【試乗記】トヨタ・カローラ/カローラ ツーリング/カローラ スポーツ

トヨタ・カローラ/カローラ ツーリング/カローラ スポーツ【試乗記】
トヨタ・カローラ/カローラ ツーリング/カローラ スポーツ

ニッポンのカローラ

1966年以来の伝統を誇る「トヨタ・カローラ」の現行モデルに、4ドアセダンとワゴンの「ツーリング」が登場。専用設計のショート&ナローなボディーを持つ日本仕様の出来栄えやいかに? 足まわりに改良を受けた「カローラ スポーツ」の走りもあわせて報告する。

涙ぐましい日本仕様の努力

12世代目となる現行型「カローラ」。2018年6月にまずは5ドアの「スポーツ」から販売が開始され、セダンとワゴンは1年遅れての上市となった。
12世代目となる現行型「カローラ」。2018年6月にまずは5ドアの「スポーツ」から販売が開始され、セダンとワゴンは1年遅れての上市となった。
「カローラ」という車名のもと、仕向け地によって異なるクルマが販売されていた従来モデルに対し、現行型は「GA-C」プラットフォームに車台を統一。ただし、日本仕様のみ、取り回しのよいコンパクトなボディーが与えられている。
「カローラ」という車名のもと、仕向け地によって異なるクルマが販売されていた従来モデルに対し、現行型は「GA-C」プラットフォームに車台を統一。ただし、日本仕様のみ、取り回しのよいコンパクトなボディーが与えられている。
インストゥルメントパネルまわりの意匠は、基本的にセダン、ワゴン、ハッチバックで共通。広い視界を確保すべく、ダッシュボードやAピラーの形状などに工夫がなされている。
インストゥルメントパネルまわりの意匠は、基本的にセダン、ワゴン、ハッチバックで共通。広い視界を確保すべく、ダッシュボードやAピラーの形状などに工夫がなされている。
フルモデルチェンジでセダンは「カローラ アクシオ」から「カローラ」へ、ワゴンは「カローラ フィールダー」から「カローラ ツーリング」へと車名が改められた。
フルモデルチェンジでセダンは「カローラ アクシオ」から「カローラ」へ、ワゴンは「カローラ フィールダー」から「カローラ ツーリング」へと車名が改められた。
ついに3ナンバー車となって、やれ日本軽視だ、カローラよお前もか……といわれる新型カローラ(のセダンとツーリング)だが、実物は思っていたより小さかった。

先日のコラムでも書かせていただいたとおり、新しいカローラは骨格構造を全世界向けで「GA-C」プラットフォーム(=5ナンバー不可)に統一しつつも、車体サイズを日本専用にギリギリまでショート&ナローにしている。全幅は、国内で“使える”と実証済み(?)の先代「プリウス」と同寸の1745mmとして、全長も同車とほぼ同等のアンダー4.5mにおさめた。さらに“低重心”を大きな売りとするGA-Cの利点を生かすべく、新型カローラの全高はわずか1435mm(ルーフアンテナなしのセダンの場合)と先代プリウスより明らかに低くしてあるので、なおさら小さく見えるのだ。

しかし、それだけでは飽き足らず(?)、ドアアトリム後端部を斜めに削り取ったようなカタチにして、乗降時における実際のドア開閉幅も5ナンバーの先代と同等にしたり、ドアミラーもギリギリまで上げて寄せることで、格納時の車両幅を先代の10mm増(片側5mmずつ)におさめたりしている。

ただでさえ軽自動車偏重の日本市場で、カローラどころか国産車ですらなく、わざわざ某フランス車なんぞに乗っている私は“ここまでやっていただいて、逆にすみません”と平身低頭するしかない。

新型カローラのグローバルモデルは、たとえばセダンでいえば「ホンダ・シビック」や「スバルWRX」とドンピシャサイズである。対する日本仕様のセダン/ツーリングは、幅方向はフェンダーやドア、サイドパネルなどの肉づけを削り取ることで、長さ方向ではセンターピラーより前方を基本的にグローバル共通設計としつつ、ホイールベースとリアオーバーハングを短縮することで、小型化している。

