【開発者インタビュー】レクサスUX

レクサスUX【開発者インタビュー】
レクサスUX 開発者インタビュー

意外性を演出しました

Lexus International
Exective Vice President
チーフエンジニア
加古 慈(かこ ちか)さん

レクサスブランド初となる、コンパクトクロスオーバーモデル「UX」。その開発に込めた思いを、チーフエンジニアの加古 慈さんと、デザインを取りまとめた三木鉄雄さんに語ってもらった。

見晴らしのよさにこだわった

2018年3月のジュネーブモーターショーでデビューした「レクサスUX」。国内では同年11月に販売が開始された。
2018年3月のジュネーブモーターショーでデビューした「レクサスUX」。国内では同年11月に販売が開始された。
「レクサスUX」の国内セールスは、発売前に月間目標販売台数のおよそ6倍にあたる5500台を受注するなど、好調と伝えられる。
「レクサスUX」の国内セールスは、発売前に月間目標販売台数のおよそ6倍にあたる5500台を受注するなど、好調と伝えられる。
インテリアは、前方への抜けのよさや水平方向の見晴らしのよさにこだわってデザインされている。Aピラーは感覚的にも細く見えるよう配慮したという。
インテリアは、前方への抜けのよさや水平方向の見晴らしのよさにこだわってデザインされている。Aピラーは感覚的にも細く見えるよう配慮したという。
ダッシュボードの中央にレイアウトされる大型ディスプレイ。周辺のパネルは和紙調のシボを施すことで日本の美意識が表現されている。
ダッシュボードの中央にレイアウトされる大型ディスプレイ。周辺のパネルは和紙調のシボを施すことで日本の美意識が表現されている。
<加古 慈さんプロフィール>1989年トヨタ自動車入社。2001年より3年間、トヨタモーターヨーロッパに出向。マイナーチェンジを機に、レクサスのハッチバック「CT」のチーフエンジニアを担当。2018年1月から常務役員とLexus International Exective Vice Presidentを兼務。
<加古 慈さんプロフィール>1989年トヨタ自動車入社。2001年より3年間、トヨタモーターヨーロッパに出向。マイナーチェンジを機に、レクサスのハッチバック「CT」のチーフエンジニアを担当。2018年1月から常務役員とLexus International Exective Vice Presidentを兼務。
同じ「X」が付くので三兄弟とよく言われるんですが、私としてはお兄ちゃんたちに負ける気はなくて(笑)。

控えめな笑顔で、そう言い切った。加古 慈さんにとって、UXはレクサスの高級クロスオーバーSUV「RX」「NX」と同じラインのモデルではない。そもそも、SUVとひとくくりにされることに納得がいかないようである。「二律双生」で新しいものを作ろうとしたという、ニューモデルへの思いを聞いた。

――SUVと言っておけば売れる時代ですが、それはイヤなんですか?

クロスオーバーというジャンルにはいろいろなものがありますが、その中で新しいものを作りたかったんです。見た目はSUV然とした力強さがあって、運転するとハッチバックのように運転を楽しめるクルマ。普通に考えれば、車高が高いとロールが大きめになって、キビキビ走るというテイストにはならない。でも、両方とも欲張って、本来相反すると思われるものを両立させたいと思ったんですね。それがレクサスの二律双生です。

――見た目と乗り込んだ時の印象が違いますね。

車高は高いんですが、ドライビングポジションはアップライトな姿勢ではなくてクーペやセダンのよう。そこで「えっ?」という驚きがある。座るとすぐ、SUVっぽくないと感じるわけです。それがいい意味でのギャップ、意外性でしょう。

――背が高いクルマに乗ると視点が高くて運転しやすいと言う女性が多いと聞きますが……。

確かに、女性がクロスオーバーに乗るメリットのひとつは見晴らしのよさ。このクルマは見下ろす感じではないけれど、水平方向の見晴らしのよさや開放感にはこだわりました。右左折の際に顔を動かさなきゃいけないようなクルマだけは絶対イヤだ! と思って、チームのみんなに視界の確保ということは特にお願いしました。具体的にはAピラーを構造的に細くする、そして感覚的にも細く見せる。死角がなくなるようにアウターミラーを配置する。そして、インパネの上面をできるだけ低くして、その上にあるディスプレイのポジションも下げるんです。私のドラポジから見てもディスプレイで前方の視界が妨害されるということがないんですね。

