【大学自動車部】先輩から受け継いだヴィヴィオだけでなく、情熱も受け継ぎたい -防衛大学校-

全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日頃の活動風景や自慢の部員をレポート。今回はヴィヴィオとスターレットを部車として活用し続ける防衛大学校を訪問。

防衛大学校自動車同好会プロフィール

●部員数
21名 ※部員数は2015年11月取材時
部員紹介ページ
●部車
トヨタ・スターレットEP82、スバル・ヴィヴィオE-KK3 ほか
●活動内容
不定期ながら、土日を利用して部車の整備を行いながら、レーシングカートで運転スキルに磨きを掛けている。軽自動車6時間耐久レースや全関東学生ダートトライアル選手権大会、TRDラリーチャレンジに参戦。
●活動実績
平成26年度 関東学生対抗軽自動車6時間耐久レース5位入賞
平成27年度 全関東学生ダートトライアル選手権大会参戦
平成27年度 TRDラリーチャレンジ参戦

現在は様々なレースに参戦し結果ではなく実績を積み上げる時

1853年マシュー・ペリー代将の黒船が来航した神奈川県横須賀市浦賀に近い山の上に防衛大学校のキャンパスは広がる。

防衛大学校には、約64万冊を所有している総合情報図書館がある。防衛・軍事関連の図書や雑誌が充実している

自動車同好会の部室は広大なキャンパスの奥にあり、取材日は防衛大学校の開校記念祭が行われていて、一般客もキャンパス内に入り盛り上がっている中、主将の井之上優さんが部員を集めてくれました。

元は、消防隊の詰め所だったところを部室として使用。いろんなパーツや道具をここで管理している
防衛大学校の制服に身を包み、インタビューに対応してくれた主将の井之上優さん。「運転するようになってクルマにのめりこんだ」というクルマ好き

軽自動車6時間耐久レースに参戦するヴィヴィオは陸上自衛隊の輸送車両に使用しているオリーブドラブカラー。ダートトライアルに参戦するスターレットは井之上さんの進路が航空自衛隊ということもあり、戦闘機のF15の色に塗装しているとのこと。

部車のヴィヴィオとスターレット。いずれもミリタリーカラーで防衛大学校ならではのこだわりがみえる

2台のヴィヴィオで参戦した軽自動車6時間耐久レースに加えて、昨年からダートトライアルやTRDラリーチャレンジに活動の幅を広げた。「競技としてはジムカーナやフィギュアもあります。特にジムカーナはクルマの性能差が出やすいので、クルマの性能さよりドライバーのテクニックが重視されるダートトライアルを選びました」1日も早く成果を出せる競技を井之上さんが見極めたようです。

まるでタイヤショップのように多くのタイヤが積まれた部室。溝がすり減ったタイヤが活動の足跡を物語る
ドライバーのテクニックが重視されるダートトライアルで上位入賞を狙う
各大会で成果をあげるためのチームワークも万全!

競技車両の2台のスターレットは主将自らが購入

ダートトライアルに参戦するF15カラーのスターレットとTRDラリーチャレンジに参戦する黒のスターレットはいずれも井之上さんが購入した。「スターレットって正直知らなかったです。同好会になって目立った活動をしていなかったので、他大学との交流もなくネットを使って色々と調べていくとスターレットに行き着きました」

完成車を選んだのは、自分達にチューニングするスキルがないから。完成済のクルマに触れることで、メンテナンスやさらなるチューニングの方向性を見出している

どうして、スターレットを選んだのかを聞いてみると「やはりまず圧倒的な安さです。2台ともダートトライアル仕様に変更済のクルマを購入したのですが、シビックなどに比べると半額ぐらいですから。上手く見つけると10万円以下で買えます」そしてネット動画でスターレットがシビックやインテグラを抜いて行くシーンを見たのも大きなきっかけになった。

10月に開催されたTRDチャレンジに参戦したEP82スターレット。部のエース車両!

先輩から譲ってもらったヴィヴィオ、井之上さんが購入した2台のスターレット。これまであった迷彩色のヴィヴィオ合計4台の部車が揃ったことで、活動の幅が広がり部昇格への足がかりができた。

同好会から部への昇格が現在の目標

防衛大学校自動車同好会は現在、運動部ではなく同好会というポジションになっている。「約10年前に部員が減ってしまい部から同好会に降格してしまったのです」と厳しい現状を井之上さんは話してくれました。同好会だと平日に活動ができなかったり、部費が十分に確保できないなど、運動部に比べ様々な制限がある。

部車は部員同士が協力し合って整備を行う。より早くより安全に走るために整備は欠かせない

自動車部へ昇格させようという動きは井之上さんが1学年のときに起こった。「その当時の4学年の先輩にクルマ好きの濃い人たちが多くて、その世代からもう一度部へ昇格させようという動きが生まれました。自分はその流れに乗り込んだという形ですね」
その熱い先輩はオリーブドラブカラーのヴィヴィオと運転スキルの向上に役立つレーシングカートを2台寄贈してくれた。

先輩が寄贈してくれたレーシングカート。カートをやることはハンドルやアクセル・ブレーキペダルの操作の勉強になると話す

運動部に昇格するためには15名以上の部員と活動実績が必要。「現在は部員が21名いますし、活動実績を重ねていて、自分が在学中に自動車部への昇格が目標です」と井之上さんは話す。やはり昇格したらそれを継続しなければならない。そのために必要なのは後輩の人材育成に力を注いでいるという。

メンテナンスしている後輩に気軽に声を掛けて、コミュニケーションを取る井之上さん。こうした何気ないことから後輩に自分の思いを伝えているのだ

井之上さんは来年の3月で防大を卒業するが、自動車部への昇格という目標に向けて疾走する彼の姿を見て、後輩はその思いを受け継ぎ盛り上げて行くだろう。

[ガズー編集部]