12世代目となる現行型「カローラ」。2018年6月にまずは5ドアの「スポーツ」から販売が開始され、セダンとワゴンは1年遅れての上市となった。
12世代目となる現行型「カローラ」。2018年6月にまずは5ドアの「スポーツ」から販売が開始され、セダンとワゴンは1年遅れての上市となった。
「カローラ」という車名のもと、仕向け地によって異なるクルマが販売されていた従来モデルに対し、現行型は「GA-C」プラットフォームに車台を統一。ただし、日本仕様のみ、取り回しのよいコンパクトなボディーが与えられている。
「カローラ」という車名のもと、仕向け地によって異なるクルマが販売されていた従来モデルに対し、現行型は「GA-C」プラットフォームに車台を統一。ただし、日本仕様のみ、取り回しのよいコンパクトなボディーが与えられている。
インストゥルメントパネルまわりの意匠は、基本的にセダン、ワゴン、ハッチバックで共通。広い視界を確保すべく、ダッシュボードやAピラーの形状などに工夫がなされている。
インストゥルメントパネルまわりの意匠は、基本的にセダン、ワゴン、ハッチバックで共通。広い視界を確保すべく、ダッシュボードやAピラーの形状などに工夫がなされている。
フルモデルチェンジでセダンは「カローラ アクシオ」から「カローラ」へ、ワゴンは「カローラ フィールダー」から「カローラ ツーリング」へと車名が改められた。
フルモデルチェンジでセダンは「カローラ アクシオ」から「カローラ」へ、ワゴンは「カローラ フィールダー」から「カローラ ツーリング」へと車名が改められた。

もはやわざわざナビを買う時代ではない?

シートの仕様はグレードによって異なり、上級グレード「W×B」にはファブリックの快適性とレザーの質感を併せ持つレザテックと合成皮革のコンビシートが装備される。
シートの仕様はグレードによって異なり、上級グレード「W×B」にはファブリックの快適性とレザーの質感を併せ持つレザテックと合成皮革のコンビシートが装備される。
「ツーリング」のリアシートは6:4の2分割可倒式。セダンでは「W×B」のみ同様の可倒機構が付いており、その他のグレードにはスルーローディング機構は備わらない。
「ツーリング」のリアシートは6:4の2分割可倒式。セダンでは「W×B」のみ同様の可倒機構が付いており、その他のグレードにはスルーローディング機構は備わらない。
「W×B」に用意されるホワイト/ブラックのツートンシート。ステアリングヒーターや前席ヒートシーターとのセットオプションで用意され、選択するとドアアームレストやセンターコンソールのフタもホワイトとなる。
「W×B」に用意されるホワイト/ブラックのツートンシート。ステアリングヒーターや前席ヒートシーターとのセットオプションで用意され、選択するとドアアームレストやセンターコンソールのフタもホワイトとなる。
ディスプレイオーディオの画面サイズは、標準仕様が7インチ、オプションが9インチ(写真)。ともにスマートデバイスリンクに対応しており、携帯端末にダウンロードした専用アプリをこの画面で操作できる。オプションで、メモリーナビをこの画面で動かす「T-Connectナビキット」も用意される。
ディスプレイオーディオの画面サイズは、標準仕様が7インチ、オプションが9インチ(写真)。ともにスマートデバイスリンクに対応しており、携帯端末にダウンロードした専用アプリをこの画面で操作できる。オプションで、メモリーナビをこの画面で動かす「T-Connectナビキット」も用意される。
よって、日本の新型カローラ セダン/ツーリングは、車体後半がギュッと凝縮された尻軽感あるスタイルが特徴だ。このプロポーションを“軽快でスポーツ的”と受け取るか“アンバランス”と感じるかは人それぞれだろう。

インテリアデザインは先行発売されたハッチバックのカローラ スポーツと共通である。先代モデル(=「オーリス」)までの欧州戦略は、「『フォルクスワーゲン・ゴルフ』と同サイズながら価格は割安」であることを売りにしていたが、欧州でもあらためてカローラの名を復活させた新型では、価格でも品質でもゴルフにガチンコで競合させるらしい。

そういわれてみると、なるほど柔らかい手ざわりのダッシュボードにステッチ入りのレザーを重ねる凝った製法や、繊細なメッキ部品など、その質感は高級車ぞろいの最新欧州Cセグメント各車と比較しても大きく引けを取らない。

ただ、私のような中高年オヤジ(=カローラの仮想顧客層ど真ん中?)にとって最大の驚きは、今回から7インチカラー液晶を核とした「ディスプレイオーディオ(DA)」を、スポーツも含めた全車が標準装備としたことだ。

