【ホンダ CR-V 新型試乗】細かい難はあるけど、よくできたSUVだ…中村孝仁
◆サイズが気になる?
多くのジャーナリストたちがこのクルマのサイズ感を気にする。一体なぜ?今時4605×1855×1680mmなどというサイズは、日本市場でも中くらいでしかない。
激戦区のSUV市場にあって、こんなサイズはコンパクトな部類と言っても過言ではない。それとも、国内市場だけはグローバルとは異なる特殊事情があるとでもいうのだろうか。
勿論日本には日本固有の特殊事情があることは重々承知しているが、海外から怒涛の如く押し寄せるライバルと対抗する必要性も、この固有の事情があるかもしれない日本市場においてはあるわけだ。だから、そこだけ切り分けてクルマ作りなどできない。
ましてやホンダ『CR-V』は、グローバルでは75万台以上を売り上げて、世界でもベスト5に入る超人気車種。それを日本の特殊事情に合わせてクルマ作りをしていたら、間違いなく売れないクルマになる。だから、今更日本の特殊事情に目を向けてグローバルカーを作ることなど不可能なのだ。
◆フォレスターやCX-5とのコスパ比較は
実は先代のCR-Vを友人が持っていて、それに乗せてもらった時に、こりゃいいクルマじゃない…って思い、密かに自分の中ではトップレートに値するクルマだと思っていた。その友人は買い替えの際に新しいCR-Vがなく、個人的に相談を受けた時はマツダ『CX-5』を薦めたが、彼女(女性である)が購入したのはスバル『フォレスター』であった。まあそれはそれで見識があると思う。何よりコスパという点で凄まじく優れている。
そこへ行くと今回のホンダCR-Vは、少しお高い気がする。1.5リットルターボエンジンのFWDモデルが、今回の試乗車。上位グレードの「マスターピース」のお値段は381万4560円。スバルフォレスターだとeボクサーの「アドバンス」が買えておつりがたくさん来る。CX-5にしてもディーゼルを買っておつりがくる。しかもホンダはFWD(4WDもあるけれど試乗車はFWD])。一方のスバルは4WD。CX-5はどちらも選べるといった具合で、少しだけ高い。
どのクルマも最新の先進安全支援システムが搭載されていてACCも装備されるし、レーンキープアシストなども装備される。これらの出来具合が一番良いのはスバル。ホンダの場合レーンキープがちゃんと車線中央を維持するのは難しく、あっちに行ったりこっちに行ったりする。まあ、付いてますレベル。マツダのACCのレベルはそこから少し落ちる。
◆国産SUVとしてトップクラスの骨格、走り
一方で骨格の強さや走りのスマートさでは、スバルのSGPを超えると個人的には評価する。何よりもフラット感の強い乗り心地は、このセグメントの国産SUVとしてはトップクラスだろう。とにかく乗り心地に雑味がない。高速のストレートで巡航している時のスムーズさといったら大したものだ。
そんなところ走ればどんなクルマだってスムーズだろうって思うかもしれないが、実はシャシーの良くないクルマは微妙な微振動が伝わるものだ。それを僕は雑味と称するわけだが、この雑味がなかったのがこのクルマである。ステアリングに対するシャシーの応答性も素晴らしく、余計なヨーモーメントが入らず、実に素直な応答性を持っている。
1.5リットルの4気筒エンジンは、確かに190ps、240Nmと数値的には十分な性能を持っているのだが、まあ、実際に乗ってみると物足りなさを感じてしまう。特にエコモードに入っている時は、アクセルを踏み込んで前車を追い越そうとすると、自分の予想したアクセル開度より3割ほど増して踏み込まないと、意図するスピードに引き上げることが出来ない。まあ、エコを解除すればそこそこだが、動力性能的には物足りなさを感じてしまう。
◆いくつかの難点はあるけれど
室内は3列7人乗りである。2列目シートは前後にスライドが可能。それによって3列目のレッグスペースを確保できるわけだが、元々床面が高く、どうしても膝を抱える着座姿勢を強いられるから、このスライドはもっぱらラゲッジスペースの容積拡大に貢献しているという感じ。まあ、チャイルドシートが必要なくなった子供用シートの域を出ない。
このクルマ、中国とアメリカで人気のモデルのようで、言われてみるとそれらしいアクの強いデザインを感じる。まあ嫌いではない。好きでもないけれど…。
アメリカ的だなぁ…と感じたのは、今時デトロイト3のモデルでもないでしょうというくらいデカい、チリ。つまり隙間。どこにあるかというとバックドア。リアからの写真を見ていただくと、如何にドアとボディの隙間がデカいかわかる。と、いくつかの難点はあるけれど、個人的にはよくできたSUVだと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
