27万キロでも快調!ボイジャーを3台乗り継ぐオーナーが2007年式クライスラー・グランドボイジャー LIMITED(RG33L型)を愛でる理由

「ミニバン」の歴史は、意外と長い。国内では1982年に発表された日産・プレーリーが、海外では米国のクライスラーによって1983年に発売されたダッジ・キャラバンがミニバンの原型といわれている。今回はダッジ・キャラバンがルーツの「ミニバンの元祖」、クライスラー・グランドボイジャー LIMITED(RG33L型、以下ボイジャー)に惚れ込み、3台も乗り継ぐ男性オーナーを紹介したい。

「クルマが変わっても、ナンバーも色も同じなので、職場では買い換えたことに誰も気づいてくれません(笑)」

そう話すオーナーは、現在48歳。学生時代からクルマ好きで、モータースポーツにも親しんできた。愛車のメンテナンスは可能な限り自ら行っている。「クルマという存在が自分の人生」と話すほど、オーナーにとってクルマは欠かせない存在のようだ。このボイジャーの走行距離はなんと、27万キロ!非常に美しい状態を保ち、走行距離を重ねているようには到底見えない。まずは、加えられているモディファイから伺ってみた。

「クライスラー・300Cの純正18インチホイールを履かせています。車高は下げず、先代ボイジャー(RG33型)に装着していたフェンダーアーチを移植しました。フロント周りは飛び石対策にノーズブラを装着していますが、バンパーまで覆うフルブラタイプではないので、それほど効果はありません(笑)。でも、よりアメ車らしい雰囲気になっているので気に入っています。それから、ヘッドライトのクリア塗装を剥いで再塗装しています。あと、フロントバンパーの飛び石がひどかったので、パテ付けをして自家塗装したばかりです。車内は天井が垂れてきてタッカーで打ちつけているんですけど、そのうち、内張りをすべて剥がして張り替えるかグレーに塗ってしまおうかと考えているところです」

オーナーが所有するボイジャーは2007年式で、シリーズ4代目にあたる「ロング(グランドボイジャー)」と呼ばれるモデルであり、標準モデルよりもロングホイールベースなのが特徴だ。ボディサイズは、全長×全幅×全高:5110x1995x1755mm。排気量3301cc、174馬力を発生するV型6気筒OHVエンジンは、大陸を駆け抜けるにふさわしく、ゆとりある走りを実現している。

クライスラー・ボイジャーは、ダッジ・キャラバンの兄弟モデルだ(ダッジはクライスラーの一部門)。シリーズ3代目で日本に導入された際に、同名の日産・キャラバンが存在していたため、国内では「ボイジャー」としてクライスラーブランドで販売された。2001年のフルモデルチェンジを受け、フロントデザインはダッジの特徴的な十字型のグリルから、PTクルーザーや300に見られるような、クライスラーらしいグリルへと変更された。

ミニバンといえば、国産車はもちろん、輸入車でも選択肢は多いはずだが、オーナーはなぜボイジャーを選んだのだろうか。

「結婚して家族が増えたので、VW・ゴルフ3から7人乗りのミニバンへの乗り換えを検討していました。荷物や機械を積む仕事にも使う前提でしたが、いかにも『商用車』は抵抗があったので、趣味性も兼ね備えたクルマを探していました。やはりクルマ好きとしては、趣味も両立させたかったんです。そのなかで気になる存在だったのが、ボイジャーでした。何よりスタイルがいい。年月が経っても、古さを感じさせないところが好きですね。最初に買ったダッジ顔のボイジャー(GS33型)もライトが薄くて好きでしたが、この顔も丸みがあって、可愛く見えるんですよね。そして仕事での使い勝手の良さも気に入っているポイントです。セカンドシートやサードシート床下収納できて、しかもフルフラットになるミニバンは、当時はありませんでしたから。全長が長い割にFFだから小回りもきくし、クルーズコントロールもついていて、高速を運転していても疲れません」

オーナーが3台目となるボイジャーを迎えたのは、4年前の2014年のことだ。先代ボイジャーが走行距離26万キロを超えたとき、ちょうど中古で10万キロだったこのロングボディの個体と出会ったという。ここで、それぞれの納車当時の思い出を伺った。