新型カローラ標準のDAでは、先日公開された「LINEカーナビ」のアプリをダウンロードしたスマホを持っていれば、それを接続するだけでナビが使える。このDAは世界の四輪・二輪自動車メーカー連合による第3の(?)車載スマホ連携システムといえる「スマートデバイスリンク=SDL」を使っている。しかも、新型カローラでは、この方面の先達であるAndroid AutoやApple CarPlayへの対応もあえてオプションあつかいだ。

もっとも、今のところはDAで従来どおりのメモリーナビを走らせる機能もオプションで用意される(今回の取材車はすべてこれだった)。しかし、よりによってトヨタが、それも他でもないカローラで、ここまであからさまに「これからの車載インフォテインメントはスマホ連携ですよ、ナビはもはや買う時代ではないですよ」と宣言したことはエポックだと思う。

シートの仕様はグレードによって異なり、上級グレード「W×B」にはファブリックの快適性とレザーの質感を併せ持つレザテックと合成皮革のコンビシートが装備される。
シートの仕様はグレードによって異なり、上級グレード「W×B」にはファブリックの快適性とレザーの質感を併せ持つレザテックと合成皮革のコンビシートが装備される。
「ツーリング」のリアシートは6:4の2分割可倒式。セダンでは「W×B」のみ同様の可倒機構が付いており、その他のグレードにはスルーローディング機構は備わらない。
「ツーリング」のリアシートは6:4の2分割可倒式。セダンでは「W×B」のみ同様の可倒機構が付いており、その他のグレードにはスルーローディング機構は備わらない。
「W×B」に用意されるホワイト/ブラックのツートンシート。ステアリングヒーターや前席ヒートシーターとのセットオプションで用意され、選択するとドアアームレストやセンターコンソールのフタもホワイトとなる。
「W×B」に用意されるホワイト/ブラックのツートンシート。ステアリングヒーターや前席ヒートシーターとのセットオプションで用意され、選択するとドアアームレストやセンターコンソールのフタもホワイトとなる。
ディスプレイオーディオの画面サイズは、標準仕様が7インチ、オプションが9インチ(写真)。ともにスマートデバイスリンクに対応しており、携帯端末にダウンロードした専用アプリをこの画面で操作できる。オプションで、メモリーナビをこの画面で動かす「T-Connectナビキット」も用意される。
ディスプレイオーディオの画面サイズは、標準仕様が7インチ、オプションが9インチ(写真)。ともにスマートデバイスリンクに対応しており、携帯端末にダウンロードした専用アプリをこの画面で操作できる。オプションで、メモリーナビをこの画面で動かす「T-Connectナビキット」も用意される。

このサイズのセダン/ワゴンは貴重

足元の仕様はグレードによって異なり、「W×B」には17インチアルミホイールと215/45R17サイズのタイヤが組み合わされる。
足元の仕様はグレードによって異なり、「W×B」には17インチアルミホイールと215/45R17サイズのタイヤが組み合わされる。
パワートレインの種類は1.8リッターエンジン+ハイブリッド(写真)と1.8リッターエンジン、1.2リッターターボエンジンの3種類。セダンとワゴンでは1.2リッターターボ仕様は完全に「走りを楽しむユニット」という扱いで、トランスミッションはMTしか用意されない。
パワートレインの種類は1.8リッターエンジン+ハイブリッド(写真)と1.8リッターエンジン、1.2リッターターボエンジンの3種類。セダンとワゴンでは1.2リッターターボ仕様は完全に「走りを楽しむユニット」という扱いで、トランスミッションはMTしか用意されない。
「W×B」には3色、その他のグレードには7色のボディーカラーが用意される「カローラ」と「カローラ ツーリング」。ただし、「カローラ スポーツ」には設定のあるブラックルーフのツートンカラーは用意されていない。
「W×B」には3色、その他のグレードには7色のボディーカラーが用意される「カローラ」と「カローラ ツーリング」。ただし、「カローラ スポーツ」には設定のあるブラックルーフのツートンカラーは用意されていない。
今回は横浜みなとみらい周辺の市街地と都市高速で試乗車をとっかえひっかえ……という“チョイ乗り”にかぎられたが、低重心でフラット挙動を売りにするGA-Cの利点は如実だった。ベタッと低く路面にへばりついて、前後左右の挙動も最小限に、まさに“ミズスマシ”のように車線変更や旋回をこなす機動性は、TNGA(≒新しいクルマづくり手法)を掲げる最新世代のトヨタの典型である。