多くのジャーナリストたちがこのクルマのサイズ感を気にする。一体なぜ?今時4605×1855×1680mmなどというサイズは、日本市場でも中くらいでしかない。
激戦区のSUV市場にあって、こんなサイズはコンパクトな部類と言っても過言ではない。それとも、国内市場だけはグローバルとは異なる特殊事情があるとでもいうのだろうか。
勿論日本には日本固有の特殊事情があることは重々承知しているが、海外から怒涛の如く押し寄せるライバルと対抗する必要性も、この固有の事情があるかもしれない日本市場においてはあるわけだ。だから、そこだけ切り分けてクルマ作りなどできない。
ましてやホンダ『CR-V』は、グローバルでは75万台以上を売り上げて、世界でもベスト5に入る超人気車種。それを日本の特殊事情に合わせてクルマ作りをしていたら、間違いなく売れないクルマになる。だから、今更日本の特殊事情に目を向けてグローバルカーを作ることなど不可能なのだ。
◆フォレスターやCX-5とのコスパ比較は
実は先代のCR-Vを友人が持っていて、それに乗せてもらった時に、こりゃいいクルマじゃない…って思い、密かに自分の中ではトップレートに値するクルマだと思っていた。その友人は買い替えの際に新しいCR-Vがなく、個人的に相談を受けた時はマツダ『CX-5』を薦めたが、彼女(女性である)が購入したのはスバル『フォレスター』であった。まあそれはそれで見識があると思う。何よりコスパという点で凄まじく優れている。
そこへ行くと今回のホンダCR-Vは、少しお高い気がする。1.5リットルターボエンジンのFWDモデルが、今回の試乗車。上位グレードの「マスターピース」のお値段は381万4560円。スバルフォレスターだとeボクサーの「アドバンス」が買えておつりがたくさん来る。CX-5にしてもディーゼルを買っておつりがくる。しかもホンダはFWD(4WDもあるけれど試乗車はFWD])。一方のスバルは4WD。CX-5はどちらも選べるといった具合で、少しだけ高い。
どのクルマも最新の先進安全支援システムが搭載されていてACCも装備されるし、レーンキープアシストなども装備される。これらの出来具合が一番良いのはスバル。ホンダの場合レーンキープがちゃんと車線中央を維持するのは難しく、あっちに行ったりこっちに行ったりする。まあ、付いてますレベル。マツダのACCのレベルはそこから少し落ちる。
◆国産SUVとしてトップクラスの骨格、走り
一方で骨格の強さや走りのスマートさでは、スバルのSGPを超えると個人的には評価する。何よりもフラット感の強い乗り心地は、このセグメントの国産SUVとしてはトップクラスだろう。とにかく乗り心地に雑味がない。高速のストレートで巡航している時のスムーズさといったら大したものだ。
そんなところ走ればどんなクルマだってスムーズだろうって思うかもしれないが、実はシャシーの良くないクルマは微妙な微振動が伝わるものだ。それを僕は雑味と称するわけだが、この雑味がなかったのがこのクルマである。ステアリングに対するシャシーの応答性も素晴らしく、余計なヨーモーメントが入らず、実に素直な応答性を持っている。
1.5リットルの4気筒エンジンは、確かに190ps、240Nmと数値的には十分な性能を持っているのだが、まあ、実際に乗ってみると物足りなさを感じてしまう。特にエコモードに入っている時は、アクセルを踏み込んで前車を追い越そうとすると、自分の予想したアクセル開度より3割ほど増して踏み込まないと、意図するスピードに引き上げることが出来ない。まあ、エコを解除すればそこそこだが、動力性能的には物足りなさを感じてしまう。
◆いくつかの難点はあるけれど
室内は3列7人乗りである。2列目シートは前後にスライドが可能。それによって3列目のレッグスペースを確保できるわけだが、元々床面が高く、どうしても膝を抱える着座姿勢を強いられるから、このスライドはもっぱらラゲッジスペースの容積拡大に貢献しているという感じ。まあ、チャイルドシートが必要なくなった子供用シートの域を出ない。
このクルマ、中国とアメリカで人気のモデルのようで、言われてみるとそれらしいアクの強いデザインを感じる。まあ嫌いではない。好きでもないけれど…。
アメリカ的だなぁ…と感じたのは、今時デトロイト3のモデルでもないでしょうというくらいデカい、チリ。つまり隙間。どこにあるかというとバックドア。リアからの写真を見ていただくと、如何にドアとボディの隙間がデカいかわかる。と、いくつかの難点はあるけれど、個人的にはよくできたSUVだと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
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