ドイツ車好きの24歳のオーナーが選んだ新しい相棒は、2006年式フォルクスワーゲン・ゴルフR32(1K型)

「羊の皮を被った狼」、別名「スリーパー」と呼ばれるクルマたちがいる。スーパーカーのように派手な外観を持たないモンスターマシンの総称だが、今回注目するフォルクスワーゲン・ゴルフR32(1K型、以下R32)も、そんな1台ではないだろうか。「R32(アールサーティートゥー)」は、ゴルフシリーズでもハイパフォーマンスモデルに与えられたグレード名だ。ここに佇む個体の主は、24歳の若き男性オーナー。イエローにオールペイントされた車体に、少しだけやんちゃな雰囲気が漂う。納車されてから3ヶ月が経過したところだという。

オーナーの愛車は2006年式。ゴルフシリーズとしては5代目、R32としては2代目のモデルにあたる。全長×全幅×全高=4250×1760×1505mm、駆動方式は4WD。搭載される3.2リッターの狭角V型(VR)6気筒エンジンは、NAで250馬力を誇る。この個体はDSG(ダイレクトシフト・ギアボックス)搭載モデルで、MT同等の素早いシフトアップが可能。ブリッピング機能も備え、シフトダウンも意のままに操作できる。ちなみに、市販車でこの機構を採用したのは、フォルクスワーゲンが初となる。

この個体は、前オーナーによってすでにオールペイントをはじめとしたモディファイが施してあり、車名を示すバッジも取り外されているが、通常であればR32がどれほどのモンスターマシンなのかを知るとき、「R32」のバッジを目にしてはじめて気づくパターンがほとんどだろう。まずはこのクルマを手に入れてから変化したカーライフについて、オーナーに伺ってみた。

「クルマ関連のミーティングへ行く回数が増えましたね。さまざまなオーナーのクルマを見るのも、友人とのクルマ談義も楽しいです。駐車したときに声をかけられたり、撮影される回数も増えました。特に年上の男性からは「大事にしてね」とよく言われます。このR32がコミュニケーションツールになっていることを強く感じています」

オーナーが若くしてR32を所有するきっかけは何だったのだろうか。

「もともと母親がドイツ車好きで、メルセデスベンツ・190クラスなどに乗っていました。私も、その影響を大きく受けています。このクルマの前には、メルセデスベンツ・CLA180(C117)に乗っていたんですが、メルセデス以外の他のドイツ車にも以前から興味がありました」

ここで誤解をされるとオーナーに気の毒なので、あらかじめ説明しておきたい。彼は大の「メルセデス・ファン」でもある。前愛車のCLA180は、コツコツと貯金してようやく手に入れたものだ。さらにメルセデスに関しての博識さは、年上のマニアも舌を巻くほどである。「アガリの1台(人生最後の1台)」を尋ねてみれば、AMG 300E 6.0 4V ハンマーバージョン(W124)に乗りたいそうで「独特の雰囲気と暴力的な加速、電子制御がない頃のAMGを味わってみたい」とのことだ。しかし、これほどまでにメルセデスへの愛がありながら、このR32を選んだ理由も非常に興味深い。しかもあえて5代目のモデルを選んだ理由とは?

「R32は見た目と速さのギャップや、サウンドに惹かれました。5代目のスタイルが好みだったのもありますが、現実的に手が届き、しかも高性能なドイツ車という条件にマッチしたからです。大排気量のNAにも乗ってみたいという願望もありました」

この個体に出会ったきっかけは?

「ネットの中古車サイトで探していて見つけました。本来は『オリジナル派』なのですが、イエローにオールペイントされた個体を見つけて、モディファイされているクルマもいいなと、はじめて感じました。クルマは県外に置いてあったので、無理を言って取り寄せてもらいました」

現車を確認してみると、元のボディカラーはブラックだったようだが、見えない部分まで丁寧に塗装されていたという。さらに、前オーナーによって、いくつかのモディファイが施してあった。

「製造から約13年が経過しているとは思えない美しさでした。オールペイントされているイエローは、どの車種の何色かは不明です。エンジンはノーマル。ホイール・グリル・マフラーが社外品になっていました。ホイールはSUPER+(スーパープラス)、ENON WHEELSの『MSP19』というモデルです。マフラーは、アクラポヴィッチというスロベニア共和国のメーカーのもので、音がすごく良いですね。さりげないけれど、やる気のあるルックスも気に入っています。特に、リアのローアングルからの眺めが大好きです」

今後予定している、または計画中のモディファイはあるのだろうか。

「今、装着しているホイールを黒にしたくて、これから探すところです。それから、経年劣化で天井がくたびれてきているので、張り替えをしたいですね。ルーフスポイラー・内装のインパネまわりもカーボン調にそろえたいです。それと何より、美しいイエローの車体はずっと維持していきたいですね」

言わば「幕は上がったばかり」だが、このR32と今後どう接していきたいかを、最後に伺ってみた。

「モディファイは楽しんでいきますが、極力オリジナルの雰囲気を崩さずに手を入れていけたらと考えています。大切に、ずっと乗っていきたいですね」

今回のインタビューを、前オーナーが目にする可能性もある。大切にされていることを知れば、きっとうれしく感じることだろう。前オーナーに届くようにと祈りつつ、現オーナーの新しいカーライフの充実を願いたい。

(編集: vehiclenaviMAGAZINE編集部 / 撮影: 古宮こうき)

[ガズー編集部]

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