2018年3月のジュネーブモーターショーでデビューした「レクサスUX」。国内では同年11月に販売が開始された。
2018年3月のジュネーブモーターショーでデビューした「レクサスUX」。国内では同年11月に販売が開始された。
「レクサスUX」の国内セールスは、発売前に月間目標販売台数のおよそ6倍にあたる5500台を受注するなど、好調と伝えられる。
「レクサスUX」の国内セールスは、発売前に月間目標販売台数のおよそ6倍にあたる5500台を受注するなど、好調と伝えられる。
インテリアは、前方への抜けのよさや水平方向の見晴らしのよさにこだわってデザインされている。Aピラーは感覚的にも細く見えるよう配慮したという。
インテリアは、前方への抜けのよさや水平方向の見晴らしのよさにこだわってデザインされている。Aピラーは感覚的にも細く見えるよう配慮したという。
ダッシュボードの中央にレイアウトされる大型ディスプレイ。周辺のパネルは和紙調のシボを施すことで日本の美意識が表現されている。
ダッシュボードの中央にレイアウトされる大型ディスプレイ。周辺のパネルは和紙調のシボを施すことで日本の美意識が表現されている。
<加古 慈さんプロフィール>1989年トヨタ自動車入社。2001年より3年間、トヨタモーターヨーロッパに出向。マイナーチェンジを機に、レクサスのハッチバック「CT」のチーフエンジニアを担当。2018年1月から常務役員とLexus International Exective Vice Presidentを兼務。
<加古 慈さんプロフィール>1989年トヨタ自動車入社。2001年より3年間、トヨタモーターヨーロッパに出向。マイナーチェンジを機に、レクサスのハッチバック「CT」のチーフエンジニアを担当。2018年1月から常務役員とLexus International Exective Vice Presidentを兼務。

和紙の触感は想定以上

「UX」を開発するにあたって、「女性開発者ということで特に工夫した点はない」と語る加古さん。ただ、自身の(小柄な)体格でも自然に操作・操縦できるように配慮したという。
「UX」を開発するにあたって、「女性開発者ということで特に工夫した点はない」と語る加古さん。ただ、自身の(小柄な)体格でも自然に操作・操縦できるように配慮したという。
センターコンソールに並ぶ、インフォテインメントシステムの操作スイッチ。オーディオの操作系は、アームレストの前端(写真中央下)にレイアウトされている。
センターコンソールに並ぶ、インフォテインメントシステムの操作スイッチ。オーディオの操作系は、アームレストの前端(写真中央下)にレイアウトされている。
日本伝統の「刺し子」のパターンを生かしてデザインされたシート。写真は“バージョンL”のもの。
日本伝統の「刺し子」のパターンを生かしてデザインされたシート。写真は“バージョンL”のもの。
ボディーカラーは、レクサス初の「ブレージングカーネリアンコントラストレイヤリング」(写真)を含む全13色がラインナップされる。
ボディーカラーは、レクサス初の「ブレージングカーネリアンコントラストレイヤリング」(写真)を含む全13色がラインナップされる。
切削加工とダークグレーメタリック塗装が施された18インチアルミホイール。
切削加工とダークグレーメタリック塗装が施された18インチアルミホイール。
――その方針をチームのメンバーの間でどうやって共有したんですか?

このクルマのよさは見晴らしのよさであるということを否定する人はいませんよね。思いが共有できれば、どうすべきかをそれぞれのメンバーが考えてくれる。インパネの上面を下げるために、通常はセンタークラスターの前面にあるオーディオのスイッチをコンソールの前方に移しました。アームレストを前方に長く持ってこられれば、私のように前のほうに座るドライバーでもアームレストが後ろ過ぎてヒジがかからないというようなことが起きない。そういうことを成り立たせるためにインテリアのデザイナー、人間工学、スイッチの設計、インパネの設計、それぞれのメンバーが徹底的に検討して作り上げてくれたんです。

――和紙をモチーフにした素材のダッシュボードはとても触り心地がいいですね。加古さんはもともと素材が専門分野だそうですが……。

内装や外装に使われるプラスチックなどを開発する部署にいました。どんな素材を使うとどんな仕上がりになるかはだいたい想定できますが、和紙の触感がここまで繊細に再現できたのは想定以上でした。和紙のようだけど和紙じゃないよね、どうやって作っているんだろう? と思ってもらえたらうれしいですね。

――そこにも意外性がある?