GA-Cの低重心化策は各部のハードウエアを低く搭載するだけでなく、乗る人間も低く座らせるのが特徴だ。カローラには初心者やシニア向け実用車の役割もあるはずだが、良好な見晴らしや乗降性を求める向きは同じGA-Cを使うクロスオーバーの「C-HR」をどうぞ……という割り切りなのか、カローラの運転環境はスポーツクーペのごとしである。設計上のヒップポイントはおそらくGA-C第1号の現行プリウスと同等のはずだが、インテリアもより低重心志向の意匠をもつカローラは、その機動性もあいまってスポーツカー的ですらある。

さらに、プリウスよりホイールベースが短くて軽いカローラは、同じ1.8リッターハイブリッド車でも、走りがはっきりと軽快で俊敏。今回のように1~2人乗車ではとくに、良くも悪くも、プリウスのような後ろに長いものを背負ったような重厚感もない。

冒頭の車体サイズのくだりで、開発陣から「先代プリウスを参考にした」と聞いたからでもないのだが、先代プリウスそのものの新型カローラのサイズ感と軽快感に、「やっぱ日本で乗るならはこのサイズだよな」と納得してしまうチョロい私である。いずれにしても、この大きさのセダン、ステーションワゴンというのも、なかなか貴重だ。

足元の仕様はグレードによって異なり、「W×B」には17インチアルミホイールと215/45R17サイズのタイヤが組み合わされる。
足元の仕様はグレードによって異なり、「W×B」には17インチアルミホイールと215/45R17サイズのタイヤが組み合わされる。
パワートレインの種類は1.8リッターエンジン+ハイブリッド(写真)と1.8リッターエンジン、1.2リッターターボエンジンの3種類。セダンとワゴンでは1.2リッターターボ仕様は完全に「走りを楽しむユニット」という扱いで、トランスミッションはMTしか用意されない。
パワートレインの種類は1.8リッターエンジン+ハイブリッド(写真)と1.8リッターエンジン、1.2リッターターボエンジンの3種類。セダンとワゴンでは1.2リッターターボ仕様は完全に「走りを楽しむユニット」という扱いで、トランスミッションはMTしか用意されない。
「W×B」には3色、その他のグレードには7色のボディーカラーが用意される「カローラ」と「カローラ ツーリング」。ただし、「カローラ スポーツ」には設定のあるブラックルーフのツートンカラーは用意されていない。
「W×B」には3色、その他のグレードには7色のボディーカラーが用意される「カローラ」と「カローラ ツーリング」。ただし、「カローラ スポーツ」には設定のあるブラックルーフのツートンカラーは用意されていない。

走りが洗練されたカローラ スポーツ

一部改良が実施された「カローラ スポーツ」。ツートンカラーの設定が拡大されたほか、インテリアには黒内装の本革シート仕様が追加された。
一部改良が実施された「カローラ スポーツ」。ツートンカラーの設定が拡大されたほか、インテリアには黒内装の本革シート仕様が追加された。
トヨタのCセグメントハッチバック車は、これまで「カローラ ランクス」や「オーリス」などと呼ばれており、現行型の登場を機に、車名が「カローラ スポーツ」に改められた。
トヨタのCセグメントハッチバック車は、これまで「カローラ ランクス」や「オーリス」などと呼ばれており、現行型の登場を機に、車名が「カローラ スポーツ」に改められた。
「カローラ」シリーズに採用される前後ダンパーのカット模型。乗員の目線のぶれを低減し、快適性を向上するべく改良が加えられた。
「カローラ」シリーズに採用される前後ダンパーのカット模型。乗員の目線のぶれを低減し、快適性を向上するべく改良が加えられた。
ハイブリッド車には3種類の走行モードからなるドライブモードセレクターや、バッテリーの電気だけで走るEVモードなどの機能が搭載される。
ハイブリッド車には3種類の走行モードからなるドライブモードセレクターや、バッテリーの電気だけで走るEVモードなどの機能が搭載される。
今回はハッチバックのスポーツでも、新型セダン/ツーリングに準じる装備内容への変更に加えて、サスペンションにもセダン/ツーリングでの新規開発で得られた知見が投入された。それはなにか新しい部品が追加された、あるいは硬くした・柔らかくしたというものではなく、プレスリリースによると「運転中の目線の動き、旋回時の姿勢、ライントレース性などドライバーが感じる動きを解析し、サスペンションを最適化」した……となる。

