【三菱 アウトランダーPHEV 新型試乗】一般的な走行ではエンジンの存在を意識させられない…石井昌道

三菱 アウトランダー PHEV(プロトタイプ)
世界でもっとも売れているプラグイン・ハイブリッドカー、『アウトランダーPHEV』が大幅改良を受けて進化した。心臓部であるPHEVシステムは約9割を刷新。エンジンは排気量を拡大し、バッテリーは容量・出力ともにアップ。モーターやジェネレーターも改良されている。

従来型を改めて味わった後に新型(プロトタイプ)へ乗り換えると、まずは走り出しから高速域までトルクの厚みが増すとともに、静粛性が高まっていることを実感した。大排気量化に発電の高効率化、電気駆動の高出力化は、PHEVの“EV感“を高めているのだ。走行中にエンジンを停止させる頻度が高まり、エンジンがかかっているとしても回転が低くなっているので全体に静かに感じられる。車体の遮音対策も相まって、一般的な走行ではエンジンの存在を意識させられない。

乗り心地やハンドリングの進化も見逃せない。従来型もSUVとしては高次元なシャシー性能をもっていたが、新型はサスペンションのストローク感がよりしなやかになりつつ安定感も増している。また、ハイスピードで段差を通過したときには、ボディのしっかり感が強調されており、高級車のように上質な乗り味だった。

シャシーの能力があがったところに、ギア比をクイックにしたステアリングが与えられているのでコーナーではキビキビと走る。新たにスポーツモードが追加され、S-AWCが積極的に向きをかえようとするのが痛快。タイトコーナーの立ち上がりでアクセルをグッと踏み込むと、グルリと回り込んでいくような挙動が楽しめるのだ。

ここ1~2年で日産e-POWERやホンダi-MMDなど、シリーズ・ハイブリッドもしくはシリーズ・ハイブリッド+高速域ではエンジン駆動もするシステムを搭載したモデルが急激に増え始めている。日本の交通環境ではエネルギー効率が高く、乗り味もすこぶるいいというメリットが俄然注目されているわけだが、5年前にそれをプラグイン・ハイブリッドで実用化して世の中に広く受け入れられたアウトランダーPHEVがいかに先見の明があったかという証でもあるだろう。

日本の乗用車の中心的な存在になる予感さえあるシステムだが、興味深いのは各社でエンジンと電気のバランスの取り方、考え方に違いがあることだ。i-MMDは電気を強くしてエンジンのダウンサイジングを図ってきているが、アウトランダーPHEVは両方とも強化してよりEVに近づけている。エンジン駆動を持たず、当面は直3の1.2リットルという小排気量エンジンを使うであろうe-POWERはコスト重視で拡販狙いか? 

環境負荷軽減の度合いや狙いのパフォーマンス、価格帯などによって電気とエンジンのバランスの最適解は変わり、各ユニットの進化によってもまた変化する。まるで動くゴールポストに向かっていくようなものだが、だからこそメーカーにとっては英知の見せ所。今後の展開が楽しみでならないのだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

石井昌道|モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

(レスポンス 石井昌道)

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