車を「インターネットセキュリティ」で選ぶ未来が来る!?-コネクテッドカーとセキュリティリスク
あらゆるものがインターネットに接続するIoT(Internet of things)。もちろん、これは自動車も例外ではない。
ナビなどのソフトはもちろん、自動車を操るシステム自体もデジタル化する現代、クルマがインターネットに接続するリスク、例えばコネクテッドカーがサイバー攻撃を受けるような危険は起こり得るのだろうか?
インターネットセキュリティに詳しい、トレンドマイクロ・シニアスペシャリストの森本純さんに聞いた。
IoT化のメリット・デメリット
そもそも、なぜ近年、自動車を含むさまざまな物のIoT化が進んでいるのか。
「IoT化のメリットは、世の中のあらゆるものがセンサーとなって情報を収集し、インターネットを通じてデータを集約・解析することで、より利便性の高いサービスや価値をユーザーに提供できることです。自動車分野だと、各自動車から集めたデータを活用した渋滞情報の配信などがそれに該当しますね」
このまま自動車のIoT化が進んだ場合に予想されるリスクは?
「トレンドマイクロで行った実証実験では、インターネットに接続されている市販のIVI(車載インフォテインメント)システムの脆弱性を利用して、“ランサムウェア”と呼ばれる身代金要求型の不正プログラムが感染することを確認しました。ランサムウェアに感染すると、『元に戻してほしければ金銭を払え』という脅迫画面が表示され、画面が操作できなくなったり、システムに登録された住所や電話番号などの連絡先や位置情報などが外部のサイバー攻撃者に送信されたりしてしまいます。また、すでに複数のセキュリティリサーチャーが走行中の自動車をインターネット越しに遠隔操作する実証実験に成功していることなども報道されています」
クルマをサイバー攻撃から守るには
自動車がIoT化することによって高まるサイバー攻撃の危険性は、どのようにすれば回避できるのか。
「トレンドマイクロでは、コネクテッドカーやスマート工場、スマートホームなどで活用されるIoTデバイス向けに、Trend Micro IoT Securityというソリューションを提供しています。コネクテッドカーを作る際あらかじめこのソリューションを組込むことで、出荷後に新たに出現するインターネット越しの脅威などに、セキュリティ機能を提供できます。例えば、コネクテッドカーの脆弱性情報を監視し、発見時にはその脆弱性を突く攻撃を仮想パッチとよばれる技術でブロックするのです」
PCの場合、所有者がセキュリティ対策ソフトをPCにインストールすることで、セキュリティレベルを高めることができる。では、自動車のようにあとからセキュリティ対策ソフトをインストールできないものがインターネットにつながる場合、所有者がするべきセキュリティ対策はあるのだろうか。
「自動車に限らず、IoT製品の購入・選定時に知っておいてほしい3つのポイントがあります。1つ目は、その製品がセキュリティに配慮しているかどうかを確認すること。例えば製品のホームページや説明書などで、セキュリティに関する機能や製品の設計方針などの記載が丁寧に行われているかを確認してください。便利さなどだけでなく、安全性を製品選定のポイントの1つとして意識して頂きたいのです。2つ目は、脆弱性対策のためのソフトウェア更新を意識すること。脆弱性はプログラムに意図せず存在してしまうセキュリティ上の不備で、開発元で発見され次第プログラムの更新により修正されます。更新は自動で行われるのか、製品の購入者が手動で行う必要があるのかなども確認してください。手動の場合は、ユーザーがアップデートを忘れないようにしなければなりません。3つ目は、IoT製品を購入している以上、なんらかの情報を外部に送っていることを意識することです。例えば自動車であれば、現在地や通ったルートなどが外部に向けて発信されています。自分は便利なIoT製品を使用することで、どんな情報を外部へ渡しているのかを意識してみましょう。もしかしたら、情報を渡さず制限したほうがいい部分が見つかるかもしれません」
クルマはIoT化すべきなのか
利便性を求めれば、新たなリスクは発生するもの。それを考えると、そもそも自動車のIoT化は本当に必要なのか、と考えさせられそうだが……。
「技術の発展は、必要かどうかに左右されません。人々が『価値がある』と感じた方向に技術は進化していくと思います。水漏れのリスクがあるからといって家に水道管を引くのを断る人は、現在の日本にはおそらくいませんよね。インフラが整備されるとそれが当たり前になり、人々は水道や電気の安全性についてあまり意識しなくなる。これと同じように、インターネットの安全が常に守られ、人々がインターネットセキュリティ自体を意識しなくなることがIoTのゴールだと思います。自動車は人命を預かり、かつ私たちの生活に欠かせないものです。今後自動車のセキュリティ対策はますます重要度を増していくでしょう」
デザインや乗り味、燃費性能などを自動車購入の決め手にするように、インターネットセキュリティを意識する時代がもうそこまでやってきているのかもしれない。
(田島里奈/ノオト)
[ガズー編集部]
<取材協力>
トレンドマイクロ
(http://www.trendmicro.co.jp/jp/index.html)
シニアスペシャリスト
森本純
最新ニュース
-
-
「さようなら。ありがとう」スズキ『スイフトスポーツ』現行モデルの生産終了に、SNSでは惜別の声
2024.12.23
-
-
-
歴代最強のハイブリッド搭載! トヨタ『4ランナー』新グレードをチェック[詳細画像]
2024.12.23
-
-
-
初代VW『ティグアン』はかなり本気度の高いSUVだった【懐かしのカーカタログ】
2024.12.23
-
-
-
これが本物のワークスパワー! モビリティリゾートもてぎでの合同試乗会に潜入
2024.12.23
-
-
-
ホンダ『プレリュード』、米国でも25年ぶりに復活へ…次世代ハイブリッド車として2025年投入
2024.12.22
-
-
-
名機・A型エンジン搭載の歴代『サニー』が集結…オールサニーズ・ミーティング
2024.12.22
-
-
-
軽自動車サイズの布製タイヤチェーン「モビルシュシュ」が一般販売開始
2024.12.22
-
最新ニュース
-
-
「さようなら。ありがとう」スズキ『スイフトスポーツ』現行モデルの生産終了に、SNSでは惜別の声
2024.12.23
-
-
-
初代VW『ティグアン』はかなり本気度の高いSUVだった【懐かしのカーカタログ】
2024.12.23
-
-
-
歴代最強のハイブリッド搭載! トヨタ『4ランナー』新グレードをチェック[詳細画像]
2024.12.23
-
-
-
これが本物のワークスパワー! モビリティリゾートもてぎでの合同試乗会に潜入
2024.12.23
-
-
-
ホンダ『プレリュード』、米国でも25年ぶりに復活へ…次世代ハイブリッド車として2025年投入
2024.12.22
-
-
-
名機・A型エンジン搭載の歴代『サニー』が集結…オールサニーズ・ミーティング
2024.12.22
-