興味を持っていただくのが大事なポイントですから。

――UXにはどういう人に乗ってほしいですか?

狭く限定するわけではありませんが、ミレニアル世代のテックサビーと呼ばれる人たちのことは意識しました。デジタルネイティブで情報収集能力にたけていて、選択眼が自然に備わっている。高級品を買うより家具でも何でも自作するし、自分にとって何が大切かを考えて日々楽しく暮らしている。そういう人たちに選んでもらえるワクワクするようなクルマを作りたいという思いがあるので、クリエイティブ・アーバン・エクスプローラーというコンセプトなんです。

――UXの不思議なCMは、そのコンセプトを表現しているんですか?

あれって、意味がわからないうちに、「何? 何? 何?」といううちに終わるじゃないですか。それがミソです(笑)。みなさんの気に止まれば成功。登場している人たちがそのままターゲットのユーザー像ということではありませんよ。

「UX」を開発するにあたって、「女性開発者ということで特に工夫した点はない」と語る加古さん。ただ、自身の(小柄な)体格でも自然に操作・操縦できるように配慮したという。
「UX」を開発するにあたって、「女性開発者ということで特に工夫した点はない」と語る加古さん。ただ、自身の(小柄な)体格でも自然に操作・操縦できるように配慮したという。
センターコンソールに並ぶ、インフォテインメントシステムの操作スイッチ。オーディオの操作系は、アームレストの前端(写真中央下)にレイアウトされている。
センターコンソールに並ぶ、インフォテインメントシステムの操作スイッチ。オーディオの操作系は、アームレストの前端(写真中央下)にレイアウトされている。
日本伝統の「刺し子」のパターンを生かしてデザインされたシート。写真は“バージョンL”のもの。
日本伝統の「刺し子」のパターンを生かしてデザインされたシート。写真は“バージョンL”のもの。
ボディーカラーは、レクサス初の「ブレージングカーネリアンコントラストレイヤリング」(写真)を含む全13色がラインナップされる。
ボディーカラーは、レクサス初の「ブレージングカーネリアンコントラストレイヤリング」(写真)を含む全13色がラインナップされる。
切削加工とダークグレーメタリック塗装が施された18インチアルミホイール。
切削加工とダークグレーメタリック塗装が施された18インチアルミホイール。

みんなの助けで実現できた

「UX」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4495×1840×1540mm。洗練された都市生活に合うパッケージングが追求されている。
「UX」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4495×1840×1540mm。洗練された都市生活に合うパッケージングが追求されている。
「UX」には、スポーティーグレード「Fスポーツ」も設定される。写真はその専用シートで、大きく張り出したサイドサポートやヘッドレスト部のエンボス加工が特徴。
「UX」には、スポーティーグレード「Fスポーツ」も設定される。写真はその専用シートで、大きく張り出したサイドサポートやヘッドレスト部のエンボス加工が特徴。
「レクサスUX」にはハイブリッド車(写真)と自然吸気のガソリンエンジン搭載車がラインナップされる。ともに、エンジンは新開発の2リッター直4ユニットが採用されている。
「レクサスUX」にはハイブリッド車(写真)と自然吸気のガソリンエンジン搭載車がラインナップされる。ともに、エンジンは新開発の2リッター直4ユニットが採用されている。
欧州での駐在経験もある加古さん。かの地での生活は、“ラグジュアリー”が物質的なことにとどまらず、心を満たす豊かな時間や空間であることを教えてくれたという。
欧州での駐在経験もある加古さん。かの地での生活は、“ラグジュアリー”が物質的なことにとどまらず、心を満たす豊かな時間や空間であることを教えてくれたという。
――女性視点ということはあまり言われたくないそうですね。

男性のチーフエンジニアに男性ならではの視点がどうかなんて聞きませんよね(笑)。ただ、女性が乗って気に入ってもらえるとは思いますよ。私は「LC」が好きなんですが、私が乗るとかなりシートを上げて前に出すことになり、外から見るとカッコ悪くなってしまうんです。UXは普通にドラポジをとって不自然にはならない。

――ほかにも女性が関わったことで違いが出たところがあるのでは?

