バンセンストリートサーキットでのレースに参戦していた日本人関係者の声

2017年2月21~26日にバンセンストリートサーキットで開催されたバンセングランプリではTOYOTA GAZOO Racingドライバーをはじめ、実に多くの日本人ドライバーやパーツサプライヤー関係者と現地でお会いすることができました。
そんな彼らに、タイのレースの魅力、バンセンストリートサーキットの特徴、そして市街地レースの面白さ、タイのカーカルチャーについてなどなど、突撃インタビューを敢行しました!

「最初はニュルよりバンセンのほうが怖かったかもしれません」
TOYOTA GAZOO Racingドライバー:蒲生尚弥選手

蒲生尚弥(TOYOTA GAZOO Racingドライバー/Thailand RAAT 6時間耐久レース クラス優勝)

今回はバンセングランプリの6時間耐久レースに出ました。 バンセンでのレースは今回で4回目になります。このコースは、コース幅はたしかに狭いところもありますが、ストレートも意外と長いのでうまくタイミングを合わせれば抜けるコースです。攻めがいがあって楽しいですよ。
でも、初めて走ったときは正直怖かったですね。これは無理だと思いました。ニュルブルクリンクよりもこっちの方が怖かったです。
レースは、スーパー耐久のクラス4とクラス5が混走しているイメージですね。
お祭りのような盛り上がりを感じます。出場台数も多いですし、お客さんも多く、年々参加台数も増えています。面白いレースです。
なにしろ市街地での耐久レースというのが珍しいですよね。そういうこともあって、走っていてなにしろ楽しいですし、ここでレースを経験した人が他のドライバーを誘って、どんどん参加者が増えているんだと思います。日本でもこんなレースがあるといいですね。

「ハイエースのカスタマイズが印象的でしたね」
TOYOTA GAZOO Racingドライバー:松井孝允選手

松井孝允選手(TOYOTA GAZOO Racingドライバー/Thailand RAAT 6時間耐久レース クラス優勝)

今回が初めてのバンセンでのレースでした。コースは、低速コーナーからハイスピードコーナーまでいろいろあって、ドライバーとしては乗っていて楽しいレースですね。
かなり狭いコーナーもあって、競りあうような場面ではけっこうリスクを感じますね。ギリギリでいく感じはかなり楽しいですよ。
タイの一般公道もとても楽しいですね。ハイエースがたくさん走っていて、それぞれがドレスアップをしていますよね。そういったアフターマーケットが、ハイエースに限らずいろんな種類のクルマで賑わっていると感じました。日本よりも盛んな気がしますね。コンパクトカーだろうが高級車だろうが、どのクルマでもいじっていて、楽しそうですね。そんなタイのクルマ文化にも接することができて、大変良い経験になりました。

「タイのレースの格式が上がり、こんなふざけた格好は今回が最後かも!?」
ドライバー:千葉健太郎選手

千葉健太郎(ARTO大阪レーシングチーム/2016年ALTISワンメイクレース シリーズ4位)

この衣装は「お前は面白いから表彰台に乗ったらこれを着なさい」とTRDタイランドのスティポンさんからもらったものです。目立ちすぎましたね(笑) タイのレースには4年前から参戦しています。日本人としては私が最初に出場したドライバーだったんです。自由にのびのびと楽しくやらせていただいていますよ。 ALTISのワンメイクと耐久レースに出させていただいています。タイのレースはとにかく熱いです。日本とはまた違った熱さですね。ちょっとくらい当たっても大丈夫。日本のレースが一番熱かった時期と似ているんじゃないかと思います。ぜひ、もっと日本のドライバーにタイでレースしてほしいですね。 ARTO大阪というのは、日本とタイとの懸け橋をさせていただいているレーシングチームです。今年からスーパーGTにフル参戦するチームタイランドのお手伝いもさせていただくことになっています。
タイのレースはこの4年で本当にレベルが上がっていると実感しています。テクニックがタイの人も高くなっていますし、オーガナイズも年々よくなっています。バンセンのコースはFIAのグレード3に認定されましたし、レースの格式も上がっていきます。でも、格式が上がるということは、こんなふざけた格好をできるのももしかしたら今回が最後かもしれないということで、最後にやっておこうかなっていうことでもあったんですよ(笑)。