実際はバネやアブソーバーの設定を微調整することで、振動や上下動そのものを軽減するというより、路面からの入力が乗員に伝わるまでのタイミングを変えたらしい。それによって、乗っている人間の走行中の目線の揺れを減らすことに成功した。また、同時に加減速やステアリング操作による荷重移動を、ドライバーによりリニアかつ鮮明に伝えることに留意したとか。

今回はそんなカローラ スポーツの新旧モデルを比較試乗するメニューも用意されていた。新旧を同じルートで乗ってみると、なるほど「いわれてみれば、自分の頭の上下動が減ったかな」という気がしないでもない。ただ、それ以上にはっきりと体感できたのはステアリングフィールの変化だ。

新型から旧型に乗り換えると、同じように操作しているはずなのに、旧型ではごくわずかにステアリングを切りすぎてしまい、無意識に修正操作を入れてしまう。で、もう少しよく観察すると、それはステアリング系そのものというより、クルマの前後左右の動き出しが、旧型のほうが唐突で、新型のほうがゆったり滑らかになっているからだと気づく。

もちろん旧型スポーツを単独で乗っているかぎりは、身のこなしもフラットでステアリングも十二分に正確なのだが、新型と比較してしまうと、旧型は“ペタン”とロールして、ステアリングがわずかに予想外に“カクン”と切れてしまうのだった。つたない擬音でしか表現できず恐縮である。

一部改良が実施された「カローラ スポーツ」。ツートンカラーの設定が拡大されたほか、インテリアには黒内装の本革シート仕様が追加された。
一部改良が実施された「カローラ スポーツ」。ツートンカラーの設定が拡大されたほか、インテリアには黒内装の本革シート仕様が追加された。
トヨタのCセグメントハッチバック車は、これまで「カローラ ランクス」や「オーリス」などと呼ばれており、現行型の登場を機に、車名が「カローラ スポーツ」に改められた。
トヨタのCセグメントハッチバック車は、これまで「カローラ ランクス」や「オーリス」などと呼ばれており、現行型の登場を機に、車名が「カローラ スポーツ」に改められた。
「カローラ」シリーズに採用される前後ダンパーのカット模型。乗員の目線のぶれを低減し、快適性を向上するべく改良が加えられた。
「カローラ」シリーズに採用される前後ダンパーのカット模型。乗員の目線のぶれを低減し、快適性を向上するべく改良が加えられた。
ハイブリッド車には3種類の走行モードからなるドライブモードセレクターや、バッテリーの電気だけで走るEVモードなどの機能が搭載される。
ハイブリッド車には3種類の走行モードからなるドライブモードセレクターや、バッテリーの電気だけで走るEVモードなどの機能が搭載される。

新しい1.5リッターが出たら……

日本専用のコンパクトボディーを持つ「カローラ」「カローラ ツーリング」は、欧州仕様と同じボディーの「カローラ スポーツ」より1~2cmほど前後のトレッドがせまい(「G-X」を除く)。
日本専用のコンパクトボディーを持つ「カローラ」「カローラ ツーリング」は、欧州仕様と同じボディーの「カローラ スポーツ」より1~2cmほど前後のトレッドがせまい(「G-X」を除く)。
「カローラ」のトランクルーム。容量は429リッター(VDA計測値)で、9.5インチのゴルフバッグが3個入る。
「カローラ」のトランクルーム。容量は429リッター(VDA計測値)で、9.5インチのゴルフバッグが3個入る。
5人乗車時で392リッターの容量を備えた「カローラ ツーリング」の荷室。床面の高さを2段階に調整できる(スペアタイヤ搭載車、ハイブリッド4WD車などは除く)。
5人乗車時で392リッターの容量を備えた「カローラ ツーリング」の荷室。床面の高さを2段階に調整できる(スペアタイヤ搭載車、ハイブリッド4WD車などは除く)。
「カローラ スポーツ」には設定のない1.8リッターエンジン。現行の「カローラ」シリーズにおいて、エントリーモデルのパワートレインという役割を担う。
「カローラ スポーツ」には設定のない1.8リッターエンジン。現行の「カローラ」シリーズにおいて、エントリーモデルのパワートレインという役割を担う。
日本市場に合わせるため、さまざまな工夫が盛り込まれた新型「カローラ」だが、エンジンの設定が自動車税の税制に合っていない点がやや気になった。
日本市場に合わせるため、さまざまな工夫が盛り込まれた新型「カローラ」だが、エンジンの設定が自動車税の税制に合っていない点がやや気になった。
そんな新型スポーツと同時開発されたセダンやツーリングの走りも、基本的にはそれと同じような美点がある。ただ、スポーツよりトレッドがせまいセダン/ツーリングは、良くも悪くも、もう少し動きが軽い。それでいてセダンは3つのバリエーションでもっとも静かで乗り心地が柔らかく、ツーリングは対照的にパリッと引き締まっているが、車体剛性での不利のせいか、ロードノイズや乗り心地ではスポーツやセダンに一歩ゆずる。