かもしれませんね。男性のエンジニアに「僕だったらそこにはコストかけないな」と言われました(笑)。何にプライオリティーを置くかはチーフエンジニアによって違います。女性だからなのかどうかは自分ではわかりませんが、プライオリティーを置いたところがほかのクルマとは違うのであれば、それが私のやった印ということなのかな。

――クルマ作りの現場は圧倒的に男が多いんじゃないですか?

チーフエンジニアはまだ私だけですからね。社内の試乗会などで何十人も集まった時に、女性は私1人だったりすることがよくあります。エンジニアリングを勉強する女性が少ない上に、自動車会社で働くイメージがないんです。増えてくれるとうれしいんですけど。

――女性の働き場所としてトヨタはどうですか?

「トヨタでそのポジションは苦労するでしょ?」とよく聞かれるんですが、むしろ珍しがられて覚えてもらえます。トヨタには志が共有できれば助けてくれる風土があるので、本当にみんなに助けてもらってこのクルマができたと思っていますよ。女性ということよりも材料のエンジニアがチーフエンジニアをやっているということのほうがよっぽどタフ。普通はシャシー設計、ボディー設計、エンジン開発のエンジニアですから。

――でも、どの分野の専門家でもクルマのすべてをわかるわけではないから条件は同じですよね?

そうなんです。だから私も広く浅く理解できるように勉強するんですが、その上でわからないことはわからないと言う。みんながアイデアを出してくれますから、それを信頼すればいい。意地を張らずにわからないと言ったほうがうまくいきますよ(笑)。

「UX」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4495×1840×1540mm。洗練された都市生活に合うパッケージングが追求されている。
「UX」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4495×1840×1540mm。洗練された都市生活に合うパッケージングが追求されている。
「UX」には、スポーティーグレード「Fスポーツ」も設定される。写真はその専用シートで、大きく張り出したサイドサポートやヘッドレスト部のエンボス加工が特徴。
「UX」には、スポーティーグレード「Fスポーツ」も設定される。写真はその専用シートで、大きく張り出したサイドサポートやヘッドレスト部のエンボス加工が特徴。
「レクサスUX」にはハイブリッド車(写真)と自然吸気のガソリンエンジン搭載車がラインナップされる。ともに、エンジンは新開発の2リッター直4ユニットが採用されている。
「レクサスUX」にはハイブリッド車(写真)と自然吸気のガソリンエンジン搭載車がラインナップされる。ともに、エンジンは新開発の2リッター直4ユニットが採用されている。
欧州での駐在経験もある加古さん。かの地での生活は、“ラグジュアリー”が物質的なことにとどまらず、心を満たす豊かな時間や空間であることを教えてくれたという。
欧州での駐在経験もある加古さん。かの地での生活は、“ラグジュアリー”が物質的なことにとどまらず、心を満たす豊かな時間や空間であることを教えてくれたという。

キーワードはセキュア

<三木鉄雄さんプロフィール>1970年兵庫県生まれ。1994年トヨタ自動車入社。電気自動車「e-com」、初代「ノア/ヴォクシー」、4代目「4Runner(フォーランナー、日本名はハイラックスサーフ)」などのインテリアデザインを担当。2001年から2005年までCalty Design Research, Incに出向。2012年レクサスデザイン部に異動し、「NX」および「CT」(マイナーチェンジモデル)のデザインをまとめた。2015年より現職。
<三木鉄雄さんプロフィール>1970年兵庫県生まれ。1994年トヨタ自動車入社。電気自動車「e-com」、初代「ノア/ヴォクシー」、4代目「4Runner(フォーランナー、日本名はハイラックスサーフ)」などのインテリアデザインを担当。2001年から2005年までCalty Design Research, Incに出向。2012年レクサスデザイン部に異動し、「NX」および「CT」(マイナーチェンジモデル)のデザインをまとめた。2015年より現職。
「UX」では“セキュア”、すなわちSUVに備わる安心感や守られ感、力強さ、見晴らしのよさなどをキーワードに独自の価値が追求された。
「UX」では“セキュア”、すなわちSUVに備わる安心感や守られ感、力強さ、見晴らしのよさなどをキーワードに独自の価値が追求された。
サイドビューは、エッジの効いたデザインのホイールハウスや後方に向かってキックアップするキャラクターラインで躍動感が演出されている。
サイドビューは、エッジの効いたデザインのホイールハウスや後方に向かってキックアップするキャラクターラインで躍動感が演出されている。
フィン形状のリアコンビランプは、レーシングカーのリアスポイラーを意識してデザインしたもの。機能美を盛り込んだ、新たな試みといえる。
フィン形状のリアコンビランプは、レーシングカーのリアスポイラーを意識してデザインしたもの。機能美を盛り込んだ、新たな試みといえる。
そんなUXのデザインはどのようにして生まれたのか。プロダクトチーフデザイナーの三木鉄雄さんに聞いた。

