もしも運転中に「大雨」に遭遇したら? 知っておくべき12のポイント
早くも梅雨入りしたと見られる地域があります。梅雨期は大雨になりやすい時期となり災害に繋がる恐れもあり十分な注意が必要です。また、近年は地球温暖化の影響もあり自然災害が増えています。
特に台風やゲリラ豪雨といった大雨は、毎年大きな被害を発生させています。運転好きな筆者でも、クルマに乗っているときに大雨が降ってくると、思わずハンドルを握る手に力が入ってしまいます。そこで、運転中に大雨に遭遇したときは、どのように対応するべきなのかをまとめました。
雨の中を走行するときの危険性と対応
まずは、雨の中を走行するときの危険性を考えてみましょう。
(1) 視界が悪くなる
(2) 路面が滑りやすくなる
(3) 冠水する場所が発生する
(4) 洪水や土砂崩れに巻き込まれる可能性がある
(1)(2)については、少量の雨でも該当します。視界確保のためには、ワイパーを車検時など定期的に交換することが大切です。また、ガラスコーティングを併用することも有効でしょう。タイヤの残り溝も、定期的なチェックが欠かせません。溝が浅くなると水はけが悪くなり、走行中にハンドル操作が不能になるハイドロプレーニング現象が起こりやすくなって危険です。
特に強い雨のときに注意しなければならないのが、(3)(4)について。一般的に、降水量が1時間に50㎜を超えると運転が困難になると言われています。「雨が強いな」と感じたら、できるだけ運転をしないようにすることが大切。やむを得ず運転するときは、冠水が起きやすいアンダーパス、洪水や土砂崩れが起こりやすい川や斜面の近くを避けるといった行動が必要です。
また、いずれの場合にしても、「前のクルマが行けたから自分も大丈夫」と思ってはいけません。車種やタイヤの状態も違えば、道路の状況も刻々と変わりますから、少しでも危険や不安を感じたら、速度を落としたり状況次第では路肩に停車したりするなどの措置をしてください。なお、大雨には強風が伴う場合もあります。また天気予報などで「猛烈な風」と表現される平均風速30mになると、走行中のトラックも横転することがありますので、強風を感じたときも同様です。
大雨に遭遇したときの12のポイント
走行中に大雨に遭遇したときの対応を12のポイントにまとめました。
ポイント1:無理をしない
本当にひどい雨のときは、無理をせずに安全な場所に停車して、雨が弱くなるのを待ちましょう。
ポイント2:低い場所は避ける
アンダーパスや周囲よりも低い場所を通るルートを避けましょう。多少、遠回りになっても安全が優先です。
ポイント3:川沿いは走らないように
洪水に巻き込まれないように川沿いの道を走るときは要注意。できれば違うルートを通りましょう。
ポイント4:崖のそばに近づかない
土砂崩れの可能性があるので、崖のそばには近づかないようにしましょう。
ポイント5:突風に注意する
トンネルの出口や橋の上は、突風に見舞われることがあります。速度を落として突風があることを想定して走行しましょう。
走行中、目の前の道路が冠水しているときは、どのようにすればよいのでしょうか。濁った冠水の下は、もしかするとフタの開いたマンホールが待ち構えているかもしれません。また、タイヤをパンクさせるようなものが沈んでいる可能性もあります。冠水路に遭遇したときのポイントは、大きく4つ。
ポイント6:冠水路はできるだけ避ける
可能であれば冠水した場所を迂回しましょう。冠水した場所を走行すると、クルマがコントロールできなくなる可能性があるばかりか、走行不能に陥ってしまう場合もあります。実際に車両の床面が浸かる冠水路を走行したことがありますが、アクセルをいっぱいまで踏んでもなかなか進まないほど水の抵抗がかなり大きく、車体も不安定で、安全に走行できるとは言えない状態でした。
ポイント7:やむを得ず走行する場合は深さに注意
どうしても冠水した道を走るというのであれば、深さが問題になります。一般的には、クルマのドアの下、床面くらいまでならば走行が可能と言われています。逆にそれ以上であれば無理をせずに迂回しましょう。車高の高いSUVも同様です。
ポイント8:やむを得ず走行する場合はスピードを落とす
冠水した道の走行で怖いのは、エンジン内部に水が入ること。吸気を行っているエアクリーナーからの水の進入に気をつけたいですが、それよりも水が進入しやすいのが低い位置にあるマフラーです。地上高20cm前後の位置に付いているマフラーが水に浸かると、アクセルを緩めた瞬間に排気圧が下がり、周囲の水圧で排気管まで水が入ってしまいます。そして排気が出来ないほどになると、エンジンが停止してしまいます。最悪のケースでエンジン内部まで水が達してしまうと、エンジンが大破することもあります。そのため、やむを得ず冠水した道を走る場合は、エンジンが水を吸い込まないように、そっと走るようにしましょう。また、マフラーが浸かるようであれば、なるべく迂回するなどしましょう。
ポイント9:立ち往生の可能性があるときは窓を開ける
冠水した道で立ち往生しそうなときは、窓を開けておきましょう。水深の深いところにクルマが止まると、水圧でドアが非常に開けにくくなります。もしも、ドアが開けられないし、窓も開けられないときは窓を割って、そこから脱出しましょう。素手で叩いても割ることはできないので、ヘッドレストを抜いて露出した金属の棒やシートベルトのバックルなどを使ってください。サイドの窓のなるべく端の方を叩くと比較的割れやすいはずです。
なお、カー用品店などで、窓を割るためのハンマーとシートベルトカッターがセットになった、緊急脱出用ハンマーが販売されていますので、購入して車内に常備しておくと安心です。最終的に、車内に進入した水が増えて外との水圧が小さくなれば、ドアを開けることができることも覚えておきましょう。
事前に大雨になるとわかっているときは
災害になるほどの大雨は、たいていの場合、天気予報で予測されています。そうした大雨が来るとわかっているときは、しっかりと対策を採るようにしましょう。ここで意識しておきたいポイントは、3つあります。
ポイント10:事前に危険な場所を確認しておく
地方自治体などが公表しているハザードマップを事前にチェック。危険な場所を確認して、そこを避けるようにしましょう。
ポイント11:クルマを安全な場所に
クルマを安全な場所に退避させます。浸水しやすい地下駐車場や低い場所、崖の近くは避けましょう。できれば、モノが飛んできても大丈夫なような屋根付きの場所に移動させておけば安心です。
ポイント12:クルマを置いて避難することも考えておく
人命第一。クルマは高価ですし、愛着のあるものですが、人間の命の方が重要です。もしも、「このままでは危険だ」と判断したならば、クルマを置いて逃げるようしましょう。
大雨でもクルマなら大丈夫だ、と油断してはいけません。また、「前のクルマが行けたから大丈夫だ」と思うことも危険です。もし、「大丈夫だろうか?」と判断に迷うことがあったら、そのときは無理せず、安全な場所に停車するようにしましょう。停車するときは、周囲の状況をよく確認し、ハザードをつけることも忘れずに。安全に油断は大敵です。
(文:鈴木ケンイチ 編集:木谷宗義+ノオト)
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[ガズー編集部]
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