もちろん、ツーリング単独で乗るかぎりはなるほど悪いクルマではないし、車体の構造上、ダイナミクス性能ではツーリングがもっとも不利なのも自明である。ただ、新型カローラはその車体形式による走りの差が意外に大きなタイプともいえそうだ。

先代でも「アクシオ」やオーリスより「フィールダー」(=ワゴン)がもっとも多く売れた日本市場では、新型でもツーリングが最量販と見込まれる。それに新旧スポーツで見せてくれた、今までのトヨタらしからぬ(失礼!)エンスーな“カイゼン”っぷりを見れば、ツーリングにもまだまだ進化を期待したくなるというものだ。

日本における新型カローラのパワートレインは1.8リッターハイブリッドと1.2リッターターボが全車に、そして1.8リッターの普通のガソリンエンジンがセダンとツーリング限定で搭載される。開発担当氏も「1.8リッターは手頃価格グレードのため」と明言するも、日本の税制下ではそれは1.5リッターでしょうが……である。しかし、現時点では「GA-Cに従来型1.5リッターでは必要な性能が出せません」とのことである。

もっとも、トヨタが推し進めているTNGAでは、パワートレインの世代交代のタイムスケジュールが、プラットフォームのそれに半歩ほど遅れている。TNGA世代の新しい「ダイナミックフォースエンジン」で世に出ているのは、今のところ2.5リッター、3.5リッター、2リッターまでだ。つまり、これから1.5リッターも登場すれば、それがカローラ本来の……というのは私の勝手な推測(もしくは期待)である。

(文=佐野弘宗/写真=荒川正幸/編集=堀田剛資)

日本専用のコンパクトボディーを持つ「カローラ」「カローラ ツーリング」は、欧州仕様と同じボディーの「カローラ スポーツ」より1~2cmほど前後のトレッドがせまい(「G-X」を除く)。
日本専用のコンパクトボディーを持つ「カローラ」「カローラ ツーリング」は、欧州仕様と同じボディーの「カローラ スポーツ」より1~2cmほど前後のトレッドがせまい(「G-X」を除く)。
「カローラ」のトランクルーム。容量は429リッター(VDA計測値)で、9.5インチのゴルフバッグが3個入る。
「カローラ」のトランクルーム。容量は429リッター(VDA計測値)で、9.5インチのゴルフバッグが3個入る。
5人乗車時で392リッターの容量を備えた「カローラ ツーリング」の荷室。床面の高さを2段階に調整できる(スペアタイヤ搭載車、ハイブリッド4WD車などは除く)。
5人乗車時で392リッターの容量を備えた「カローラ ツーリング」の荷室。床面の高さを2段階に調整できる(スペアタイヤ搭載車、ハイブリッド4WD車などは除く)。
「カローラ スポーツ」には設定のない1.8リッターエンジン。現行の「カローラ」シリーズにおいて、エントリーモデルのパワートレインという役割を担う。
「カローラ スポーツ」には設定のない1.8リッターエンジン。現行の「カローラ」シリーズにおいて、エントリーモデルのパワートレインという役割を担う。
日本市場に合わせるため、さまざまな工夫が盛り込まれた新型「カローラ」だが、エンジンの設定が自動車税の税制に合っていない点がやや気になった。
日本市場に合わせるため、さまざまな工夫が盛り込まれた新型「カローラ」だが、エンジンの設定が自動車税の税制に合っていない点がやや気になった。

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