「タイではFITのマフラーが良く売れています」
藤壺技研工業株式会社:藤壺政宏さん

タイの市場はFUJITSUBOにとってとても重要だと考えています。FGKという関連会社がありまして、ここが13年ほどタイ市場において、現地のATPモータースポーツという代理店とともに事業をしています。このATPモータースポーツが6台ほどでバンセンのレースを戦っていて、今回はその1台をフジツボカラーで走らせようということになり、今回私もタイに来ました。出るからには勝とう!という意気込みで頑張った結果、結果総合3位、クラス2位と好結果が出てよかったです。
今回のレースカーであるFITをはじめ、タイではコンパクトカーのマフラーがよく売れていますよ。来てみると、ピックアップトラックの需要も高そうなので、今後のラインアップ化を検討したいと感じました。

「タレントみたいに扱ってもらえるので気分がいいです(笑)」
ドライバー:小林真奈美選手

小林真奈美選手(ARTO大阪レーシングチーム/TOYOTA VIOS レディースワンメイクレース 2016年シリーズチャンピオン)

タイのレースには2014年の途中からこれまでで3シーズン目ということになります。
市街地のレースは、グラベルもないので突っ込み過ぎてはいけないし、路面は滑りやすいし、セッティングを合わせてもすぐ路面のコンディションは変わるし、予選のセッティングはどうするべきかなど、ものすごく悩みどころが多いですが、逆にそこが面白いところですね。
私は日本ではたまにスポットで出る程度でのレースはやっていたのですが、こうしてタイでレースをするようになったのは、タイでレースをやっていた方に誘われて見に来たのがきっかけです。そのときももの凄く盛り上がっていて、こんなところで走ったら気持ちいいだろうなと思いましたね。実際に出ると、ドライバーをタレントみたいに扱ってもらえるので気分がとてもいいですよ(笑)

「とても刺激的なコースです」ドライバー:いとうりな選手

いとうりな選手(ARTO大阪レーシングチーム/写真左/Thailand RAAT 6時間耐久レース D1レディースクラス優勝)

初めてのバンセンでのレースでしたが、とても刺激的なコースです。ラリーに近い走り方のコースですね。怖くはなかったのですが、ちょっと癖で突っ込みすぎちゃったかな(笑)。
見に来てくれている現地のお客さんが多くて、気軽に来られるというのが日本とは違っていいですよね。フレンドリーな雰囲気も好きです。2017年シーズンはシーズンを通してタイのワンメイクレースに出る予定です。次のバンセンでもうまく走れるように、そして上位を目指して頑張りたいです。

「ドリフトをやっていたせいか、ストリートには違和感がないんです(笑)」
ドライバー:味元美智恵選手

味元美智恵選手(ARTO大阪レーシングチーム/TOYOTA VIOS レディースワンメイクレース 2016年シリーズ6位/Thailand RAAT 6時間耐久レース D1レディースクラス優勝)

去年からタイのワンメイクレースに出るようになりました。今年はタイのレース1本でやっています。元々ドリフトをやっていました。S14シルビアでD1グランプリに出ていたのですが、いったん切り替えてこっちのレースで頑張っています。市街地でいきなりのレースだったんですけど、面白いとしかいいようがないですね。(ドリフトをやっていたせいか)ストリートコースに違和感がないんです(笑)。
タイの自動車文化はいい雰囲気ですね。日本車が多くて、こっちの移動でハイエースをよく使うんですけど、内装がゴージャスなんです! 日本じゃあまり見かけないな~という内装。クルマに乗るならなんかカスタマイズしようという人が多いように感じますね。日本だと、乗れればいいという人が多くなってしまっていますよね。そういうこともあって、タイの市街地でレースやっても、幅広いいろんなお客さんが見に来てくれるんじゃないかと思いました。

「パーツをきちっと装着してセッティングできているチームは強いですね」
株式会社キャロッセ代表取締役:長瀬 努さん

タイのユーザーにはクスコのパーツをたくさん買っていただいています。政変とか国王陛下がお亡くなりになったりして、若干景気が良くないかなという印象もありますが、市場は熱いと思っています。レースに関しては、富裕層の方が超ハイエンドなパーツをマシンに投入している様子が目立ちますね。ただ、装着するとかセッティングするということに関して、もうちょっときちっとやればいいのにな、もったいないなと思うシーンをよく見かけますね。そういった意味では、黒木レーシングさんが今回のレースでもたくさんFITを走らせて良い結果を残しています。そうしたきちっとした作業をしてレースに臨み、結果が出せているチームは強いですね。ますます現地のユーザーの信頼を得ているのではないかと思います。

(ライター:渡辺文緒)


[ガズ―編集部]