【クルマとお金】種類や額はどれぐらい? ―自動車にかかる「税金」を知ろう―
「クルマが欲しい」と思ったときに、「税金がどれぐらいかかるのか?」を感じる人もいるでしょう。クルマには数多くの税金が存在し、購入時だけでなく維持しているだけでも、いくつもの税金が課せられています。では、クルマの税金はいくつあって、それぞれの税額はどのぐらいなのでしょうか?
購入時に支払う税金と維持する中で支払う税金
ざっと挙げてみるとクルマには、「自動車取得税」「自動車重量税」「自動車税(軽自動車税)」「ガソリン税(揮発油税/地方揮発油税/軽油引取税/石油ガス税)」「消費税」という9種類もの税金が存在しています。
クルマを購入するときに課せられるのが「自動車取得税」です。もちろん買い物をしたのですから「消費税」も必要です。さらに、ナンバーを取得して、車検をクリアしなければ街を走ることはできないので、「自動車重量税」と「自動車税」も同時に支払わなければなりません。
軽自動車の場合は「自動車取得税」と「自動車重量税」は必要となりますが、購入時の「軽自動車税」はありません。ちなみに、税金ではありませんが、「自賠責保険」への加入、ナンバー取得のための車庫証明の取得とナンバープレート代金も、購入時に必要となります。
また、クルマは所有しているだけで、毎年「自動車税」がかかります。軽自動車の場合は「軽自動車税」です。さらに2年ごとの車検時には、「自動車重量税」が課せられます。クルマを走らせるとガソリン/軽油といった燃料を使いますが、こちらにも「ガソリン税」という税金が含まれます。厳密には「揮発油税」と「地方揮発油税」の二つが合わさったものです。ディーゼル・エンジン車向けの軽油には「軽油引取税」もプラスされます。タクシーなどのLPガスを燃料にする車両には「石油ガス税」が用意されています。そして、給油も買い物の一種なので、給油のたびに「消費税」も支払います。
多くの税金にエコカー減税が用意されている
次に個々の税金の内容をさらに詳しく見ていきましょう。まずはクルマを手に入れるときに支払う「自動車取得税」から。
「自動車取得税」は、文字通りにクルマを取得したときの税金で、各都道府県に納める都道府県税(地方税)です。税額は、購入した価格ではなく、車種やグレード、装備などによって定められる「取得価額」に3%をかけたもの。軽自動車は2%です。200万円の車両であれば、54,000円程度。中古車の場合、「取得価額」は新車価格の90%程度が目安となり、1年ごとに額が下がっていきます。最終的に「取得価額」が50万円を切ると「自動車取得税」はかかりません。
また、燃費性能に優れたクルマに対しては、20%減税から免税までの優遇税制が用意されています。この自動車取得税は、将来、消費税が10%に上がるときに廃止され、替わりに「環境性能割」という新税が導入される見込みです。
「自動車重量税」は、クルマを購入したときと車検時に支払う国の税金です。重量が重いほど高くなりますが、軽自動車は一律。税額は0.5トン刻みで決められており、1トンを超えて1.5トン以下であれば、新車時に36,900円(36カ月分)、車検時に24,600円(24カ月分)を収めます。軽自動車は新車時に9,900円、車検時に6,600円と、非常に安いのが特徴です。自動車取得税と同様に、燃費性能に優れたクルマには25%減税から免税までの優遇制度があり、逆に古くなって新車から13年を過ぎると税額が上がります。
一方で税金に税金が課される二重課税も……
「自動車税」と「軽自動車税」は毎年かかる税金で、4月1日にそのクルマを所有している人に課せられます。「自動車税」は都道府県税、「軽自動車税」は市町村税です。税額は排気量ごとに定まっており、総排気量1リットル以下で29,500円、1リットル超~1.5リットル以下は34,500円と、排気量が増えるほど税額が上がります。軽自動車は自家用であれば一律で10,800円。「自動車税」と「軽自動車税」も燃費性能に優れた車両は優遇され、新車から13年を過ぎた車両は税金が重くなります。
「ガソリン税」は、ガソリンの販売価格に含まれています。現在のところ、ガソリン1リットルあたりの税額は53.8円です。また、温暖化対策税として「石油税」が1リットルあたり2.8円課せられています。つまり、ガソリン価格の3分の1以上が税金です。また、給油時に「ガソリン価格+税金」の総額に8%をかけたものが「消費税」としてかかります。税金に税金をかけるという二重課税という問題が、ガソリン価格には存在するのです。
優遇や重課税の内容は果たして正しいか?
クルマに課される税金にはどのようなものがあるのかを挙げてみましたが、その数の多さに驚く人も多いでしょう。また、環境に優しいクルマが優遇される一方で古いクルマは重課税となるなど、その内容に疑問を感じる人もいるかもしれません。
たとえば、燃費の基準となる値は、車両重量が重いほど緩くなっています。一方、クルマは車格が高くなるほど重量が増しますから、車両価格も高くなます。つまり、同じパーセンテージで割引されると、大きく重い車両の方が減額も大きくなります。その結果、コンパクトカーよりも燃費が悪い大型セダンの方が、税金の減額が大きくなってしまうのです。
さらに、新車から13年を過ぎると自動車税も重量税も大幅にアップします。ハイブリッド車や電気自動車は除外されていますが、それ以外のクルマが13年目からぐっと燃費が悪化するわけではありません。
欧州では逆に古いクルマを乗り続けるのは「文化を守る」という意味で、税金が安くなるケースも。購入から13年で重課税することは、ユーザーが愛車を大切にする心をないがしろにするようなことではないでしょうか。
13年保有した場合の税負担はアメリカの31倍
最近では、それぞれの税金の是非だけでなく、諸外国との税負担の差も注目されるようになってきました。
自動車メーカーによる団体である自動車工業会やJAF、日本自動車販売協会連合会など、クルマに関連する21の団体が参加する「自動車税制改革フォーラム」という集まりがあります。文字通りに自動車の税金を話し合うところです。この集まりが調べたところによると、もしも13年間クルマを維持していると、保有段階での日本の税負担は、アメリカの約31倍、ドイツの約2.8倍、イギリスの約2.4倍にもなるというのです。
ただし取得時の税負担は、欧州は約34~36%もの付加価値税がかかるため、日本の方が負担は少なくなっています。しかし、それでも取得時&保有時の両方を合わせてしまうと、日本の税負担はもっとも高くなっています。
同じ自動車を保有しているだけなのにこれだけの差があるのはいかがなものか、というわけです。先の「13年で重課税」の話を併せて、日本の税負担の是非が問われています。次回はさらに、クルマの税金が抱える矛盾や問題をクローズアップしていきましょう。
(文:鈴木ケンイチ / 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
シリーズ「クルマとお金」
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