「1台目のボイジャー(GS33型)の納車当日は、子どもを連れてクルマを迎えに行きました。行きは電車だったんですけど、ポルシェのエンブレムを刺繍したジュニアシートに座らせた息子を抱えて乗っていたので、変な人だと思われていたかもしれません(笑)。その後、RG33型のボイジャーを2台乗り継ぎましたが、それほど見た目は変わらないのに毎回ワクワクしていましたね。10万キロ走った中古車なんて、26万キロ走っても絶好調なボイジャーに比べたら、まだ慣らしが終わった程度だと思っていましたから(笑)」

しかし、10万キロも走った中古の個体を購入するとなると、通常なら故障修理のリスクが高くなると思ってしまいがちだ。オーナーはどう考えているのだろうか。

「私は年間4万キロ走るので、エンジン・ミッションの丈夫なクルマがベストな選択だと思っています。『5年間で20万キロ』のペースを考えると、中古のボイジャーを乗り継いだほうが、私にとっては経済的です。同じクルマを乗り継いでいると、どこがいつ壊れるかをだいたい把握できます。しかもメンテナンスは可能な限り自分で行っているので、何でも主治医任せにして乗るよりも、すぐ直せて好きなクルマに乗るほうが幸せなんです」

世間では「アメ車=維持費がかかる」というイメージが少なからずあるが、ボイジャーに乗っていると、実際にはどうなのだろうか?

「エンジンやミッションは丈夫ですし、皆さんが思うほど壊れないですよ。製造から10年経ってもしっかりしていて、ボディのヤレや緩さ、劣化を感じません。それに部品の価格が非常に安いことも魅力のひとつです。並行輸入している業者が多いので、意外と手に入れやすいんです。スタビライザーのブッシュやタイロッドなどの足回り部品は、異音や不具合が出たらすぐ交換するようにしています。燃費も思ったほど悪くはありません。ガソリンタンクは77リッター入りますが、燃費は8~10km/Lくらいでしょうか。東京から大阪まで無給油で走れます」

たとえ故障しても日本であればどこでもレッカーを呼べるが、広大な米国のどこかで立ち往生したら生命の危険さえもある。だからこそ丈夫に造られているのだろうか。さらに、今まで経験した大きなトラブルと部品の供給状況も伺ってみた。

「オルタネーターが故障したので、社外品のものと交換したことがあります。純正のオルタネーターはクラッチがついているんですけど、そこから異音が出たので、クラッチのない社外品を選びました。あとはイグニッションコイルが原因でエンジンが吹けなくなってしまって、オーダーしたら国内在庫が1個だけということもありましたが、部品は基本的に入手しやすいので、バックオーダーで待たされることは滅多にないと思います。それから、エンジンオイルは、2カ月または7000キロごとに交換。ATFは、不具合が起こらないように必ずフィルターとオイルは純正品を取り寄せて、規定量も守って10万キロごとに交換しています」

かなりボイジャーのことを気に入っているようだが、このクルマと今後どう接していきたいかオーナーに伺ってみた。

「次の車検を迎える頃には、単純計算で34万キロに到達しているはずです。ボイジャー以上に買いたいと思うクルマが現れない限り、直して乗り続けたいと思っています。または、アメリカから並行輸入で新車のダッジ・キャラバンを買おうかと目論んでいます(笑)。乗り換えの目安としては、エンジンやミッションが載せ換えとなれば、ひと区切りするタイミングかもしれません。しかし、このボイジャーは本当に飽きないクルマなんです」

オーナーほどの細やかなメンテナンスを行っていれば、自然と34万キロを迎える日がきっと来るだろう。

そして、今回のような一昔前のクルマを大切に乗り続けるオーナーに出会うたび、環境負荷を理由に課せられる高額な自動車税に、あらためて疑問を抱いてしまう。最近、部品の再生産やレストアのプランが注目されてはいるが、メーカーにはそんなクルマを愛するオーナーたちを支えてほしいと、願わずにはいられないのだ!

(編集: vehiclenaviMAGAZINE編集部 / 撮影: 古宮こうき)

[ガズー編集部]

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