比較テストで分かった、無料カーナビアプリの実力(前編)

近年、利用者が増えているスマートフォンのカーナビアプリ。無料で利用できるものも多くリリースされているので、気軽に使えるのもその魅力ですし、日々進化して機能もどんどん加わりかつてよりも使いやすくなったことも利用者が増えている理由でしょう。 そこで今回、無料で使える4つのアプリを実際に同時に使ってその違いを検証してみました。テストしたのはiPhone(Apple)の標準地図アプリ「マップ」、人気の高い「Googleマップ」と「Yahoo!カーナビ」、そしてトヨタがリリースしている「TCスマホナビ」です。

  Appleマップ Googleマップ Yahoo!カーナビ TCスマホナビ
利用料 無料 無料 無料 無料(一部機能はT-Connect有償会員のみ利用可)
サイズ OSに含まれる 81.1MB 55.3MB 31.2MB
開始年(最新アップデート年月) 2012年9月~(最新版2017/05/21※OSのアップデート) 2009年10月~(最新版2017/05/17) 2014年7月~(最新版2017/04/25) 2016年12月~(最新版2017/5/15)
ダウンロード数 iPhone標準搭載 非公表 1,000万件以上 20万件以上

ナビ比較検証時のシチュエーション

今年5月の連休中盤となった祝日、神奈川県内でテストをおこないました。川崎市北部から川崎市南端の公園施設「川崎マリエン」まで往路に有料道路、復路は一般道を使って往復約100キロのコースを設定。11時にスタートし昼食や撮影を挟んでゴールしたのは16時、運転した時間は計4時間ほどでした。
1台のクルマに4つのスマホを乗せ、同時に目的地を設定。ドライバーが一切の操作を行わなくても済むように、助手席の人がナビの様子を確認しながら移動しました。

AppleナビのみiPhoneを使用。ほかのナビはandroidで検証した

目的地設定は音声入力と高速/一般道の使い分けがポイント

まず気軽に目的地設定する方法として音声認識が使えるかどうかですが、すべてのナビアプリとも音声入力によるフリーワード検索に対応しています。
いっぽうでその先はナビにより差がありました。「Yahoo!カーナビ」や「TCスマホナビ」では「ガソリンスタンド」や「ファミレス」などジャンル別検索を比較的重視しているのに対し、「Appleマップ」や「Googleマップ」はあくまで補助的なものと作られているのがわかります。
とにかくフリーワードで目的地を絞っていく「Appleマップ」や「Googleマップ」に対し、「Yahoo!カーナビ」や「TCスマホナビ」は名前が分からなくても目的に合わせて目的地を検索できるカーナビとしての機能が強化されていると感じました。
また、「Appleマップ」や「Googleマップ」はインターネット検索と連動して目的地の情報をユーザーが投稿した「口コミ」や「写真」そして「混雑時間」など詳細に確認できるのが特徴的です。

誘導ルートは、まず一般道と高速道路を簡単に切り替えできるかがポイント。「Yahoo!カーナビ」は“オススメ”のほか“高速優先”と“一般道優先”をルート選択画面で切り替えられ、「TCスマホナビ」も“一般と高速”を含む5つのルートを自由に選べ、このあたりの配慮にカーナビのノウハウが活きていると感じました。
いっぽうで「Appleマップ」と「Googleマップ」は事前に有料道路を使うかを設定できますが、目的地設定後は気軽に切り替えられないのが残念(設定を変えて再検索が必要)。「Googleマップ」は「到着時間が一番早い」というルートを教えてくれるほか、いくつもの候補を細かく選択できるのが独特です。
なお、「Appleマップ」や「Googleマップ」は候補ルートを提案する際に有料道路料金を教えてくれませんが、「Yahoo!カーナビ」や「TCスマホナビ」は候補ルート表示画面に有料道路料金を表示します。到着予測時刻と有料道路料金を考慮しながら、一般道路と高速道路を使い分けたい人にとっては、「Yahoo!カーナビ」や「TCスマホナビ」のマッチングがいいでしょう。

「Yahoo!カーナビ」(左)と「TCスマホナビ」(右)はルート検索後に「推奨」のほか「有料道路利用」「一般道優先」を簡単に選べる
  Appleマップ Googleマップ Yahoo!カーナビ TCスマホナビ
目的地検索方法
フリーワード あり あり あり あり
ジャンル あり あり あり あり
住所 あり あり あり あり
電話番号 あり あり あり あり
登録地点 あり あり
(自宅/職場のみ)
あり あり
地図上で選択 あり あり あり あり
履歴 あり あり あり あり
目的地の施設情報
住所 あり あり あり あり
電話番号 あり あり あり あり
インターネット上の関連情報 あり あり あり なし
ルート検索
検索数 3件 3件 3件 5件
高速/一般道の選択 あり
(事前設定でのみ)
あり
(事前設定でのみ)
あり
(目的地設定後もOK)
あり
(目的地設定後もOK)

ルート設定に渋滞情報を含んでいるか? ルート選びは適切か?

スムーズに目的地まで到着するためには、ナビアプリがルート設定時に渋滞情報を把握してルートを引くのかが重要です。それをおこなっているのは「Googleマップ」「Yahoo!カーナビ」、そして「TCスマホナビ」。「Appleマップ」は渋滞を加味せずにルート設定を行うため、到着予想時刻がもっとも早い。今回は往復とも、渋滞を考慮したうえでもっとも移動時間の短いルートを設定したのは「Googleマップ」、次いで「TCスマホナビ」でした。
ルートは「Googleマップ」が細路地まで使ってとにかく早く到着する道を選ぶのに対し、「Yahoo!カーナビ」や「TCスマホナビ」は幹線道路を中心に誘導するのですべてのドライバーに優しいナビと感じました。「TCスマホナビ」は車両サイズ設定がおこなえ、5段階でクルマのサイズにあわせて道を選んでくれるので狭い道を通るのが苦手な人にもうれしい機能です。
都市部で利用するなど渋滞を加味したルート設定を求めるなら「Appleマップ」以外のアプリが渋滞を反映するので実用的で、さらに自分好みのルート案内にするなら「Yahoo!カーナビ」や「TCスマホナビ」の細かい設定機能が役立つでしょう。

「TCスマホナビ」は「Tプローブ」と呼ぶ実際に道を走っているクルマから集めたデータを使った経過時間情報をルート案内に活用している
  Appleマップ Googleマップ Yahoo!カーナビ TCスマホナビ
渋滞を考慮したルート なし あり あり あり
渋滞情報 - Google独自情報 JARTICを反映 Tプローブを反映
ルート案内設定
ETC利用設定 なし なし あり あり
車体サイズ設定 なし なし あり あり
渋滞考慮レベル設定 なし なし なし あり

さて、ここまでが出発までに行ったナビ操作です。後編では実際にナビを起動し走行しインプレッション!その結果は!?

<後編>は6月9日 (金)公開予定!

本掲載内容は2017年5月19日時点のものです。

[ガズー編集部]