「この1台を選んで本当に良かった」出会いも景色も変えてくれたGR86とオーナーの物語
「このクルマに乗っていなかったら、今の交友関係や休日の過ごし方はまったく違ったものになっていたと思います」
そう話すのは、“ふく”さん(24歳)。
18歳で免許を取り、通学のために軽自動車のダイハツ・ミライースに乗っていたふくさんは、乗り換えをきっかけにスポーツカーの世界へ。現在の愛車は、赤と黒でコーディネートしたトヨタ・GR86です。
兄の影響でスポーツカーに興味を持ち、ボディカラーや内装だけでなく、ルーフやウイングまで赤×黒で統一。同じクルマ好きとのつながりも広がっていきました。
今回は、そんなふくさんとGR86のお話です。
——スポーツカーに興味を持ったのは、どんなきっかけだったんですか?
いちばん大きかったのは、兄の影響ですね。兄はずっとスポーツカーが好きで、いろんなクルマに乗ってきたんですよ。
最初はダイハツ コンテに乗っていて、そのあとマツダ RX-8、ポルシェ 911、ロータス・エヴォーラと乗り継いで、今はエヴォーラとスズキ・キャラの2台を所有しています。キャラはオートザム AZ-1の兄弟車として知られている軽スポーツで、けっこうマニアックなクルマです。そういうクルマが身近にあったので、子どもの頃からスポーツカー自体には興味がありました。
ただ、18歳で免許を取ったときは「通学に必要だから」という目的が先にあって、クルマへの熱はそこまで高くなかったですね。乗っていたミライースの車検が近づいて「次はどうしよう」と考えたタイミングで「どうせなら、自分の好きな1台を選びたい」と思うようになりました。
——次の1台を考えたとき、最初に気になったのはどんなクルマだったのでしょう?
最初に候補に挙がったのは、トヨタのセリカ(ZZT231型)でした。昔から見た目が好きで「いつか乗れたらいいな」と思っていたクルマです。
ただ、年式が古くて故障の心配もあり、親からも「不安だね」と言われて……。そのうえ当時は中古車全体の相場も高かったので、ほかの車も見てみようと思うようになりました。
——セリカ以外では、どんなクルマを候補にされていたのですか?
そのあと候補に残ったのは、GR86、NDロードスター(マツダ)、スイフトスポーツ(スズキ)の3台です。どれも評判がよくて、それぞれに魅力がありました。
スイフトスポーツも好きだったんですが、自分の「乗りたいイメージ」とは少し違うかな〜となり、最終的には、GR86とNDロードスターの2台でずっと迷っていましたね。
——その2台の中で、最終的にGR86に決めた理由は何だったのでしょう。
一番の決め手は、赤と黒の内装ですね。選んだグレードでは、シートや内張りに赤いステッチや差し色が入っていて、ドアの内張りにも赤のパーツが使われています。フロアマットも純正で赤なんですよ。
試乗のときに内装を見て、「これはやられたな」と思いました。もともと赤と黒の組み合わせが大好きなので「この配色のクルマに乗れたら最高だな」と思ったんです。
価格面ではNDロードスターと比べて少し高くて「どうしようかな」と迷った時期もありましたが、相談を重ねるなかで自分の予算感に合う条件を見つけることができて「やっぱりGR86に乗りたい」という気持ちが固まりました。
購入したのは2023年3月26日で、そこから約2年、この1台にずっと乗っています。
——内装で「これだ!」と感じたあと、外装やカスタム面ではどんなところにこだわりましたか?
赤×黒の組み合わせが好きなことから、外装もそのイメージに寄せていきたいなと思っていました。
まずルーフを黒にして、さらにボンネット中央のダクト部分も黒くして、リアウイングの羽の部分も黒にしているんです。正面から少し上の角度で見ると、黒のラインがつながって見えるようになっていて、自分の中ではそこがとても気に入っているポイントですね。狙っていたわけじゃないんですが、仕上がってみたら「思った以上にいい感じだな」となりました。
そのカスタムをSNSに投稿したとき、メーカーさんにリポストしてもらえたことがあって、それもうれしかったですね。
——赤と黒の組み合わせが、本当にお好きなんですね。
はい、気づけば、普段使っているものも自然と赤黒でそろっていますね。今着ているトップスも、彼女がプレゼントしてくれたGRブランドの服なんですけど、これも赤黒ですし、先日はGRショップで赤黒のトートバッグを買ってしまいました(笑)。
「好きな色だから」というのもありますし、単純に“GRらしさ”が感じられるところも気に入っています。そういう意味でも、GR86の内装は自分の好みにとても合っていましたね。
——「走っている姿」もとても絵になりそうですね。実際にドライブに行く中で、印象に残っている出来事はありますか?
