【ロールスロイス ファントム 後席試乗】エンジンのついた魔法の絨毯…諸星陽一
ロールスロイスのなかでも最上級とされる『ファントム』が2018年、14年ぶりにフルモデルチェンジし8代目となった。
ファントムにはホイールベースが3550mmの標準モデルと、220mm延長し3770mmとした「エクステンデッド・ホイールベース(EWB)」が存在する。その最上級中の最上級、エクステンデッド・ホイールベースに試乗する機会を得た…といっても後席であるが、言ってみればロールスロイスのもっとも正しい位置への試乗である。
指定されたホテルのエントランスに行くと、すでにファントムは堂々とした姿で鎮座していた。横にはショーファーが立ち、リヤドアを開けてくれる。リヤドアは後方にヒンジを持ついわゆるコーチドア、フロントドアと快方すると観音開きになる構造。ただしセンターピラーは存在している。
段差を極力抑えたサイドシルをまたいで車内に入るとふっくらしたシートと、同じくふっくらしたカーペットが迎えてくれる。後席の広さをうんぬん言うレベルではない。もちろん足は組めるし、天井までのクリアランスもたっぷりとある。フロントシートに触ろうとしても、身体をグッと乗り出さないと届かない…といったレベルだ。
プロのショーファーによるゆったりとしたスタートからの加速は滑らそのもの。定常走行に入ると適度な揺れを伴い、まるで宙に浮いたかのような乗り心地を実現している。かつてロールスロイスの乗り心地は「魔法の絨毯」と表現されたがまさにそのとおりだ。この魔法の絨毯の素晴らしいところは、エンジンが存在していること。単純に静粛性と加速感を強くするだけなら、モーターのほうが優れているだろうが、6.8リットルV型12気筒、510馬力、900Nmのエンジンの脈動とともに3トンに迫ろうかというボディの重さがあるからこそ実現できる乗り心地だ。
いたるところがハンドメイドで製造されるロールスロイス・ファントム・エクステンデッド・ホイールベースは紛れもなく最高級の乗り心地を提供してくれた。
最後までクルマの乗り味を楽しもうと思っていたのだが、不覚にも睡魔に襲われてしまった。クルマが停止したときも意識はなく、同乗者に声を掛けられてやっと目覚めた。上質な乗り心地にはレポーターの強固な意志もかなわなかった。
ファントムの価格は標準モデルで5460万円。エクステンデッド・ホイールベースは6540万円。★印の評価は価格を無視したものであるのは言うまでもない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
(レスポンス 諸星陽一)
ファントムにはホイールベースが3550mmの標準モデルと、220mm延長し3770mmとした「エクステンデッド・ホイールベース(EWB)」が存在する。その最上級中の最上級、エクステンデッド・ホイールベースに試乗する機会を得た…といっても後席であるが、言ってみればロールスロイスのもっとも正しい位置への試乗である。
指定されたホテルのエントランスに行くと、すでにファントムは堂々とした姿で鎮座していた。横にはショーファーが立ち、リヤドアを開けてくれる。リヤドアは後方にヒンジを持ついわゆるコーチドア、フロントドアと快方すると観音開きになる構造。ただしセンターピラーは存在している。
段差を極力抑えたサイドシルをまたいで車内に入るとふっくらしたシートと、同じくふっくらしたカーペットが迎えてくれる。後席の広さをうんぬん言うレベルではない。もちろん足は組めるし、天井までのクリアランスもたっぷりとある。フロントシートに触ろうとしても、身体をグッと乗り出さないと届かない…といったレベルだ。
プロのショーファーによるゆったりとしたスタートからの加速は滑らそのもの。定常走行に入ると適度な揺れを伴い、まるで宙に浮いたかのような乗り心地を実現している。かつてロールスロイスの乗り心地は「魔法の絨毯」と表現されたがまさにそのとおりだ。この魔法の絨毯の素晴らしいところは、エンジンが存在していること。単純に静粛性と加速感を強くするだけなら、モーターのほうが優れているだろうが、6.8リットルV型12気筒、510馬力、900Nmのエンジンの脈動とともに3トンに迫ろうかというボディの重さがあるからこそ実現できる乗り心地だ。
いたるところがハンドメイドで製造されるロールスロイス・ファントム・エクステンデッド・ホイールベースは紛れもなく最高級の乗り心地を提供してくれた。
最後までクルマの乗り味を楽しもうと思っていたのだが、不覚にも睡魔に襲われてしまった。クルマが停止したときも意識はなく、同乗者に声を掛けられてやっと目覚めた。上質な乗り心地にはレポーターの強固な意志もかなわなかった。
ファントムの価格は標準モデルで5460万円。エクステンデッド・ホイールベースは6540万円。★印の評価は価格を無視したものであるのは言うまでもない。
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自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
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