――高く見えるようにしろ、でも車高とヒップポイントを低くしろと、厳しい要求があったようですね。

加古が一方的に言ったわけじゃないから、覚悟してやりました(笑)。難しかったのは確かで、UXは「トヨタC-HR」よりも重心が低くなっていますから。ボディーを分厚く見せて中にいたらスペースを感じられるように工夫しました。

――最初はどういう方向性でデザインが始まったんですか?

このサイズ、このカテゴリーで最後発ですし、NXというクルマがありますからどういう違いを持たせるかというのが悩みどころでした。SUVが持っている力強さと走りのよさをどうやって融合させるか。“セキュア”というキーワードを見つけて、これだったら新しいものができるんじゃないかと思いましたね。SUVの持っている見晴らしのよさ、安心感、守られ感を走りのアジャイルというところとしっかり結び付ければいい。

――チーフエンジニアは新しいジャンルということを強調していました。

レクサスブランドとして出す意義、NXとの違いをどう表現するかなど、課題がたくさんありました。議論する中で、極端なものを突き詰めてかけ合わせたほうが面白いものができるんじゃないかという話になったんです。今までと違うチャレンジをしなければ、本当に新しいものは生まれないんじゃないか、と。

――具体的にはどういうところでしょう?

例えば、軽装甲車とレーシングカーです。軽装甲車というのは軍用のクルマで、どこの断面も六角形になっている。強い構造で、ぶつかっても壊れない。それとレーシングカーのアジャイルという面をかけ合わせるんです。UXのボディーは六角形的にできていて強さを見せ、凝縮した鉄のカタマリ感もある。そこにレーシングカーのリアスポイラーの要素を入れるんですね。

<三木鉄雄さんプロフィール>1970年兵庫県生まれ。1994年トヨタ自動車入社。電気自動車「e-com」、初代「ノア/ヴォクシー」、4代目「4Runner(フォーランナー、日本名はハイラックスサーフ)」などのインテリアデザインを担当。2001年から2005年までCalty Design Research, Incに出向。2012年レクサスデザイン部に異動し、「NX」および「CT」(マイナーチェンジモデル)のデザインをまとめた。2015年より現職。
<三木鉄雄さんプロフィール>1970年兵庫県生まれ。1994年トヨタ自動車入社。電気自動車「e-com」、初代「ノア/ヴォクシー」、4代目「4Runner(フォーランナー、日本名はハイラックスサーフ)」などのインテリアデザインを担当。2001年から2005年までCalty Design Research, Incに出向。2012年レクサスデザイン部に異動し、「NX」および「CT」(マイナーチェンジモデル)のデザインをまとめた。2015年より現職。
「UX」では“セキュア”、すなわちSUVに備わる安心感や守られ感、力強さ、見晴らしのよさなどをキーワードに独自の価値が追求された。
「UX」では“セキュア”、すなわちSUVに備わる安心感や守られ感、力強さ、見晴らしのよさなどをキーワードに独自の価値が追求された。
サイドビューは、エッジの効いたデザインのホイールハウスや後方に向かってキックアップするキャラクターラインで躍動感が演出されている。
サイドビューは、エッジの効いたデザインのホイールハウスや後方に向かってキックアップするキャラクターラインで躍動感が演出されている。
フィン形状のリアコンビランプは、レーシングカーのリアスポイラーを意識してデザインしたもの。機能美を盛り込んだ、新たな試みといえる。
フィン形状のリアコンビランプは、レーシングカーのリアスポイラーを意識してデザインしたもの。機能美を盛り込んだ、新たな試みといえる。

