ホンダ フィット 新型試乗 “未来のコンパクトカー”が身近に感じられる…まるも亜希子

ホンダ フィット 新型
◆シートの座り心地の良さはコンパクトカー随一

実家には今も初代『フィット』が現役で活躍しており、たまに乗ると「生活者のアシ」としてこれほど優れたクルマはないと実感させられる。

広い視界と車両感覚が掴みやすい運転ポジションでリラックスできること。発進から元気よくキビキビと走り、持て余すほどのパワーはないが不足もしないこと。後席は人が乗るスペースとしても、荷物を積むスペースとしても、どちらにも適していること。そして何より、燃費がいい。これも大事なことだ。

4代目となる新型フィットは、初代からするとかなりボディは大型化してしまったが、デザインは初代のフレンドリーで動物的な雰囲気に戻った。

室内に入ると、わっと驚くほどのパノラマ視界が広がる。しかもシートの座り心地の良さはコンパクトカー随一と思えるほど。クッション厚を30mmアップし、点ではなく面で支える構造にしたというだけあり、身体がホッと優しく包まれているようだ。


◆e:HEVと1.3Lガソリンの違いは

1.5リットルエンジンを発電用に使う2モーターハイブリッドの「e:HEV」に乗ると、発進からモリモリとした頼もしさと、なめらかで静かな上質感がダブルで押し寄せてくる。“未来のコンパクトカー”が身近に感じられる瞬間だ。それほどアクセルを踏み込まなくてもスーッと軽やかに走り、強く踏み込めば追い越し加速なども思い通り。それも、全体のボディ剛性がアップしたおかげもあって、すべてが丁寧な挙動でカーブでの安定感もしっかりある。乗り心地は50km/hあたりでやや硬めに感じるものの、それ以外では落ち着きがあって好印象だ。

次に1.3リットルガソリンモデルに乗ってみると、こちらもとても静かで驚いた。走り出しからすでに余裕たっぷりの加速フィールで、初代を思い出させるほどにキビキビと走るが、雑な挙動はいっさいなく磨かれた上質感が伝わってくる。これはシートの良さや、ステアリングから伝わるシッカリとした感触のおかげもあるのだろう。

とくに交差点を曲がる時に、一旦減速してから再加速するようなシーンで、加速フィールとステアリングの操舵感がバッチリとイメージ通りなのが心地いい。後席に乗ってみても、ギャップを超えた時などの振動の収まりがよく、バランスの良さが感じられた。

どちらも小回り性能では、初代の最小回転半径4.7mからやや大きい4.9m(15インチタイヤの場合)にはなっているが、パノラマ視界のおかげでむしろ扱いやすくなった印象で、狭い道での取り回しにはまったく不満を感じないのがすごい。歩行者や自転車に気づくのも早くなるので、安心感もアップ。そして後方視界が広いことも、新型フィットの美点だ。


◆初代フィットの偉大さを受け継いでいる

渋滞追従機能付きACCを含む運転支援技術「Honda SENSING」も全車標準装備で、ほとんど難が見当たらない中、あえて気になるところを探すとすれば、この新型フィットから搭載開始されたコネクト機能「Honda CONNECT」がやや安心・安全に偏っているということ。緊急時のサポートや、遠隔操作でエアコンがつけられるなどの機能ももちろん嬉しいが、「遊び」の部分がもう少し含まれているとなお魅力的かなと思った。

とはいえ、ひとり乗りからファミリーユースまでバッチリこなせる上、「HOME」や「NESS」「CROSSTAR」とバリエーションごとにガラリと変わるキャラクターを持つ新型フィットは、最新の万能カー。乗る人すべてが「自分らしく」いられるという、初代フィットの偉大さをしっかり受け継いでいる。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌『ティーポ(Tipo)』編集者を経て、カーライフ・ジャーナリストとして独立。 現在は雑誌、ウェブサイト、ラジオ、トークショーなどに出演・寄稿する他、セーフティ&エコドライブのインストラクターも務める。04年・05年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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