最近だと、もみじロードに行ったときのことが印象に残っていますね。ちょうど紅葉時期だったので写真を撮りに行ったんです。クルマを停めていたら、近くにいたバイクの方に声をかけてもらって「今まで見たGR86の中で一番好みです」と言っていただけて、そういう言葉をもらえるのは、やっぱり嬉しいです。
それに、走っている姿や停まっている状態を見て声をかけてもらえることが増えて「クルマを通じて人とつながる瞬間」が確実に増えましたね。信号待ちで軽く会話をした方と偶然再会して「あのときの方ですよね?」と、SNSで友達になったり……。本当に、「世間って狭いんだな」と感じることが多いですし、GR86がきっかけで広がる出会いがどんどん増えているのを実感しています。
——普段の通勤や日常の移動でもGR86を使われているんですよね。生活の中で乗っていると、日常的に周りから声をかけられることも多いのでは?
はい。GR86は通勤にも使っているので、職場の人たちには完全にバレています(笑)。赤いボディで目立つので「どこどこ走ってたでしょ?」ってすぐ言われるんですよ。
でも、その分「見てくれている人がいる」という感覚がありますし、クルマがきっかけで会話が生まれるのはうれしいところでもあります。
自分でもよく「走る個人情報だな」って言っているんですが(笑)、日常で乗っているからこそ、そういうやり取りが増えましたね。
——走りの面では、どんなところが気に入っていますか?
やっぱり“走って気持ちいい”というのが大きいです。もともと足まわりがしっかりしたクルマが好きなので、この固めの乗り味もすごく合っていますね。
一度、代車でハスラー(スズキ)に乗ったときにロールの大きさに「こんなに違うんだ」と驚いたことがあって、普段どれだけGR86の感覚に慣れているかを実感しました。
足まわりは「GROW Design×HALsprings」のダウンサスを入れていて、純正の乗りやすさを残しつつもしっかり走れるところが気に入っています。母が乗ったときも「シートが柔らかいから全然気にならないよ」と言ってくれましたし、彼女は助手席でそのまま寝ちゃうくらいです(笑)。
——GR86で、これから行ってみたい場所はありますか?
大黒PAや辰巳PAにはまだ行けていないので、一度行ってみたいですね。86/BRZのオーナーさんが集まる場所ですし、SNSで見る写真もすごく雰囲気が良くて、「自分の86をあの場所に停めてみたいな」とずっと思っています。
近所にもGR86やBRZのオーナーさんがいて「今度神奈川のほうに走りに行くけど、一緒にどう?」と誘ってもらえることもあります。予定が合えば、ほぼ二つ返事で行くくらい、このクルマを通したつながりを楽しんでいますね。
——あらためて、ふくさんにとってGR86はどんな存在ですか?
一言で言うと、「自分の世界を広げてくれたクルマ」ですね。通勤にも使える実用的な1台なんですけど、カスタムの幅が広くて、自分の“好き”をそのまま形にできるところがとても気に入っています。
そして何より、このクルマがなければ出会っていない人が本当に多いんです。声をかけてもらったり、偶然再会してSNSでつながったり、近所の86/BRZオーナーさんに誘ってもらったり……。「クルマを通じてこんなに広がるんだ」と実感することばかりです。
もし違う車を選んでいたら、それはそれで楽しかったと思います。でも、今の自分の環境やつながりは、きっとこのGR86があったからこそ生まれたものです。そう考えると、「この1台を選んで本当に良かったな」と心から思っています。
そう話しながら、これから訪れたい場所のことや、86/BRZ仲間との予定を楽しそうに語ってくれたふくさん。GR86は、通勤にも使える身近な1台でありつつ、カスタムや出会いを通じて世界を広げてくれる存在だと感じているそうです。「このクルマを選んで本当に良かった」と語る姿が印象的でした。これからも、ふくさんらしいスタイルでGR86との時間を思う存分楽しんでいかれることでしょう。
【X】
ふくさん
(文:小松暁子 編集:平木昌宏 写真:ふくさん提供)
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