いわき市から新潟県までの道中はけっこう距離があるんですが、テンションは常にMAXで本当に楽しかったですよ。友人がやっていた、当時の音楽を流しながら運転するのは今でもよくやっているんですが、本当に幸せな瞬間のひとつです。
――R32とのカーライフで幸せを感じる瞬間は他にもありますか?
乗っている時はずっと幸せですが、実は写真を撮るのが好きで、景色が良さそうな場所に頻繁に行くんですよ。目的地に着いて、R32を停めて、遠くから眺めている時「あぁ、やっぱりカッコ良いな」って思えるんですが、その瞬間も幸せを感じますね。
――R32オーナーになってから変化した習慣とかってありますか?
今まではドライブが好きとかは無かったんですが、R32に乗るようになってからは用事がなくても「ちょっと乗るか」という気軽な感じで、目的もなく乗る機会が増えましたね。電車通勤なので、普段は休みの時しか乗れないんですが、できるだけ乗っています。
――今までで1番印象的なR32との思い出を教えてください
去年の3月に愛知県で開催されたR32 SUPER MEETINGっていうイベントに行ったのが1番の思い出です。初めてR32で遠出したっていうのもあったし、イベント自体も自分が好きなR32しか集まってないんですよ。
自分はこのクルマが本当に好きなので、めちゃくちゃ楽しめました。他のR32を見ることで新しい刺激がもらえるんですよね。自分はノーマル仕様が好きなので、クルマもノーマルに近い個体を見つけ出したんですが、こういうカスタムも良いなっていう新鮮なイメージというか、視野が広がる感じがまた楽しいんです。
――今後はR32とどのようなカーライフを送っていきたいですか?
基本的には現状維持をしていきたいですね。今のノーマル仕様が好きなので、今以上に純正の形に近づけながらも、長く乗り続けていきたいなっていうのが1番の希望です。
――現在、ゆうさんにとってスカイラインはどんな存在になっているんでしょう?
“いるのが当たり前”になっているので、もう欠かせない存在になっているんでしょうね。もはや家族の一員のような感覚に近いです。
仕事の休憩時間とかもSNSで他のオーナーさんのR32を見たりするんですが、そのくらい常にR32のことは考えてしまっています。
最近すごく思うんですけど、20歳前後の人がR32に乗っている姿を見ると、気持ちがポジティブになるというか。自分は30歳近くになってオーナーになったのですが、今の若い人たちでも魅力的と思って乗っているんだなって、なんか感慨深いっていうか。
若い方達がそういう旧いクルマをイジったりしているのを見て、すごいなって思わず感心するんですよね。同じR32乗りとして、応援したい気持ちになります。
「現状のカーライフには満足していますか?」という質問を最後にしてみると「本当に買ってよかった。」と力強く答えてくれたゆうさん。今年結婚したという彼は、9月に子供も産まれたんですよと嬉しそうに話してくれました。
「子供が大きくなったら、R32に乗って家族3人で出かけるのが今の夢です」
そう話す彼の言葉を聞き、きっとお子さんに、クルマを持つことの楽しさを全力で伝えていくのだろうと確信しました。
というよりも、たとえ言葉が無くとも、R32とのカーライフを楽しむ父の背中が、全てを物語ってくれるのかもしれません。
(文:秦 悠陽)
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