“畑違いの仲間”が味方に

「UX」のボディーは、空力性能をはじめとする機能性にも配慮してデザインされている。写真はフェンダー部の特徴について説明する三木さん。
「UX」のボディーは、空力性能をはじめとする機能性にも配慮してデザインされている。写真はフェンダー部の特徴について説明する三木さん。
フロントまわりは、ブロックメッシュパターンのスピンドルグリルとL字型のヘッドランプが特徴となっている。
フロントまわりは、ブロックメッシュパターンのスピンドルグリルとL字型のヘッドランプが特徴となっている。
「人を中心として捉え、凝縮された安心感のあるキャビン」を目標にデザインされたインテリア。センターコンソールは、ドライバー側に傾けられている。
「人を中心として捉え、凝縮された安心感のあるキャビン」を目標にデザインされたインテリア。センターコンソールは、ドライバー側に傾けられている。
日本国内を皮切りに発売された「レクサスUX」。今後は世界の約80カ国で展開される。
日本国内を皮切りに発売された「レクサスUX」。今後は世界の約80カ国で展開される。
――言葉ではわかりますが、実際に形にするのは大変なのでは?

空力の実験や設計のメンバーと一緒にやっていて、彼らが味方になってくれたんです。リアスポイラーの形状で端のほうを上げると操縦安定性に効くんじゃないかと。デザイン的にも性能的にもやったほうがいいということになり、背中を押してもらえました。ホイールアーチをWRCのマシンのように前が丸くて後ろがストンと落ちる形状にしたのも、空気をいなしてうまく流すことにつながっています。

――クリエイティブ・アーバン・エクスプローラーということで、あまりいかつい感じにはしなかったんですね。

アーバンで、泥まみれではない。見た目の部分でSUVの要素が入っているとカッコいいし、ぶつかっても大丈夫という見え方であれば安心感があります。

――内装も同じテーマだったんですか?

セキュアということで、見晴らしをよくすることにはこだわりました。ヒップポイントは低いんですが、ダッシュボードの位置を下げることで見晴らしはよくなっています。中と外を連続して見せる工夫もしていますよ。ダッシュボードの最上部がボンネットフードと連なっているような見え方にしました。キャラクターラインとつなげて抜けのよさを見せるんです。三角窓もありますから、見晴らしがよくなります。

――女性のチーフエンジニアということで意識したことはありますか?

いや、特にないですね。たまたま女性だったというだけで。素材が専門ということのほうが珍しいですよ。やっぱり素材のマッチングについては厳しく言われました。質感の異なるシボなんかが混在しているのはダメですよね。しっかりと整理してシンプルにというのは強く言われました。もちろん僕らも同じ考えです。だから、いくら要求が厳しくても「もちろんやりますよ、当たり前じゃないですか!」って返していました(笑)。

(文=鈴木真人/写真=webCG/編集=関 顕也)

「UX」のボディーは、空力性能をはじめとする機能性にも配慮してデザインされている。写真はフェンダー部の特徴について説明する三木さん。
「UX」のボディーは、空力性能をはじめとする機能性にも配慮してデザインされている。写真はフェンダー部の特徴について説明する三木さん。
フロントまわりは、ブロックメッシュパターンのスピンドルグリルとL字型のヘッドランプが特徴となっている。
フロントまわりは、ブロックメッシュパターンのスピンドルグリルとL字型のヘッドランプが特徴となっている。
「人を中心として捉え、凝縮された安心感のあるキャビン」を目標にデザインされたインテリア。センターコンソールは、ドライバー側に傾けられている。
「人を中心として捉え、凝縮された安心感のあるキャビン」を目標にデザインされたインテリア。センターコンソールは、ドライバー側に傾けられている。
日本国内を皮切りに発売された「レクサスUX」。今後は世界の約80カ国で展開される。
日本国内を皮切りに発売された「レクサスUX」。今後は世界の約80カ国で展開される。

[提供元:(株)webCG]Powered by webCG

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